願いを結ぶ水引 〜自分で作るお正月のぽち袋〜
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こんにちは。さんち編集部の西木戸弓佳です。
早いもので、今日から12月。そろそろお正月の準備をしなければと、今朝、酉のこけしを飾りました。新しい1年、おめでたく迎えたいものです。
全国各地で行われるいろいろなイベントに実際に足を運び、その魅力をお伝えする「イベントレポート」。今回は、お正月に使える「水引」のアレンジを学びに、福岡・茅乃舎(かやのや)さんで行われたワークショップにお邪魔してきました。
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和文化や暮らしをテーマに毎月開催されている茅乃舎さんのイベント。今回は講師に水引デザイナーの長浦ちえさんを迎え、水引アレンジを学びました。枠に対して倍以上の応募があり、抽選となった人気ぶりなのだそう。近年、街中やメディアでもよく見かけるようになった「水引」。注目の高さが伺えますが、そもそも「水引」とは何なのでしょうか。その起源から教えてもらいました。
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水引とは、ご祝儀袋や贈答品に結ばれている赤白・黒白などの帯紐のこと。歴史は古く、飛鳥時代、遣隋使の小野妹子が帰国の折、答礼品に結ばれていた麻紐が起源と言われているそうです。「結び」は昔から、相手を思う所作として大切にされてきた文化。「おめでとう」や「ありがとう」を結びに込め、相手に伝えるという、日本の美しい習慣です。広く庶民に行き渡り始めた江戸時代には、有力な家庭にはお包みのための和紙と水引が常備されていたとか。最近では家庭で水引を結ぶ風習も少ないと思いますが、昭和初期頃までは学校でも教えていたほど、出来て当たり前で身近なものだったそうです。
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水引の結びは大きく分けると「蝶結び」と「結び切り」の2つ。何度あっても嬉しい出産や進学などお祝い事は、結び直せる「蝶結び」。一方、婚礼や弔事では “一度きりであってほしい” という願いを込め、「結び切り」で解けないよう結びます。「アレンジして使う上でも、この基本を守ることが大事」と、長浦さんが教えてくださいました。結びもモチーフも伝統のルールに沿った上で、アレンジをしているのだそう。
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今回は、結びきりの1つである「あわじ結び(あわび結び)」を応用した「梅結び」を教えてもらいました。 必要な道具はハサミとラジオペンチだけ。特別なものを使わず、身近なものだけで出来ることも、文化に根付いていた理由かもしれません。
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ぽち袋にする紙を選んだら、まずはあわじ結びを作ります。あわじ結びは、左右の輪に繋がった両端を引っ張ると、その結びがさらに強くなることから縁起のよい結びと言われているそう。
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あわじ結びを更に結んで、梅に展開。5つの花片を作ります。
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不思議と姿勢を正して向き合いたくなる、ピンと張った水引。そしてキュッと結ぶ瞬間がとても気持ちいいのです。本当に願いが封じ込めれるような気がして、逃げないようしっかりと結びたくなります。
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祝儀袋やお正月のお飾りとして、実は目にする機会も多いはずの水引。学んでみるとそこには日本の粋な文化がありました。個人的には、昔から続いているものだからという理由だけで伝統的なものはすべて残すべきとは思いませんが、贈るものにきちんと気持ちを込めるという風習だったり、相手を思ってものを作るという素敵な時間そのものが、無くなってしまうのは寂しいなぁと思います。文化も技術も、残るためには、伝統的な型を頑なに守るのではなく、今の暮らしに合うよう形を変え進化していかなくてはいけない、と伝統的な「水引」を使って作られた、カラフルなぽち袋を見ながらそんなことを改めて考えさせられた時間となりました。
文・写真: 西木戸弓佳