中川政七商店のものづくり実況レポート。発祥の地、大阪 堺で注染手ぬぐいに染まる1日

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10月某日。

12名の店長が降り立ったのは、古くから手ぬぐいの産地として知られる大阪府堺市毛穴町です。

その歴史は江戸時代まで遡り、和晒の大産地であったことから大阪市内の注染業者がこの地に移住し、注染手ぬぐいの産地へ成長させたといいます。



店長たちは注染手ぬぐいに日々触れながらも、ものづくりの現場を自分の目で見るのは初めて。



まずは注染の魅力に染まった1日を、遊 中川奈良町本店、店長の村田がお届けします!


そもそも、注染とは?


目的地までの道のりには工場が立ち並び、手ぬぐい生地をつくる和晒工場からは、積み上げた生地の山が見えたり、 染屋さんの煙突からは、もくもくと湯気が上がっていたり。

手ぬぐいの産地ならではの、独特の香りと雰囲気にワクワクしながら歩みを進めます。

「注染」とは字のごとく、何層にも折り重ねた生地に染料を「注」いで柄を「染」めるという技法。
表裏を同時に染めるため、色褪せしにくく、生地の糸自体を染めることで通気性が保たれ、柔らかいのが特徴です。

中川政七商店直営店にも、この技法で作られた手ぬぐいが数多く並び、その芸術的な染め上がりには、日本の方はもちろん、海外の方にも人気を集めています。
 


注染手ぬぐいができるまで


見学にご協力いただいたのは、店頭に並ぶ注染手ぬぐいを作っていただいている株式会社ナカニさんと、株式会社協和染晒工場さん。

手ぬぐいができるまでの工程を見学させていただきました。



①「糊置き」

生地の上に型紙を固定し、その上から木へらで防染糊を載せていきます。




▲木へらには職人さんの指跡がくっきり!大変な力業ですね。

②「注染」

染めの必要のない部分に染料が流れないよう、ケーキのデコレーションをするような容器から糊を絞って境界線となる「土手」を作ります。まるでパテシエのような細かな作業!


その土手の中に、ドヒンと呼ばれるじょうろのようなもので染料を注ぐと同時に、染台に設置された減圧タンクを足元のペダルで操作して、下から吸引していきます。



その後蛇腹に折り重なった生地を表と裏の2回、丁寧に染めていきます。

1度に染め上がるのはおおよそ25~50枚分の手ぬぐい、とても根気のいる作業です。

この技法は明治時代に大阪の商人が、多色の絵柄を効率よく染め上げるために生み出したもの。

職人さんの手作業だからこそできる、優しいぼかしの風合い。ひとつとして同じ出来上がりのものはないのです。

量産ながらも1点ものである注染手ぬぐい。ついつい全部広げて見比べたくなりますね!



こちらは注染独特の道具、ドヒン。サイズは大小様々で、細かな柄を使い分けるために、コップより小さなサイズもあります。

産地ごとに形も少し違うそうで、液だれしないよう、注ぎ口が斜めにカットされ、下を向いているのが多色染めをする大阪特有だそう。

▲工場にはさまざまな色の染料が

色が多く使えると楽しい!と語るのは株式会社協和染晒工場の小松さん。1枚の絵画のように繊細な技を生み出す、伝統工芸士です。

目分量で色を作り出す職人さんは、まさに色の天才。



その限りない挑戦には、私たちもその技を伝える使命を感じます。
 
ナカニさんが注染を伝えるためにつくった特別な機械で、私たちも体験をさせていただきました!



今回は土手を丸く引き、染料が広がりすぎないよう、その中に慎重に染料を注いで、優しい丸模様を1人ずつ描きました。

思い通りに土手を描くのがとっても難しく、個性ある丸が並びましたが、広げたときには「おー!」という歓声。世界に1つだけの手ぬぐいができました。



③ 水洗い

「川」と呼ばれる洗い場にて、防染糊と余分な染料を洗い落とします。一昔前は近くの石津川を使っていたのだとか。


ものづくりには綺麗な水が必要、とナカニの中尾さん。川の水質や自然条件が晒作業に向いていたことが、注染の発展にもつながりました。



④乾燥

色が変色しないようにゆっくり自然乾燥させます。



手ぬぐいの工場では、日々職人さんたちが技術の向上に励んでいらっしゃいます。
中には若い女性の姿も。遠地から職人さんを目指して来られる方も最近は多いそう。

しかしながら職人さんたちは直接自分の言葉で注染のよさを伝えることができません。

お客さまに近い存在であるお店が、正しく理解して魅力を伝えていくことが大切、と中尾さんは言います。

注染の深い魅力を知った私たち。

その楽しみ方をもっと多くの方に知っていただくために、早速目で見てきたことをお店に取り入れてみました。

直営店の中でも手ぬぐいの取り扱い数が最も多い、日本市羽田空港店を覗いてみましょう!

アイデア次第でもっと楽しい、手ぬぐいの使い方


ここからは日本市羽田空港店、店長の門林が手ぬぐいの使い方について、ご提案させていただきます!

羽田空港店はお店の正面から手ぬぐいがお出迎え!
色とりどりの手ぬぐいがこれだけ並ぶと圧巻ですね。



羽田空港店では、手ぬぐいを家で飾られるというお客さまも多いので、季節の新しい柄が入荷するとたちまち売り切れてしまいます。

季節ごとに飾る手ぬぐいを変えるだけでお部屋の雰囲気ががらっと変わりますよね。

そういったお客さまにもよく聞かれるのが「飾る以外にどういう風に使えますか」という質問です。

質問に実践で答えられるように、早速ティッシュケースを包んでディスプレイしてみました。



ティッシュケースって意外と好みのものが売っていない!手ぬぐいならお好みの柄を選んで包むだけです。

その他、個人的に気に入った手ぬぐいのスカーフ。端を固結びするだけなので簡単です。



富士山エプロンにも似合うと思いませんか?

裏表がない注染手ぬぐいだからこそできる技ですね。

また、手拭きや汗取りにもなる上に、手洗いできて乾きやすいので山登りに持っていく方も多いそうですよ。

端が切りっぱなしで生地を割くことができる分、緊急時にはちぎって使えば包帯にもなるので、心強いですよね!

ぜひ店頭でお声がけくださいね!これからもどんどんおすすめしていきたいです。

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