千葉生まれ、子どもも大好きなBocchiのピーナッツペーストがなめらかすぎて美味しい
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かつては手に入らないことが価値でした。今は、手に入るものが増えたからこそ、とびきりのものに感動が生まれます。
初めて、「Bocchi」がつくるピーナッツペーストを食べたときの感覚は忘れることができません。
その出会いは、日本各地から工芸メーカーが集まる合同展示会「大日本市」でした。
原料問屋からスタート。三代目が手がける次世代ブランド
落花生の国内生産量の8割を占める、千葉県房総半島。その土地で良質な落花生を提供してきたのが、株式会社セガワです。
セガワは創業74年の原料問屋。米や落花生の取り扱いに始まり、食品加工業にも発展。「Bocchi」は、セガワを切り盛りする三代目の加瀬宏行さんが立ち上げたブランドです。
名前の由来は、収穫した落花生を乾燥させるため、畑に積み上げて稲藁をかけた「野積み」のことを指す方言から取っています。その名前からも伝わるように、「千葉の落花生」への思いも強いようです。
「生産農家が少なくなる環境や、気候変動もあって、落花生の収穫量も不安定になってきています。自分が子どもの頃から親しんできた風景を次代につなぐためにも、ブランドを立ち上げました。
僕らも自力をつけて農業を学びつつ、農薬を使わない落花生栽培を始めたんです。今後は農家を増やしていく下地をつくっていきたいですね」
セガワは材料問屋だけあり、落花生は「仕入れるもの」でした。その枠から飛び出し、休耕地を借りての栽培にも着手。栽培のノウハウを貯めると共に、良質な千葉県産落花生を用いたピーナッツ商品を開発しました。新たな挑戦をはじめたのです。
知見を生かした「本物の味」を届けたい
その代表的な逸品が「Bocchi ピーナッツペースト」。
原材料は、千葉県産ピーナッツ、北海道産てんさい糖、千葉県旭市産の伝統製法塩だけ。てんさい糖入りの「シュガー」と「クランチ」、ピーナッツのみで作った「プレーン」のラインナップです。
一口食べると、なめらかな舌触りに、濃いピーナッツの味わいが広がる中、ペーストとは思えないほどスッ‥‥と切れ味が良い。口の中で「もたもた」と絡まる感触もありません。
その秘密は素材選び、そして焙煎の工夫にあります。素材選びや焙煎にまで、原料問屋だからこそわかる知識を生かします。
「まず種まきでは、薄皮の表面に傷をつけないように、熟練の職人による手剥きです。
収穫後に豆を乾燥させる際にも、通常の温風乾燥だと豆が固くなるので、時間はかかっても野積みという手間をかけることで、豆のより良い状態をキープできます。
ピーナッツペーストは、油分の多い大粒の落花生を選ぶだけでなく、すりつぶす際にも工夫しています。落花生は『焙煎』と『すりつぶし』で二度の熱がかかり、それが酸化の原因にもなります。いかに酸化させないか、そこにも知見を生かしています」
加瀬さんの言葉には、曇りがありません。商品に対する自信がうかがえます。
「他のピーナッツペーストは苦手でも、Bocchiだけは進んで食べるというお子さんもいるそうです。クラフトベーカリーや食品メーカーのシェフからも、嬉しい声をいただいています。
やはり、自分たちにとっても満足できないものは続けていけません。これからも本物の味を届けていきたいです」
香ばしさ、やさしい甘さ、そしてとろける食感。一度味わうと、常識がひっくり返る。そう断言できるのが、Bocchiのピーナッツペーストでした。ぜひ、ご賞味あれ。
<取材協力>
Bocchi PEANUT PASTE
Bocchiの商品は、自社オンラインストアのほか、食料品店、クラフトベーカリーなどで購入できます。
文・写真:長谷川賢人
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