【旬のひと皿】豆ごはん

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で創作料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



毎日の自分のごはんにこまっている。

朝から蕎麦を打ち、諸々の仕込みをして、時計を見ながら慌てていてもあっという間に営業時間になってしまう。お客さんや誰かのためになら勝手に手が動くものの、自分のためだけにつくるごはんには、なかなかスイッチが入らないのです。

数か月間でしたが、お世話になっているワイン屋さんが開くワイン講座に月に一度だけ参加させてもらっていました。講座では毎月ワインを1本持ち帰り、自宅でじっくり味わいを感じて、次の会の時に感想を言い合うといった時間もありました。どんなお料理と合わせたとか、そのワインから受けた印象などなど。

同じワインでもそれぞれ受け取り方が違うし、もちろん好みも違う。ワインの感想を聞くことはもちろんですが、参加されている方のごはんの風景を聞くことも楽しく、豊かな時間を想像できてとても楽しかったのを覚えています。

仕事として料理や蕎麦を日々つくっていますが、やはり「美味しい」「楽しい」の原点はみんなで集まって食べ、時間を共有することだなと思います。お店でもそんな時間を過ごしていただければ嬉しいし、自分の普段の食事でもそんな時間をつくれたらいいなと思っています。

さて、今回は新緑のきれいな季節にぴったりの、豆ごはんのご紹介です。

野菜のさやや皮からもいい味が出るので、今回はさやをお米と一緒に炊きました。こうすることで、豆が入っていない部分を食べても「豆ごはん」を感じられます。お米は少しかために炊いて、チーズと黒胡椒、オリーブオイルをかければワインにも合いそう。

豆ごはんを頬張り「春もそろそろ終わりだね」なんて話をしながら、ほっと一息ついていただけたら。私も、おうちのごはんも大切にしたいものです。

<豆ごはん>

材料(作りやすい分量※4人分程度)

・米…2合
・えんどう豆…200g
・昆布…5cm角
・塩…小さじ1

作りかた

お米をといでザルにあけ、10分ほどおく。
えんどう豆をさやごとよく洗い、豆とさやにわける。さやはお米と一緒に炊くのでとっておく。

炊飯器または土鍋にお米を入れ、通常の水加減で水を入れたら30分ほど浸水させる。

塩を入れて軽く混ぜ、昆布を中央にのせる。その上にえんどう豆のさやをのせ、通常通りの時間で炊飯する。

豆の色をきれいに出すため、豆は炊飯時に混ぜず別に茹でておく。ごはんが炊ける時間に合わせて鍋に湯を沸かしたら、塩(分量外)を適量入れて豆を茹でる。好みのやわらかさでザルにあげる。

炊きたてのごはんからさやを取り出す。豆を混ぜ、少し蒸らして完成!

うつわ紹介

好日茶碗 太白野菊
陶器の箸置き 海鼠

写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和未生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。
https://dandannara.com/

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