小さな花器からはじめる、花のある暮らし  

暮らしに花を取り入れたい。でも、どんな花瓶を用意すればいいのか分からないし、きちんとお手入れできるのか不安もある。そんな方におすすめしたいのが、小さな花器とともにはじめる方法です。

誰でも気軽にはじめられて、お花の魅力を楽しむことができる。そんな花のある暮らしのポイントについて、花の定期便サービス「LIFFT」などを運営する「株式会社BOTANIC」さんにお話を伺いました。

※BOTANICさんの取り組みや想いについてはこちらのインタビューをご覧ください

少量のお花がさまになる、小さな花器から始めてみる

「最初は、小さな花器に少量のお花を生けるところから始めるのがおすすめです。

一輪挿しや小さな花器は、少量のお花でも飾りやすいようにデザインされているので、一種類のお花をシンプルに入れるだけでさまになります」

LIFFTの企画やSNS運用を担当する、BOTANICの谷田部京子さんはそんな風に話します。

株式会社BOTANIC 谷田部京子さん。LIFFTの姉妹ブランド「ex. flower shop & laboratory」代々木上原店 副店長

いきなり立派な花瓶を用意したり、たくさんの花を組み合わせたりする必要はなく、気に入った一種類の花を、気軽に飾る。そう考えると、確かに始めやすいかもしれません。

「小ぶりなものであれば飾る場所の制約も少なくて、ご自宅の雰囲気やインテリアに合わせて好きな場所に置けることも取り入れやすいポイントですね。

予算的にも揃えやすいものが多いので、いくつか用意しておくとバリエーションも出せて楽しみも広がります」

「専用の花器が無くても、たとえば小さな空き瓶だったり、使っていないグラスやボウルだったり、お花と相性の良いものが家の中に眠っていることもあります。

店頭で気になったお花を選んでいただければ、飾り方やお手入れ方お手入れ方法をお伝えしますし、もし使ってみたい花器や食器がある場合、それに準じておすすめすることも可能です」

と話すのは、BOTANIC代表の上甲知規さん。ご自身も、家にあるグラスを花瓶として使うこともあるのだそう。花器として使えるもののバリエーションがいくつかあれば、花を選ぶ際の「うまく飾れるだろうか?」という不安も小さくなると感じます。

BOTANIC 代表取締役CEO 上甲友規さん
取ってのついたマグカップも、花との相性が良い

長持ちしやすい花や、季節ならではの花がおすすめ

自分の気に入ったものを気軽に選んで良い。ということは踏まえつつ、初心者におすすめのお花があるとすれば、どんなものなのでしょうか。

「最初に選んでいただくのであれば、長持ちしやすいお花というのも良いのかなと思っています。

そもそも、切り花はすぐに枯れてしまうんじゃないかと心配する方もいらっしゃると思いますが、実はそんなことはないんです。種類や季節によっては2週間から1か月近く持つこともあります。

その中で、最初は特に長持ちしやすいお花を選んでいただくと、安心して楽しめるかもしれません。

あとは、季節を感じられるということと、色々なお花があることに触れていただけるので、その時期にしか店頭に並んでいないお花を選んでいただくこともおすすめしています」(谷田部さん)

花屋さんの店頭には、たくさんの花々が並ぶ。直感で好きなものを選びつつ、季節のものや、長持ち度合いを尋ねてみるのがおすすめ
自宅のインテリアや、使いたい花器のイメージに合わせて提案してくれることも

せっかくであれば、できるだけ長く楽しみたい。そういった意味では、確かに長持ちしやすいものを教えてもらえると安心できます。

花によっては適切な水の量が異なるなど、お手入れ方法も少しずつ変わってくるのですが、一種類ずつ生ける場合はそこもシンプル。お手入れがしやすいことも、花の長持ちに直結するポイントとのこと。

「すでに咲いているお花も、八分咲きくらいで売られていることが多いので、そこから綺麗に開ききる過程を楽しんでいただいたり。

切り花の状態からどんどん二番花、三番花と咲いてくるものもありますし、最終的にだんだんと枯れていく過程も含めて、一種類の切り花からでも、わびさびのようなものが感じられると思います」(上甲さん)


「身近なところでは、スーパーマーケットなどで数本のお花がセットになって販売されているものがあると思います。ああいったものを、セットのままではなく、一本ずつ小さな花器に分けて生けてみるのもおすすめです」(谷田部さん)

花が美しく見える長さを意識して生ける

最後に、花が綺麗に見える生け方について聞いてみました。

「基本は、花器の高さに対して、お花の出ている部分の割合が1から1.5くらいの比率で生けてあげるのが綺麗に見えるポイントです。

切り花の多くは、30センチ程の長さで販売されているので、細長い10から15センチほどの花器であれば、買ってきたお花をそのままストンと生けられます。

もう少し背の低いものや口の広がったタイプの場合は、必要に応じて茎を短くカットしてください。生けた後は、茎を定期的に1、2センチずつ斜めに切って断面を新しくすることで、お花を元気に保つことができます。

長さに合わせて生けるうつわを変えられると、一番おさまりが良いですね」(谷田部さん)

細長く、口がすぼんでいるものは、そのままストンと生けやすい
茎を切り、短くなってきたらさらに小さな花器へうつしていく。雑菌が繁殖しないよう、水に浸かる部分の葉っぱを取り除いておくことが重要

少し余裕が出てきた時には、小さな花器に加えてミドルサイズのものがひとつあると、さらに楽しみ方が広がるのだとか。

長いものを一本から生けられる、ミドルサイズの花器は重宝する

「一本でも、花束でも対応できるミドルサイズの花器があるととても便利です。

買ったばかりの長い時はミドルサイズに生けて、短くなってきたら小さい花器に移していったり。もしくは、この枝の部分無い方がすっきりするかも、といった時に思いきって切ってしまって、切った方は小さな花器に分けて生けることもできます」(上甲さん)

「ミドルサイズのものでボリュームを出すときも、はじめのうちは一種類のお花で本数を増やす方が飾りやすいです。その方がシンプルに綺麗に見せやすく、お手入れも楽なので。

だんだん慣れてきて種類を増やしていく場合には、今度は逆に単調にならないようにお花の形を変えてみたり、質感の違うものを色々入れてみたり、そんな風に試してもらえると良いのかなと思います」(谷田部さん)

ボリュームを出す場合も、まずは一種類でまとめると綺麗に見せやすい
慣れてくると、さまざまな種類を組み合わせてみる
花が散りはじめたら、花びらを浮かべて楽しむことも

花の蕾が開く様子を日々眺められたり、自宅にあった何気ないうつわが花瓶として輝いたり、近所の野花や季節の変化に敏感になったり。暮らしに花を取り入れると、思ってもみなかった楽しい経験がどんどんと増えてきます。

一種類のお気に入りの花と小さな花器をキーワードに、ぜひ皆さんも花のある暮らしを自分のペースでスタートさせてみてください。

「本当に一輪からでも、好きなお花を一緒に考えさせていただきたいと思っています。普段お花を買う習慣がない方にも、ぜひ気軽に取り入れていただきたけると嬉しいです」(上甲さん)

※本稿で使用している花器は、3月下旬頃に発売される予定です。

<取材協力>
BOTANIC

文:白石雄太
写真:奥山晴日

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