【旬のひと皿】スイカのスムージー

みずみずしい旬を、食卓へ。
この連載「旬のひと皿」では、奈良で季節の料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。
「奈良にはいろんなお祭りがあっておもしろいんですよ」と、とある方から教えてもらいました。例えば毎年7月7日には吉野町のお寺で「蛙飛び行事」なるものがあるそう。
少し検索しただけでも、全国でもこちらのお寺さんだけの珍しい行事だということがすぐに出てきました。長く住んでいても知らないことが多く、お祭りといえば花火と屋台だけではない、長年、毎年行われている行事があるのだなと楽しくお話を聞かせてもらった日でした。
私の生まれ育った島根の町でも県を代表する七夕行事があります。旧暦の七夕の日(8月6日)の夜に平和を願い、浴衣やはっぴで着飾った子どもたちが笹竹に短冊や提灯などの七夕飾りをつけ、お囃子をしながら山車とともに商店街を練り歩くというもの。450年も続くお祭りです。
夏休みに入ると、お祭りの日までは毎日、午前中は準備に出かけていました。そのお祭りに欠かせないのがスイカの形をしたスイカ提灯。子どもたちの持つ笹竹や、各家庭の軒下に吊るされるものです。
手づくりなことも相まって、可愛らしいあたたかい光が灯る夜の景色。毎年お祭りには行けずとも必ず思い出す素晴らしい夏の思い出です。
毎年続けていけるのは、地元の皆さんのお力があってこそだと思います。全国の様々な行事がこの先も続くことで、各々の世代みんなが同じ経験をして育っていく。当然のようで当然ではない、貴重な経験をさせていただいたなと地域の方には感謝しかありません。
お祭りの翌日にはスイカを切って各家庭に配ってもらいました。ビックイベントが終わってしまった寂しさと、楽しかったお祭りを思い出して食べる夏のスイカはとってもおいしかったものです。
年齢を重ねた今はというと、暑さも年々増してきて、仕事おわりのスイカに助けられています。
暑いところから帰ってきて、冷えたスイカにかぶりつくのが最大限にスイカのよさを味わえるとは思いますが、今回はちょっと趣向を変え、少し塩分も加えてごくごく飲めるスイカのジュースを作ってみました。
<スイカのスムージー>

材料(2人分)
・スイカ…1/8カット
・クランベリー…お好みの量
・ハーブ(今回はミントとタイムを使用)…適宜 ※飾りに使用
・豆乳…200ml(スイカの半分程度の量になるように)
・はちみつ…少々
・塩麹…少々

作りかた
スイカは皮部分を切り落としたら、飾り用に真ん中の甘い部分を切り分けておく。時間があれば、切り分けた部分を凍らせてスイカ氷にするのもおすすめ。その他の部分は小さくカットし、種を取り除く。


クランベリーがあれば一粒を4等分に切っておく。

ボウルに種をとったスイカ、豆乳、はちみつ、塩麹を入れる。ハンドブレンダーを使い、果肉感が残るよう軽く攪拌する。


グラスに入れ、取り分けておいたスイカ、クランベリー、ハーブを飾って完成!


うつわ紹介

写真:奥山晴日
料理・執筆

だんだん店主・新田奈々
島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和未生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。
https://dandannara.com/