【工芸の解剖学】国産牛革のボストンバッグ
暮らしの中の工芸を紹介する「工芸の解剖学」。
今回は、革の佇まいが美しく使いやすい「国産牛革のボストンバッグ」を解剖します。
希少な国産原皮を利用した上質な革バッグ
皮革の一大産地である兵庫県たつの市で鞣(なめ)した牛革で、ボストンバッグを仕立てました。
国内で生産される牛革の多くが海外産の原皮を使用している中で、希少な国産原皮にこだわっています。表面に傷が少なく、鞣した際の美しさが特徴。今回はコンビネーション鞣しという技法を採用し、自然な風合いを残したまま、汚れや水に強い状態に仕上げています。
長く使うほどに味わいも増していく、育てる楽しみを感じられるバッグです。

革の仕上がりを左右する「鞣し」の技術
動物の“皮”を、素材として利用できる“革”にするために必要なのが「鞣し」の工程です。革らしい風合いを活かせる「タンニン鞣し」と、耐久性に優れた「クロム鞣し」という代表的な二種類の鞣し方があり、今回はそれらを組み合わせた「コンビネーション鞣し」と呼ばれる技法を採用しました。
これにより革本来の風合いや、経年変化を味わえる魅力を残したまま、耐久性があって扱いやすく仕上げることが可能です。
原皮には個体差があるため、鞣しに使うタンニンの配合や分量を都度調節するために、職人の技と経験が欠かせません。その後、大きな樽の中で回転させて革を揉みほぐし、自然なシボ感をつけています。

現代に使いやすいボストンバッグの再編集
横長の形で口が大きく開く手提げかばん。そんなボストンバッグのエッセンスを抽出し、よりシンプルに、使いやすいものを目指しました。要素をそぎ落とし、細部のクオリティを追求しています。13インチのパソコンが収まるサイズ感で、日常からビジネスシーンまで広く活躍します。

作り手のコメント:エルヴェ化成株式会社(兵庫県たつの市)

「国産ホルスタインの原皮を扱う数少ないタンナーのひとつで、社員一人一人が安定した品質にこだわっています。個体差がある素材を扱い、革らしい硬さと風合いを毎回再現すること、僅かな顔料と塗膜で質感の良さを保つことなどが、特に技量を要する部分です。仕上がりの佇まいにタンナーの個性も出てくると考えています」
デザイナーから:中川政七商店 青野洋介
「シンプルな分ディテールにこだわり、素材の質感を活かして上品な佇まいを目指しました。伴走してくれているのは大阪の縫製メーカーさん。企画やデザインの意図を汲みとって、作り手目線の細かな工夫をたくさんご提案いただいて完成した商品です。完成後もファスナーの滑りが良くなる工夫をしたり、細かなアップデートを続けています。革は使うほどに風合いが変化していく素材です。ぜひ長く使っていただき、自分だけのバッグに育てていただけると嬉しく思います!」
<紹介した商品>
・国産牛革のボストンバッグ
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