志賀直哉旧居

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「溺れずに家族を愛そう」と志賀直哉自らが奈良での暮らしのために設計した住宅。数奇屋風かつ洋風で、奈良の中でも閑静な住宅街・高畑にある。『暗夜行路』を脱稿したという和室や使い込まれた洋風の書斎はファンにはたまらないが、この住宅の何よりの魅力は志賀が創意工夫したその設計にある。台所とダイニングは料理の受け渡しができる戸棚で繋がり、南側のサンルームは冬は日光を吸収して暖かく、夏はひんやりと足元を冷やす瓦の床。志賀の居室と隣り合う子供達の勉強部屋は、床窓で通じお互いの気配が程よく感じられる。家族と心地よく暮らすために作られた住宅は、文学好きでなくとも発見や楽しみの多い空間だ。

開放的なダイニングルーム。角にある戸棚は隣の台所からも物の出し入れができる。
開放的なダイニングルーム。角にある戸棚は隣の台所からも物の出し入れができる。
明るいサンルームの床は、冬は日光を吸収して暖かく、夏はひんやりする瓦製
明るいサンルームの床は、冬は日光を吸収して暖かく、夏はひんやりする瓦製
志賀の居室と子どもたちの勉強部屋は床窓で緩やかにつながる
志賀の居室と子どもたちの勉強部屋は床窓で緩やかにつながる
『暗夜行路』を脱稿したという2階の部屋に、当時を思わせるような暮らしの気配
『暗夜行路』を脱稿したという2階の部屋に、当時を思わせるような暮らしの気配
玄関にかかる「直哉居」の額は、志賀の友人で画家の熊谷守一による書。志賀家より「この旧居にこそふさわしい」と寄贈された
玄関にかかる「直哉居」の額は、志賀の友人で画家の熊谷守一による書。志賀家より「この旧居にこそふさわしい」と寄贈された

写真:木村正史

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