愛しの純喫茶〜富山編〜 珈琲駅 ブルートレイン
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こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。
旅の途中でちょっと一息つきたい時、みなさんはどこに行きますか？私が選ぶのは、どんな地方にも必ずある老舗の喫茶店。お店の中だけ時間が止まったようなレトロな店内に、煙草がもくもく。懐かしのメニューと味のある店主が迎えてくれる純喫茶は密かな旅の楽しみです。
旅の途中で訪れた、思わず愛おしくなってしまう純喫茶を紹介する「愛しの純喫茶」。今回は、電車好きもカフェ好きも虜にする富山の名店「珈琲駅 ブルートレイン」です。
ここは喫茶店？それとも食堂車？
JR富山駅から市民の足・富山市電鉄に乗り換えて「安野屋 (やすのや) 」駅で下車。5分ほど歩いた先に見えてくるちょっと変わった看板が、今日訪ねるお店の目印です。
深い青色にパキッとした黄色で書かれた「ブルートレイン」。今や日本で運行本数も少なくなった寝台列車の愛称を掲げるそのお店は、全国から人が訪ねてくるという、鉄道ファン垂涎の喫茶店です。
ワクワクしながら扉を開けると、そこはまるで寝台特急の食堂車。
クラシックな布張りのボックス席に座ると、その「車窓」に思わず歓声をあげてしまいました。
ジオラマ模型の景色の中を、時折走り過ぎて行くミニ列車。運ばれてきたコーヒーに口をつけながら、ただただ見入ってしまいます。
店内はまさに宝の山！ミニ列車には「運行表」も。
店内をぐるりと一周して走る列車は、物静かなマスターの待つカウンターの「車庫」に帰っていきます。ふとみれば食器棚の上にも列車がずらり。お店の全てが、列車を愛で、その旅情を味わうために考えて設計されているのです。
奥さまに伺うと、走らせる列車は定期的に入れ替えているのだとか。
「簡単に走らせているように見えるけれど、走らせる前には試運転も必ずしているんです。実際の列車と同じね」
手作りの列車模型は完成まで3ヶ月を要するそうです。そこから試運転をして問題なければ、晴れてお客さんの前で運行デビュー。
圧巻の列車模型だけでなく、店内のあちこちに見られる列車モチーフも楽しみどころの一つ。
そしてこの日、何より心を鷲掴みにされたのが、お店のことをいろいろと教えてくださった奥さまのエプロン。
特急踊り子号のワッペンが胸を飾っています！
「昔はこういう記念品がたくさんあってね。せっかくだから飾りにしてみたの」
見る人が見たら宝の山、鉄道ファンでなくても時間を忘れて楽しめる、まさに寝台特急のような非日常を楽しんだひと時でした。
珈琲駅 ブルートレイン
富山県富山市鹿島町1-9-8
076-423-3566
文・写真：尾島可奈子
