【工芸の解剖学】鳥こけし

暮らしの中の工芸を紹介する「工芸の解剖学」。

今回は、インテリアとして飾る工芸のオブジェ「鳥こけし」を解剖します。

東北のこけしを再解釈して生まれた飾りもの

東北ならではの飾りもの「こけし」を再解釈し、創作した鳥型のこけしです。日本のしつらい(飾りもの)文化を残していくために、なにができるのか。そう考えて通年で家に飾れるオブジェとしての工芸を模索しました。

吉祥の象徴として、日本で古くから親しまれてきた3種の鳥をモチーフとしています。

デザインをお願いしたのは、東北・山形を拠点とする𠮷勝製作所の𠮷田勝信さん。フィールドワークやリサーチを得意とする𠮷田さんとともに東北のこけし文化を深堀りし、縁起物とは、こけしとは、という本質を探りながら再解釈を施しました。制作にはこけしの伝統技法や素材を用いています。

左からツル・サギ・フクロウ。首と胴体が分かれており、クルクルと動く仕様。鳥の首の動きを面白く感じられる作りです

こけしの素材、伝統技法が生み出す「こけしのようなもの」

こけしの作り手である工人(こうじん)や木地師の手によって、一体ずつろくろ挽きで削り、筆で絵付けを施して仕上げられています。

素材にはイタヤカエデ、ミズキ、ケヤキといった、伝統こけしでよく使用される天然の木材を選定。それぞれの木肌の特徴や使用できる径の大きさなどを活かして、ツル・サギ・フクロウの3種の鳥に見立てました。絵付けには東北こけし伝統の色絵具を採用し、各鳥のイメージが想起されるデザインを描いています。

伝統の素材や技法、彩色を踏襲し、こけし工人や木地氏の手を経て作られることで、鳥をモチーフとした新しい飾りものでありながら、こけしの匂いをまとった「こけしのようなもの」が生まれました。

𠮷勝製作所のアトリエ。デザイン調整を繰り返した鳥こけしが並ぶ
試作からの変化。職人の手を経て、予想を超えた仕上がりになる

日本らしくもあり、西洋の香りもする新しいオブジェ

木肌をしっかり見せることや、面を塗りつぶしてボーダーを作るといった伝統こけしの意匠にインスパイアされたデザインは、日本らしくもあり、どこか西洋のオブジェのような佇まいも備えています。工人の手癖を活かし、それぞれの鳥で絵付けの筆致がガラッと異なることも面白いポイントです。

作り手のコメント:津軽こけしプロジェクト「こけし工房 tsuN’agaru」

「青森県の黒石市でこけしの専門店を運営しながら、東北各地の工人の方たちをつなぐ活動をしています。店内には、全国12系統の伝統こけし工人の作品を常時1000体以上置いており、こけしに関するイベントも定期的に開催。産地を超えて、工人の方たちや作家の方、販売店をつなぎ、新たな商品開発や技術継承のサポート、こけしファンとの交流の場を作っていければと思っています」

デザイナーから:𠮷勝製作所 𠮷田勝信

「素材の特性、工人さんの解釈や手癖、普段作っている製品に最適化された製造工程を通ることで、産地のフィルターがかかり、デザインに工芸の匂いがついて返ってくる。その『製造工程が持つ個性』がとても面白く、工人さんと一緒にもっと多くの製品を作ってみたいと思いました」

※こちらの内容は、ことつて 2024年冬号に掲載されたものを編集し再掲しています。

<紹介した商品>
・鳥こけし ツル
・鳥こけし サギ
・鳥こけし フクロウ

文:白石雄太

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