絶景列車で結婚式発祥の地へ!出雲・松江の「神話」と「縁結び」の旅

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こんにちは。ライターの築島渉です。

神在月を迎える島根県・出雲。ヤマタノオロチ退治や、大国主大命(オオクニヌシノオオカミ)の国護りなど、神話が今も息づく神々の土地・出雲を巡るには、雄大な古事記の世界を目前にのんびりと旅する電車の旅がぴったり。

旧暦の10月には、あらゆる「縁(えにし)」を結ぶために八百万の神々が出雲に集います。神話の舞台を巡りに、そしてこれから出会う「縁」を見つけに、いざ、「絶景列車」でめぐる出雲・松江の旅に「参り」ましょう。

寝台で星を眺めながら山陰へ

日本人なら誰もが一度は触れたことのあるはずの須佐之男命(スサノオノミコト)や天照大神(アマテラスオオミカミ)の物語。

日本神話は、和銅5年(712年)に太朝臣安萬侶(おほのあそみやすまろ)らによって献上された日本最古の歴史書『古事記』からはじまります。

日本創生から描かれているという『古事記』の中でもとりわけ壮大な神話の舞台が、島根県出雲市。

東京から山陰は少し遠く感じてしまいますが、実は出雲には、寝台列車・「サンライズ出雲」で一直線。とっても気軽に行けてしまうのです。

東京駅を毎日22時ちょうどに発車する「サンライズ出雲」は、大きな窓が素敵な2階建ての「走るホテル」。東京〜岡山間を併結して走り、岡山駅で香川県高松行きの「サンライズ瀬戸」と切り離されます。

木調のあたたかみのある車内

豪華な個室寝台などさまざまなタイプの部屋がありますが、おすすめはスタンダードな個室寝台「シングル」の2階部分。

しっかりと足を伸ばして眠れるベッドにオーディオのコントロールパネル、浴衣やスリッパもついていたりと、お手頃な価格ながらわくわくした旅のはじまりには充分すぎるほど。

淡いブルーのストライプパジャマ。帯も同じデザインでかわいらしい。
行き届いた設備で、快適にすごせます

しかも2階なら、天井部分のまるくカーブした大きな窓から、ベッドに寝っ転がったまま星空まで見れるという最高のおまけつき。寝台に横たわり、神々に思いを馳せながら星空を見上げる‥‥そんな旅情も味わえます。

まずは松江に到着!結婚式発祥の地「八重垣神社」へ

八重垣神社

「サンライズ出雲」の終点は出雲駅ですが、神話と電車の旅を楽しむために、まずは松江駅で下車してみましょう。宍道湖と中海にはさまれ川が縦横に走る「水の都」松江には、実は「結婚式発祥の地」が。それが、八重垣神社です。

八重垣神社は、8つの頭と8つの尾を持つ大蛇・ヤマタノオロチを退治したと言われる須佐之男命(または素戔嗚尊・スサノオノミコト) にゆかりがあります。

日本神話屈指の勇ましい神話がなぜ「結婚式発祥の地」かといえば、スサノオノミコトが、ヤマタノオロチの生贄になりそうだった櫛名田比売(クシナダヒメ)を助け、めでたく夫婦となったのがこの地だったから。

クシナダヒメがこの地に立てた2本の椿の枝が交わって一本の巨木になったという言い伝えの椿、「夫婦椿」の前では、八重垣神社を訪れたカップルたちが未来の自分たちの姿を願い手を合わせる姿も。

夫婦神を祀る神社として、良縁や子宝のご利益があると連日多くの人たちが「縁」を求めてお参りする神社なのです。

鏡池の占い

また、クシナダヒメが自身の姿を映したと言い伝えられる「鏡の池」では、紙を浮かべて良縁を占うというなんとも風雅な占いもすることができます。

鏡池の様子

神社で手に入る専用の紙の上に硬貨を乗せ、手前で沈めば「待ち人は近く」、すぐに沈めば「出会いは間もなく」、と占いの結果を待つのもまた楽しいもの。澄んだ空気に神話の息吹を感じながら、「縁」を占ってみるのも素敵ですね。

出雲大社との両参りがおすすめ「美保神社」

松江市美保関にある美保神社は、出雲大社と両参りをすると縁結びの御利益が倍増する、という良縁を望む人にとってはなんともありがたい神社。

全国3385社ある恵美須様の総本宮で、大国主大命(オオクニヌシノオオカミ)の子供の事代主命(コトシロヌシノカミ)、すなわち恵美須様とその妻・三穂津姫命(ミホツヒメノカミ)を祀った神社です。

鳥居の間から青く澄んだ美しい海を臨むことができる風景は、思わずシャッターを切りたくなるほど風光明媚。せっかくの神話の旅なら、足を伸ばしてでもお参りしたい神社です。

