益子の見どころは「屋根」にもあり。中世建築でめぐる4つの文化財
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こんにちは。ライターの竹島千遥です。
焼き物の里として知られる、栃木県の益子町。実は、中世建築 (鎌倉時代~室町時代の建築物) がたくさん残る街でもあります。
国指定重要文化財の中世建築の数は、なんと東日本で益子町がトップ!
前半の記事ではその7つの中世建築のうち、3つが現存する西明寺を訪れました。
前半の記事:「益子は『たてもの』も面白い。閻魔大王が笑う、西明寺へ」
後半では、西明寺を後にし、残り4つの中世建築を一気に巡ります!
均整のとれた姿が美しい、円通寺 表門
住宅地の中に突如現れたのは、円通寺の表門。
前半の記事で、中世建築には3つの代表的な様式があると書きました。「和様 (わよう) 」「大仏様 (だいぶつよう) 」そして「禅宗様」です。
ここ円通寺の表門は、室町時代の1402年建立と伝えられる、禅宗様の建築物です。
曲線美の茅葺屋根。綱神社 本殿、摂社大倉神社本殿
続いて、綱神社 (つなじんじゃ) へ。
聞こえるのは、時々どんぐりが落ちる「ぽとり」という音だけ。とても静かな場所です。
鳥居をくぐって山道を歩いていくと、木々に囲まれた空間に2つの建築物が並んで建っていました。いずれも室町時代のものと推定されています。
大きい方の建物が、綱神社本殿です。
綱神社本殿の隣には、摂社の大倉神社本殿が建っています。
3様式の折衷が見られる、地蔵院 本堂
そして、綱神社のすぐ近くには、地蔵院本堂があります。
こちらも綱神社とほぼ同年代に建てられたと推定され、室町時代の建築の特徴をよく表した建物。和様を中心として、禅宗様・大仏様を取り入れた折衷様となっています。
今回は、益子にある7つの国指定重要文化財の建築物を巡りました。
同じ栃木県内にある日光の社寺のような派手さはないものの、中世建築の特徴である、大きくカーブした屋根や建築物を支える木の部材には、思わず息を飲んでしまう美しさがありました。
ご紹介した寺社は、それぞれが離れた場所にあります。全てを巡るには車が必須ですが、一見の価値ありです!
益子に訪れる際には、ぜひ建築物にも注目してみてくださいね。
<取材協力>
円通寺
栃木県芳賀郡益子町大沢1770
0285-72-2724
地蔵院
栃木県芳賀郡益子町上大羽945-1
0285-72-0813
綱神社
栃木県芳賀郡益子町上大羽2350
文・写真:竹島千遥