赤ちゃんの体調がわかる?高知サンゴのベビーブレス
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出雲の「勾玉」や飛騨高山の「さるぼぼ」など、全国各地にその土地土地の材料や風土から生まれたお守りがあります。
この連載ではそんなご当地ならではのお守りを紹介します。
今回は、高知に昔から伝わる赤ちゃんのお守り、サンゴでできた「ベビーブレス」です。
サンゴは魔除けや厄除けのお守りとしても知られていますが、このお守りは、言葉を話せない赤ちゃんの「代わり」を務めてくれるといいます。
どんな「代わり」を務めてくれるのでしょうか。
実物を見に高知へ向かいました。
よさこい節に登場する“かんざし”もサンゴ
全国のサンゴ製品の8割以上を生産する高知県。
古くから伝わる民謡「よさこい節」の一節で、高知の夏の風物詩「よさこい祭り」の曲の1フレーズにもなっている
「土佐の高知の はりまや橋で 坊さんかんざし 買うを見た」
竹林寺の僧侶と鋳掛屋の娘・お馬との悲恋を歌ったものですが、僧侶が娘のために買ったかんざしも、サンゴのかんざしだそう。
高知では昔からサンゴが身近にあったことがわかります。
今回訪ねたのは1965年創業の高知サンゴ工房。
店舗と工房が併設され、高知でも珍しい、作り手さんから直接、サンゴ商品を購入できるお店です。
二代目の平田勝幸さんにお話を伺いました。
原木の質がいい高知のサンゴ
日本では、高知のほか小笠原諸島、奄美大島でも採れるそうですが、全て高知で水揚げされるそうです。
「加工する職人が他にいないんです。高知が一番多いので」
加工する職人さんがいる高知に材料が集まってくるんですね。
「高知で採れる原木は質もすごくいいんですよ。同じ赤サンゴでも小笠原や奄美のほうで採れたものと、高知のものは全然違ってきます」
採れる海の場所によって色も違うそうです。
「室戸の沖で採れる赤サンゴは、最高品質のものです」
現在は水揚げ量が減ってしまったものの、高知では古くから魔除けとしてお数珠にしたり、お守りとして身につけていたそうです。
赤ちゃんの発熱を教えてくれるお守り
店内のショーケースには赤、白、ピンク、色とりどりのサンゴの商品が並んでいます。
その中にありました。
赤ちゃんのお守りベビーブレス。
赤ちゃんの小さな腕にぴったりな、小さくて可愛らしいお守りです。
「サンゴは体から出る水量で光沢がなくなるので、赤ちゃんが発熱すると汗で色が変わるんです」
なるほど。言葉で伝えられない赤ちゃんに変わって、体調の変化を知らせてくれるわけですね。
赤ちゃんは熱も測りにくいので、ちょっとした変化に気付けるのはありがたいです。
赤ちゃんのためでもあり、お母さんのお守りなのかもしれません。
「赤ちゃんがなめてもカルシウム100%なので大丈夫です」
高知では子どもからお年寄りまで幅広い年齢で親しまれ、大切にされてきたサンゴ。
高知サンゴ工房さんには小学生が買いにくることもあるそうです。
「この間も、近所の女の子がお姉ちゃんときて、“お小遣いで買えるものだけにしなさいよ”って、イヤリングを買って行きました」
かわいらしいですね。ずっと欲しいなって思って買いに来たんでしょうね。
「今は材料が高くなって、小学生が買えるようなものがなかなかできないんですが、嬉しいですね」
今ではとても貴重なものとなったサンゴ。
お祝いや自身へのお守りに持ち帰りたくなりました。
<取材協力>
高知サンゴ工房
高知市桟橋通4-7-1
088-831-2691
http://www.kochi-sango.com/index.html