日本有数の“社長の町”、新潟三条「本寺小路」ではしご酒
エリア
こんにちは、ライターの丸山智子です。
金属加工の産地である新潟県三条市は工場が数多く軒を連ね、必然的に社長さんも多い地域。そうすると、外せないのが打ち合わせや接待などに使われる飲食店です。
「本寺小路 ( ほんじこうじ ) 」と呼ばれる三条の繁華街は、人口当たりの飲み屋さんの軒数が全国有数で、「社長!」と呼ぶと近くにいるみんなが振り返るとも言われてきたエリア。
きっと企業同士の交流を深めたり商談をしたり、また時には息抜きに利用されることで、お店も増えてきたのでしょう。
今日ははしご酒をしながら、そんな三条の美味しい文化を楽しんでみたいと思います。
サバ缶を丸ごとひとつ!全国区でブレイクした「サバサラ」
まず一軒目は、インパクト大なサラダをいただきに、「キネマ・カンテツ座」へ。
※現在はリニューアルして、店名「酒場カンテツ」となっています。
インディーズのショートムービーを上演している飲み屋さんという、ちょっと珍しいお店のスタイルにワクワクしながら扉を開けると、広がるおしゃれなカフェバーの佇まい。
ここに来たら頼まずにはいられないのが、蓋を開けたサバの缶詰ごとお皿に乗せて、粗みじん切りにした玉ねぎをトッピングした大胆なサラダ「サバサラ」です。
缶詰のアレンジにびっくりしていたら、お皿は三条の隣、燕市の伝統工芸品・鎚起銅器 (ついきどうき) であることに気づいて2度びっくり。
もう一つの看板商品である「カンテツコロッケ」は、シメジが入ったお米のコロッケ。一口食べるとホワイトソースとお米の甘い風味が口いっぱいに広がって、シメジの食感がいいアクセントに。揚げたて熱々をホクホクしながらいただきました。
新潟県の海の幸・畑の幸をぞんぶんに
さて、もうちょっとしっかり食べたくなったので、「漁師DINING 日本海ばんや」を訪れることにしましょう。
こちらはまさに“産地”にこだわったお料理をいただける居酒屋です。
まず出てきたのが、注文してから茹で上げる、三条の農家さんが育てた枝豆。
そして新潟県といえば日本海の海の幸、ということで、同店では佐渡や寺泊から届けられた新鮮な魚をお刺身でいただけます。
看板メニューの生牡蠣も、プリプリしていて、あっという間に食べ終わってしまうのが惜しいほどの美味しさでした。
新潟のお酒といえば日本酒、ということで合わせたお酒は三条市唯一の酒蔵・福顔酒造の「五十嵐川」。さらりと飲めて、料理を引き立ててくれるので、さらにお箸がすすむ一杯です。
そして何よりも嬉しかったのが、スタッフのフレンドリーな空気。店長である関本康弘さんを筆頭に、お客さんもスタッフも一緒に楽しめる空間作りが感じられます。
美味しいお料理に厨房から店内に広がる魚を焼く匂い、あちこちから上がる笑い声に、なんとも幸せな時間を噛みしめることができました。
三条のディープな情報とクラフトビールの組み合わせ
最後にもう一軒、締めは三条市で唯一クラフトビールを樽で提供している「Beerhouse3」にお邪魔してみることにします。
こちらの店主・池野泰文さんは実は元三条市の職員で、三条の歴史や金物産業に精通している人物。2013年からスタートした、三条市と燕市の工場や農家を解放して、ものづくりを体験できるビッグイベント「燕三条 工場の祭典」や、食文化や生活技術など地域に根ざした新旧の知恵を再編集し、絶品のスパイス料理を提供する「スパイス研究所」の立ち上げにも関わっていたそうで、お酒と一緒に三条のディープな話もどんどん進みます。
この日いただいたのは「IPA」というホップをたっぷりと使ったクラフトビール。
実は私、ビールの苦みがあまり得意ではないのですが、このビールは本当に香りが芳醇で、美味しくいただけました。もともと池野さんもクラフトビールに出会うまではビールが苦手だったというから驚きです。
「本当に本寺小路は社長が多いのですか?」と確かめてみると、「5割以上のお客さんが社長ですよ」とのこと。ちなみにこの日は、家業が包丁屋さんという次期社長が飲みにいらしてました。
外に出ると、あちこちで代行のタクシーやはしご酒をする人とすれ違い、いつの間にか辺りは真っ暗に。なんとも美味しく楽しい街・三条。この街の楽しみ方がまた一つ増えました。
ここでいただけます
酒場カンテツ
新潟県三条市本町2-13-3
0256-55-4504
https://www.facebook.com/sakabakantetu
漁師DINING 日本海ばん屋
新潟県三条市居島2-26-3
0256-36-7288
http://www.greatcompany.co.jp/banya.html
Beerhouse3
新潟県三条市居島3-15
0256-64-8312
http://beerhousecubed.hatenablog.com
文・写真:丸山智子
*こちらは、2017年8月16日公開の記事を再編集して掲載しました。ものづくりの町として盛り上がりを見せる燕三条。訪れたらぜひご当地でしか味わえないお店で一杯!