開け、KOUBA!産地を味わう秋の4日間「燕三条 工場の祭典」2016

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こんにちは。さんち編集部の杉浦葉子です。
全国各地で行われるいろいろなイベントに実際に足を運び、その魅力をお伝えする「イベントレポート」。
今回は、新潟県燕三条とその周辺地域で、10月6日 (木) から9日 (日) の4日間にわたり開催された「燕三条 工場の祭典」に行ってきました!

室町時代から続く金属加工製品の産地として有名なこの地域。しかし、そのものづくりの現場を消費者が目にすることは今までほとんどなかったそう。普段は訪れることができない町工場が開放され、一般の人々が職人たちと対話しながらその手仕事を間近に見ることができ、さらにはワークショップで体験までできるというスペシャルなイベント、それが「燕三条 工場の祭典」です。

2013年にスタートして4年目を迎えた今回は、金属製品のKOUBA (工場) だけでなく、米どころとしても有名なこの地で農業に取り組むKOUBA (耕場) も多数参加。また、ものづくりの想いがぎっしり詰まった産品をKOUBA (購場) で手にすることができるという、三位一体のKOUBAをめいっぱい味わえるとても魅力的なイベントになっていました。

それでは、78工場、13耕場、5購場、計96 KOUBAが参加した、盛りだくさんの秋の祭典、
まずは「工場」から。
——— 開け、KOUBA!

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「玉川堂」は、1枚の銅板を鎚で叩き起こして銅器を製作する、鎚起銅器の伝統技術を継承している老舗で今年200周年を迎えました。この日、説明してくださった玉川堂の番頭、山田立さんは、今回の「工場の祭典」の実行委員長。「玉川堂」の歴史に、たくさんの人が真剣に耳を傾けます。

静かな作業場に、カンカンカン…とリズミカルに鎚の音だけが響きます。この丸くて美しい形状が、元は平らな銅板から打ち出して作られているなんて!ちなみにこのイベントで「工場」の方がお揃いで着ているTシャツは火 (ピンク) と金物(シルバー)をイメージしたストライプのもの。遠くからでもよく目立つ「燕三条 工場の祭典」ユニフォーム。

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銅に多彩な着色を施す技術は、世界でも玉川堂のみが保有しているそう。

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イベント中、2階は休憩スペースに。たくさんの人々が玉川堂の建物を行き来し、歴史ある雰囲気を楽しんでいました。

「火造りのうちやま」さんは、和釘や古建築金物を製造しています。和釘は、寺社仏閣や文化財などの古建築物の修理復元になくてはならないもの。その種類も大きさも様々です。

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これは、釘の頭部をくるんと巻いた「巻頭釘」。木目に沿って完全に打ち込めば、頭が潰れて平らになり、床などの表面に出ることはないそう。こちらでは「和釘づくり体験」ワークショップを開催。職人の内山立哉さんに、作り方を見せていただきました。

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熱した鉄を金鎚ひとつでリズミカルに叩き、釘の頭をくるんと丸めます。内山さんの手にかかれば、ものの数分で和釘のできあがり。一つひとつ丁寧に作られている和釘。今度、寺社仏閣に訪れたら、建物の隅々の金具をじっくり見てしまいそうです。

「大泉物産」は精巧なステンレス加工技術で、デンマーク王室御用達のKAY BOJESEN (カイ・ボイスン) など、世界が認めるカトラリーの製造を行っています。今年はスプーン作りの体験ワークショップを開催していました。

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まだヘラのような形の平らな板を、スプーンの丸い形に抜きます。ワークショップ体験者さんは緊張の手先で、スプーン板をそっと丁寧に機械にセット。

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柄の部分にカーブをつけるためにプレス。職人さんの手元の動きはやはりスムーズで早いです。

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何度も丁寧な磨き工程を経て、ピカピカのスプーンに仕上がっていきます。自分で型抜きをしたスプーンは、名入れの後、自宅へ発送してくださるとのこと。とっても楽しみです!

「庖丁工房タダフサ」では、創業当初から手造りにこだわり、さまざまな包丁を製造しています。

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工場見学ツアーでは、見学者の方々に声が届くように一人ひとりにイヤホンが配られ、説明の声を逃さずに聞くことができました。

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火あり、鎚あり、ヤスリあり、水あり。包丁作りの20以上の工程を、順を追って見せていただきました。

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最後の柄入れの作業をしていたのは、2代目の曽根忠一郎さん。まだまだ現役の職人さんです。

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昨年の「燕三条 工場の祭典」開催に合わせてオープンした工場併設のファクトリーショップでは、3代目の曽根忠幸さんが色々な包丁について説明。工場見学した後は、なおさらこちらの包丁が欲しくなり、ショップも大盛況。研ぎ直しはもちろん、包丁のことなら何でも相談に乗ってくれるというので安心です。

「近藤製作所」は、自由鍛造(たんぞう)で鍬 (くわ) を造り続けてきた鍛冶屋さん。鍛造とは金属を叩いて圧力を加えて強度を強くすることで、古くから行われてきた刃物や武具の製造方法です。

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さまざまな鍬(くわ)や鋤(すき)がずらり。日本の地域によってもさまざまな形状の違いがあるそうで、こちらではその地域性や使う人の愛着を重んじて、全国のあらゆる仕様やオーダーメイドに対応した鍬造りを行っているそう。

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笑顔がチャーミングな名物工場長の近藤一歳さん。鍬へのこだわりを話し出したら止まりません。

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こちらでは、なんとMY鍬作り体験のワークショップを開催。こんな体験、なかなかありません!

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工場の重厚な機械に圧倒されながらも、近藤さんや職人さんが手とり足とり優しく指導してくださって和やかな雰囲気。

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家族で参加された方、遠方からお一人で訪れたシステムエンジニアの方など、普段この地を訪れそうにない人々が、この鍛冶工場を通じて一緒にものづくり体験。「鍬を自分で作れることなんて、なかなかないと思って参加しました!」皆さんとっても楽しそう。新鮮な一期一会です。

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溶接作業はやはりプロの職人さんにお任せ。自分で作った鍬、一生の宝ものになりそうです。

まだまだたくさんの「工場」 がピンクストライプに彩られていましたが、
続いては、「耕場」へ。
——— 開け、KOUBA!

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