本と人の出会う場所 BOOKS AND PRINTS
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こんにちは。「BOOKS AND PRINTS ( ブックスアンドプリンツ ) 」の神尾知里です。
本日は浜松出身の写真家・若木信吾さんが立ち上げたセレクトブックショプ「BOOKS AND PRINTS」による新たな場所作りの取り組みをご紹介したいと思います。
浜松の書店が作るローカル・コミュニティー
浜松駅北口から徒歩10分。交差点の角に立つKAGIYAビルの2階に、写真家の若木信吾さんがオーナーを務めるセレクトブックショップ「BOOKS AND PRINTS」があります。
国内外の写真集を専門に取り扱う書店として2010年にオープンし、2012年に現在のKAGIYAビルへ移転。店員は私のような写真好きや本好き、地元の学生が客として出入りしているうちにいつの間にかスタッフになっていた人ばかり。開店当初は3人入ればいっぱいだった小さなお店も、今では展覧会やトークショーなど様々なイベントを開催する書店として注目を集めています。
移転したKAGIYAビルは、築50年以上の古いビルをリノベーションし、クリエイターのための「ショップ&ワーキングスペース」としてオープンしたもので、「BOOKS AND PRINTS」がリニューアル後のテナント第一号となった後も次々と個性的なショップが入り、KAGIYAビル全体で浜松の文化発信拠点となっています。
写真家として活動しながら、映画監督や雑誌出版など、様々なことにチャレンジされてきた若木信吾さん。写真集のコレクターでもあり、自ら出版社を立ち上げるほど本が好きだという若木さんは、映画を制作するために東京と浜松を行き来する中で、次第に浜松での書店開業を考えるようになったそうです。
店内には若木さん自らセレクトされた写真集やZINEなど、浜松ではなかなか手に入らない書籍が並ぶ一方、浜松でしか手に入らないオリジナルグッズにも力を入れています。
中でもひときわ異彩を放っているのは若木さんのお父さんである、若木欣也さんの手書きのトートバッグです。開店当初はお店に立たれていた欣也さん。店の白い紙袋が味気ないという理由で、イラストやロゴをサインペンで描いた紙袋が話題を呼び、紙袋展が開催されるほどの人気に。
私たちスタッフは欣也さんの素晴らしい手書きの字を尊敬の意を込めて「欣也フォント」と呼んでいます。最近では、トートバッグとなってお店の人気商品となっていますが、これももちろんひとつずつ手書きです。
また、鹿児島や香川の人たちと「勝手に姉妹都市宣言」をしてイベントを開催するなど、ローカルベースで活動する人たちとつながり、地方から発信していく楽しさを伝える活動も増えてきました。「自分たちの街を自分たちで楽しくしたい」と活動している人たちとの出会いは、とても刺激的で新たな原動力を生んでくれます。
オーナーの若木さんは「本屋がオルタナティブな場所であってもいい、という考えが現在の個人書店を支えていると思います。散歩がてら自然と足が向く、そんな場所をこれからも続けることが可能なのかチャレンジしていきたいです」と話されます。
浜松に着いたらまず「BOOKS AND PRINTS」へ、そこに行けば新しい発見や驚きがあるかもしれないと期待されるような本屋でありたいです。
<取材協力>
BOOKS AND PRINTS
静岡県浜松市中区田町229-13 KAGIYAビル201
053-488-4160
営業時間:13:00~19:00
OPEN:金,土,日,月
CLOSE:火,水,木
文・写真:神尾知里