京都 十三や工房の「つげ櫛」、その魅力とお手入れ方法を職人に聞いた

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連載「キレイになるための七つ道具」の最終回で取材した十三(じゅうさん)や工房さん。京都で唯一の木櫛調製処です。

実は各地の櫛やさんには十三と名のつくところが多いのですが、これは「くし」という音が「苦・死」につながるため、数字の9と4を足した「13」を屋号にとったものだそう。縁起を担いだ語呂合わせだったのですね。

おすすめはやはり、つげ櫛

1880年( 明治13年 )より木櫛をつくり続ける十三や工房さんが、あらゆる木櫛の中でもっとも優れていると語るのが「つげ(漢字では黄楊)」の櫛です。

最大の特長はその粘度。独特の粘りのあるつげの木地は加工しやすく、磨くほどつややかな美しい木目になるそうです。

裁断、乾燥、矯正、燻し、寝かし、加工‥‥とひとつの櫛が出来上がるまでにかかる期間は、最低でもなんと7年以上。

少しでもお客さまをお待たせしないように、と独自開発した機械もフル稼働する工房は、さながら秘密のラボのようでした。

歯の均一さが命の歯挽き(はびき)は、型に合わせて自動で動く機械を独自に開発
回転モーターに泥をつけて磨いているところ。他にもさまざまに機械を変え、櫛を磨きあげていく

木櫛ならではの良さとお手入れ方法

お話を伺った5代目の竹内昭親さんによれば、髪の質は10人いれば10通りに違うとのこと。自然の素材で作られた木櫛は、そんな髪の静電気や汚れを取り除いてくれます。

お手入れも簡単で、まず使い始めに椿油を布に含んで塗り、1日くるんでおく。ラップでも良いそうです。そして使いながら汚れてきたら、歯ブラシなどで汚れを取り除いてまた椿油を塗れば良いとのこと。

ケガレから身を守るものとして神事や政治の世界でも重んじられてきた櫛。かつては男性の方が重用していた時代もあるそう。十三や工房さんでも、女性用、男性用と様々な種類を揃えています。

手のひらに収まるサイズの女性用
少し長めの男性用

「余分なものを取り除いて、その人の本来の髪の良さを120%引き出せるように」との思いを込めて作られている老舗のつげ櫛。ぜひ一つ持っておきたい一生ものの暮らしの道具です。

専用の箱に入ります

ここで買いました。

十三や工房
http://jyuusanyakoubou.sakura.ne.jp/index.html

文・写真 : 尾島可奈子

*こちらは、2017年7月4日公開の記事を再編集して掲載しました。毎日の使うからこそ、ちょっといいものを。贈りものにも喜ばれそうですね。



<掲載商品>

つげ櫛 麻袋入り

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