【心地好い暮らし】第5話 散歩着のすすめ

みなさん、散歩の時って何を着てますか。

例えば日曜日の午後、出勤の時に横目で見ている公園に水仙がきれいに咲いてたし少し近所を歩いてみようと思うこともあれば、運動不足が過ぎて衰えていく足腰に危機感がある場合もあるかもしれない。上記はどちらも私の動機なのだが、加えてこの1年は愛犬(福ちゃん)の為の散歩というミッションが加わった。もはや私というより彼の健康に関わることなので行かざるを得ない。

休みの日ぐらいしか長い散歩はできないので、毎週末張り切って出かけていたのだけれど、寒くなってくると冬の散歩着問題が勃発した。室内着のまま出かけられない事もないのだけれど、ちょっとリラックスし過ぎかな…と躊躇があり、何より奈良の冬は寒い。ジャージ的なスポーツウェアにも縁がないので正解が分からぬまま、この冬色々と試行錯誤をしてきたので、お時間があれば今回はその話を少し聞いていただきたい。

そもそも、多少は汚れてもいい恰好でなくてはならない。散歩も訓練なので、犬が慣れないうちはあちこち頭を突っこんでは、ぐいぐいと引っ張られてしまう。
奈良はまだまだ自然の散歩道が残っているので、ぬかるんだ田んぼのあぜ道によろけたり、頼むから触らないで!と思うような汚れた前足で信じられないくらいの愛情を示されたりする。なので絶対にじゃぶじゃぶ洗濯ができないといけない。ただじゃぶじゃぶ洗えるという事は、生地もそれなりに軽く乾きやすい必要がある。その点、夏から愛用しているもんぺパンツはばっちりなのだけど、寒さ対策を優先順位1位にすると、これ一枚で完璧というには多少無理が生じることになる。

で検討した結果、お腹周りを腹巻きパンツで守ることにした。これは冬場普段から愛用しているもので、あまりの良さに親類縁者に無理やりプレゼントしているぐらいのお気に入り。外側に響かずとても軽くて暖かい。これで下半身はカバーできた。

あとは寒さ対策兼、髪の毛をセットする手間を省くためにも帽子も欠かせない。休日の犬の散歩の為だけにフルメイクはできない。いや、したくない。そこはもう自分を許したい。なのでさっとかぶれる帽子も必須。加えて、冬の寒さは遠くへ行ってみようという心を折ってくるので、ネックウォーマーや手袋もあるといい。ポイントは着脱できるところ。散歩の後半は軽く汗ばんでいるというようなこともよくある。

最後は全身のトータルバランス。お出かけほどの気合を入れる必要はないのだけれど、ご近所の方には気持ちよく挨拶したいし、わんちゃんかわいいわねと声をかけてくださる方もいたりして、ひとことふたこと言葉を交わす。色んな意味で人と触れあうことが難しい昨今、お互い犬の散歩中だと初対面でもこんにちはと自然に声をかける事が多い。その度に少し温かい気持ちになる。
ということで、現状冬の散歩着は、軽めの上着にあったかベスト、腹巻きパンツ、もんぺパンツ(あったかと綿麻を気温に応じて)、ニットキャップ、ネックウォーマー、手袋、スニーカーに落ち着いている。
夏は夏で蚊を避けるという一大事があるので大変なのだけど、それはまた別の機会に。

長めの散歩から帰って犬の身体をぬぐい、自分も身ぎれいにしてからゆっくり珈琲を飲む。足元では気持ちよさそうに犬が寝転がっている。
私の散歩着問題など全く関係ない愛犬は大きなあくびをして、すぐに寝息を立て始めた。
もう春はすぐそこ。その頃には少し薄着をして桜の下を歩くのが今から楽しみで仕方ない。

<掲載商品>
もんぺパンツ(158cmでLサイズ着用)
無縫製の冷えとり腹巻きパンツ


書き手:千石あや


この連載は、暮らしの中のさまざまな家仕事に向き合いながら「心地好い暮らし」について考えていくエッセイです。
次回もお楽しみに。

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