海をのぞむ鳥居
海をのぞむ鳥居

レトロな一畑電車でほのぼのローカル旅

宍道湖沿いを行く一畑電車

出雲大社前までは、かわいらしい単線列車・一畑電車でのレトロな列車旅がおすすめ。映画の舞台にもなったこの電車は、線路の事情から進行方向を変えるスイッチバックが行われることで知られています。

突然運転手さんが駅を降りても‥‥反対方向の運転手席に行くためなので、びっくりしないでくださいね。一畑電車で、宍道湖の雄大な眺めや山陰の秋をのんびりと眺めながら、ガタンゴトンと約1時間のほのぼの列車旅。いよいよ神話の里、出雲へ到着です。

神前通りで神話に思いを馳せながら

出雲と言えばもちろん、まずは、大国主大神(オオクニヌシノオオカミ)をまつる出雲大社へ。オオクニヌシノオオカミは、「因幡の白兎」の神話でかわいそうなうさぎを助けた、あの優しい神様。たくさんの女神と結婚し、多くの子供を残したことから、縁結びの神様として知られるようになりました。

『古事記』にすでにその創建が記されている出雲大社は、オオクニヌシノオオカミが天照大神(アマテラスノオオミカミ)に国を譲り、その時につくられた天日隅宮(あまのひすみのみや)が始まりだといわれています。

神前通りの様子
神前通りの様子

参道へ続く神前通りには、この地が発祥だといわれる「ぜんざい」の専門店をはじめ、甘味処や、可愛らしいお土産物屋さんがたくさん。

ずっと昔から出雲大社を目指していろいろな人々が行き来していた通りだと思うと、なんだか不思議な気持ちを覚えつつも、美味しそうなにおいに寄り道したくなってしまいます。

荘厳な「神在月」の出雲大社へ

出雲大社の鳥居

神前通りを抜けると、「勢溜(せいだまり)の正面鳥居」と呼ばれる、大きな木の鳥居へ。

鳥居や参道は、神様がお通りになるところ。真ん中は神様の通り道として、端っこを通るのが正しいお作法だそうです。また、拝殿に向かう途中のほこら「祓社」(はらえのやしろ)でまずお参りをするのも大切なんだとか。

立派なしめ縄

出雲大社には、拝殿、その後ろにある高さ約24mの本殿、長さ13mのしめ縄がある神楽殿など、神社建築が隣り合って並んでいます。神々を思わせる荘厳で威厳ある姿は、まさに圧巻。

出雲大社でのお参りは「二拝四拍手一拝」という特別なものなのだとか。神々が「縁」を結ぶために話し合いをしているという神在月の出雲大社で、しっかりとご縁をお願いしてしまいましょう。

出雲大社

日本で唯一、スサノヲノミコトの御魂を祀る須佐神社

厳かな雰囲気の須佐神社

出雲大社とともにぜひ訪れたいのが、近年は「パワースポット」として若い女性にも人気という須佐神社。スサノヲノミコトの御魂を祀った、日本でただ一つの神社です。

ヤマタノヲロチを退治し、クシナダヒメと結婚したスサノヲノミコトは、その後出雲の各地を開拓。最後の開拓の地として自身の名を土地に付けて、自らの御魂を鎮めたのがこの場所だと言い伝えられています。

社殿の後ろには樹齢1300年とも言われる、樹高24メートル以上の大杉が。悠久の時をまとう霊験あらたかなご神木として、忘れずにお参りしたい場所のひとつです。

大杉の様子

出雲神話を駆け抜ける絶景トロッコ列車

おろち

神々の物語を堪能したら、ここでしか乗ることができない珍しいトロッコ列車も体験してみては。

「奥出雲おろち号」は、木次線木次駅~備後落合駅にかけて、山陰の絶景を駆け抜けます。

ブルーの車体やエンブレムに描かれた凛々しいヤマタノヲロチ、木製の椅子や床にも趣があります。

沿線にはオロチが棲んでいたという斐伊川上流の「天ヶ淵」、スサノオノミコトがオロチを退治した時の酒壷を祀る「印瀬の壺神」、荒ぶる神だったスサノオノミコトを、愛の力で変えた妻・クシナダヒメ(稲田姫命とも呼ぶ)を祀った縁結びの神社・稲田神社など神話ゆかりの場所がたくさん。

日本最大級の二重ループ「奥出雲おろちループ」や谷底まで約100mもある三井野大橋など、見どころも満載です。

折しも紅葉の季節。紅や黄金に色づき始めた奥出雲の景色を見ながら、神話をめぐる旅を締めくくるといたしましょう。

オロチの様子

神在月の出雲・松江をめぐる列車の旅には、「縁」あり、神話あり、歴史あり、自然あり。この記事を読んだのも、何かのご縁。神々が神話の世界に呼んでいるのかもしれませんよ。

文:築島渉