【旬のひと皿】ロールキャベツ
みずみずしい旬を、食卓へ。
この連載「旬のひと皿」では、奈良で季節の料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。
届いたばかりの段ボールを開けると、手書きのお便りと共にじゃがいもやにんじん、カリフローレや紅芯大根といったお野菜に加え、きれいなキャベツが入っていました。農家さんから送っていただく、採れたてのお野菜便です。
冬の時期のお野菜は寒さを味方にして、甘みが増すのがひとつの魅力。旬ならではの味を想い、台所へきてくれたこのキャベツをどうしようかとホクホクしながら悩んだ末、まずはシンプルに蒸し焼きにしてみました。
材料は少しのオイルと先ほどのキャベツ、一緒に入れてくださったじゃがいも、そしてクミン。とても甘くはっとするおいしさで、ひとつのお皿としてまとまりつつも、それぞれの食材が際立ちます。気がつくと黙々と食べていました。
今回のテーマはキャベツにしよう!と決め、コトコト湯気の上がる風景が浮かんだのでレシピはロールキャベツに決定。旬を堪能できるよう、できるだけシンプルな材料と工程にしました。
道具に用いたのは土鍋です。ある程度深い鍋なら別の素材のものでも作れますが、ここはぜひ、冬の甘さを存分に引き出す土鍋で作っていただければなと思います。
私が使ったのは、大きなリムに一目惚れして購入した中川政七商店さんの平土鍋。購入時には構想から数年間、思考錯誤しながら時間をかけて開発されたお話しもお聞きしました。そんなエピソードも思い浮かべながらの料理は、またひとつ味の深みが増すような気持ちになります。
レシピの試作をしていた寒波の日、ドアの外に小学生くらいの女の子が立っていました。あれ?と思い外へ出てみると、赤ちゃんの頃から知っている顔。開口一番「受かったよー!!」と、中学受験の結果の報告に来てくれたのです。
ハイタッチをして嬉しい喜びをお裾分けしてもらった後、そうだそうだちょっと待ってねと、店内に生けていた満開のサクラを渡すと喜んでくれました。寒い寒いと毎日のように言っていますが、気づけばもう春の足音が聞こえていますね。
農家さんから届いた手書きのお便りには、「甘い野菜の次は、菜の花などの苦味がやってきます。待ち遠しいですね!」と締めくくられていました。
もうすぐ来る春を楽しみにしながら、まずはいま、一瞬しか味わえない冬の味を堪能したいと思います。お兄ちゃんと通う中学校での話も、また聞かせてもらえたら嬉しいなぁ。
<ロールキャベツ>

材料(2~3人分)
・豚ひき肉…300g
・キャベツの葉…大6枚(小なら12枚)
・冷凍きのこ(今回はしめじとしいたけ)…ひとつかみ
・玉ねぎ…1/2個
・レモン…適量
・塩麹…小さじ3(小さじ1と小さじ2に分けて使用)
・塩…3g
・水…500ml
きのこは食べやすい大きさに切り、冷凍しておいたものを使用しました。冷凍することで、スープの味わいが深くなります。
また、鍋は土鍋を使用。どんな鍋でも作れますが、保温力のある土鍋はじんわり火が入るので、ふっくらと仕上がります。

作りかた
ボウルにひき肉と塩麹(小さじ1)、塩を入れて軽く混ぜたら、おおまかに6等分しておく。

鍋に湯を沸かして塩(分量外)を入れ、キャベツを茹でる。芯の内側がすんなり曲がれば茹で上がりのサイン。水にとり、ザルにあげる。
キャベツの芯を削いで千切りにする。玉ねぎも同じく千切りにする。

キャベツをまな板に広げ、肉だねを中央において包みあげる。葉が小さい場合は二枚を左右に広げ、真ん中を重ねて一枚として使用する。下→左右の順に肉だねの方向に折りたたんだら、上に向かってぎゅっと巻いていく。


鍋を火にかけて、玉ねぎとキャベツの芯、きのこを入れて塩(分量外)をし、蒸し焼きにする。

しんなりしてきたらロールキャベツを並べて水を入れ、コンロの火をつける。沸騰したら火を弱め、塩麹(小さじ2)を入れる。灰汁がある場合は取り除き、蓋をして20分ほど火にかける。

最後にスープの味を確認し、薄く感じるようなら塩や醤油を入れて調整しても。うつわに盛り、レモンの皮を削って完成。


うつわ紹介

・【WEB限定】明山窯 secca scoop_M BLACK

写真:奥山晴日
料理・執筆

だんだん店主・新田奈々
島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和未生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。
https://dandannara.com/