リピートしたい非常食。多彩な食べ方ができる「カンパン」のすすめ
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日本では1年365日、毎日がいろいろな記念日として制定されています。国民の祝日や伝統的な年中行事、はたまた、お誕生日や結婚記念日などのパーソナルな記念日まで。
数多ある記念日のなかで、こちらでは「もの」につながる記念日をご紹介していきたいと思います。
さて、きょうは何の日?
9月1日、「防災の日」です
台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、それらの災害に対処する心構えを準備するためとして、1960年に内閣の閣議了解により制定されました。
9月1日は、1923年に発生し多数の犠牲者を出した「関東大震災」のあった日。また、この時期は台風が多く、注意を促すために江戸時代の人が暦に載せた「二百十日」に当たることも制定理由となっています。
いつ何時降りかかるかわからない災害。「防災の日」は、全国各地で防災訓練が行われ、防災意識を高め、防災知識を普及・啓発するためのイベントが多く開催されます。私たち個人個人でも、手持ちの防災グッズのチェックや安全対策、家族と防災会議をしておくなど、備えを改めて確認しておきたいですね。
もしものための備蓄品。三立製菓の「カンパン」
いざという時の備えで必要不可欠なものが食料。お水は1人1日3リットル、食料品は3日分が家庭での用意の最低限といいます。食料品については、保存性に加えて、非常時に調理しないで食べられるもの、道具がなくても食べられることが重要です。
長期保管ができて、道具要らずで食べられる、非常時グッズの代表格「カンパン」を80年作り続けている、三立製菓 (さんりつせいか) 株式会社さんを訪ねました。
80年間ほぼ変わらない配合のまま、保存性と美味しさを追求する
明治期の初期のカンパンはドイツの製法を模範としていましたが、現在の小型カンパンは1930年 (昭和5年) 頃より研究開発されて生まれました。
旧陸軍が研究開発した当時は、7年半の保存を目標としたため、糖、脂肪を除く必要がありました。現在も、保存性を高めるために糖、脂肪を最低限の分量にしつつ、発酵のさせ方を工夫し、十数時間じっくりと発酵させ、ゆっくり焼き上げることでで美味しさを追求しているのだとか。
どんな食べ方がおすすめ?非常食を普段から食べる意味
「ぜひ食べてみてください」とすすめていただき、いただくと、想像していたよりもだいぶ美味しい。素朴な味わいながら、パンのような風味と香ばしさ、軽い食感で後を引きます。食べやすく腹持ちもよいカンパン。非常食としてだけでなく、日常的なおやつとして袋入り (保存期限1年) も売れ続けているのにもうなづけます。
※缶入りも袋入りも、カンパン自体は同じ商品ですが、包装形態によって賞味期限が異なります。缶入りは密閉性に加え、遮光性も高いため、より長い期間保管できるようになっています。
「いざという時の備えとして保管しておくことも大切ですが、日頃から召し上がっていただくことで、自分に合った食べ方を見つけておくのもオススメですよ」と三立製菓
企画開発部の望月さん。
そう、カンパンには色々な食べ方があるのです。三立製菓では、賞味期限の迫ったカンパンについての問い合わせも多く、そのまま廃棄するのではなく、日常的に楽しむ方法も多数提案しています。
スープに入れたり、砕いてピザやグラタンにしたり、はたまたパン床のように「カンパン床」を作ってお漬物を漬けたりと様々な活用方法が日々生まれています。その他、素材がシンプルなので離乳食にして活用される方も。
もちろん、災害時に手をかけずに、缶詰やレトルト品、乾物など他の非常食と組み合わせるアレンジも提案されています。
避難生活が長引いた時に、少しでも変化をつけて食事を楽しめたら‥‥と日々考えているのだそうです。スープやソースなどにつけて柔らかくすると食べやすさが増すので、小さい子どもや年配の方にとって無理なく食べやすくなることも教えていただきました。
シンプルな味のカンパンを主食にしつつ、缶詰やレトルト食品、その他自宅にある発酵食品や保存食をあわせておかずにして食卓を囲めたら、確かに少しホッとできそうです。
災害に遭遇しないことが一番ですが、もしもの時を考えて、知識と用意をしておきたいですね。今日は、防災バッグの中のメンテナンス、備蓄食料の賞味期限チェックをしようと思います!
<取材協力>
文・写真:小俣荘子 (調理例写真提供:三立製菓株式会社)
こちらは、2017年9月1日の記事を再編集して掲載しました