開け、KOUBA!産地を味わう秋の4日間「燕三条 工場の祭典」2016
燕市吉田本町の地で27代続いてきたキュウリとお米の農家「ひうら農場」。2000年から始めた無農薬・無化学肥料での米の栽培では、稲と草と生き物を観察するために手で草を抜くことを基本にしているそうです。
こちらではキュウリの収穫体験を!27代目の樋浦幸彦さんがキュウリの収穫の仕方を教えてくれます。キュウリを求めて緑の中へ突入。大きなキュウリを見つけると、嬉しい!童心にかえって宝探し気分です。
小さな赤ちゃんキュウリにも出会えました。思う存分収穫して袋いっぱいにキュウリを抱え、一息ついたら、お腹がぐぅ。すると、樋浦さんの作った新米で作ったおにぎりの振る舞いがありました。おにぎりだけではなく、お味噌汁やキュウリのおつけものなど、こちらで採れた豊かな作物をいただきます。なんて幸せなひととき。
「耕場」Tシャツは、太陽 (ピンク) と水 (青) のストライプ。皆さんの笑顔が印象的でした。
シイタケ農家「しいたけ新六」では、秋の山をイメージした気温や湿度を管理し、年間を通じて安定したシイタケ収穫を行っています。
施設内には菌床がずらり。菌床からぴょこんとシイタケが顔を出しています。
大きくて肉厚ぷりぷりなシイタケを作っているのは近藤孝志さん。会社員からシイタケ農家に転職したという近藤さん。鮮度が命のシイタケを新鮮なまま味わってもらえるよう、日々試行錯誤されているそうです。
「三条スパイス研究所」は、東京押上にある「スパイスカフェ」の伊藤一城シェフ監修のもと、食をはじめ地域のさまざまな資源をスパイスのようにミックスすることで、街や暮らしを再編集することを目指す食堂。
ピンクストライプのプロジェクションに彩られ、この日は祭典バージョンです。
トレーに盛られたご飯と、季節の野菜を使ったスパイスおかずにカレーをかけて、自分で混ぜながらワンプレート上で味の調合を楽しめるメニューが基本。写真はターリーセット1,200円。
この日はステージえんがわにて、「燕三条 工場の祭典」プロデューサーの山田遊さんと、スパイス研究所所長の伊藤一城シェフとのトークショーが行われていました。「燕三条 工場の祭典」では、夜も楽しむことができるイベントが各所で行われているので、宿をとってゆっくり訪れるのがおすすめです。
続いては、産地でつくられた品を手にすることができる「購場」へ。
——— 開け、KOUBA!
燕市の「ツバメコーヒー」は、コーヒーと喫茶、生活道具のあるお店。
さまざまな生活道具を揃えたショップは、地元でつくられているものを中心に、愛着を持って長く使えるものを案内したいとの店主の思いを込めた商品が扱われています。コーヒー周りのものはもちろん、ブックカバーや手ぬぐいなど「ツバメコーヒー」オリジナル商品もたくさん。
良質なコーヒー豆をシンプルに焼いて淹れたコーヒーを、大きなブックシェルフとソファ、カウンターのある空間で楽しむことができます。カップになみなみ、たっぷりと提供されるコーヒーでゆっくりくつろげるのが嬉しい。
看板犬の黒スケは、おとなしくていい子。コーヒータイムを一緒に過ごすことができます。
そして、「工場の祭典」とタイアップして今回同時開催されたのが、中川政七商店の「新潟博覧会」。これは、全国の産地と中川政七商店が手を組んで「日本の工芸を元気にする!」という「大日本市博覧会プロジェクト」の一環で、産地で工芸と出会い、学び、体験し、土地の魅力を再発見するというコンセプトで開催されているもの。「新潟博覧会」では閉校になった小学校をリノベーションして作られた三条ものづくり学校が会場となり、大きな「購場」を担いました。
エントランスでは、中川政七商店が今年300周年を記念して制作した、匠の技と新進気鋭の技が対峙した二体の鹿オブジェが迎えてくれました。
メイン会場の天井には、三条六角巻凧が!そして、日本各地の工芸品と中川政七商店の商品を販売する巨大な物販ブースが登場。新潟博覧会の開催をきっかけに誕生した、地元メーカーと中川政七商店とのコラボレーションアイテムも揃っていました。
バイヤー細萱久美さんが選んだ燕三条の逸品コーナーは、お客さんがぎっしり。ステンレス製のカレー皿を手に抱え「お土産にと思って見ているうちに、自分用にも欲しくなったので真剣に選んでいます。(笑) 」と、お客さん。
そして米どころ新潟は、おいしいものの宝庫!会場では、地元の企業やお店と中川政七商店のコラボレーションによる新潟の食材をたっぷり使ったメニューを楽しむことができました。
また、ものづくりの町である三条の名士たちと、中川政七商店 十三代 中川淳さんが行政や経営、工芸の話を語りあうトークショーも行われ、これからの町を思う多くの方々が耳を傾けていました。
まだまだ紹介しきれないほど、たくさんのKOUBA (工場・耕場・購場) の扉が開かれていた「燕三条 工場の祭典」。
このイベントを通じて感じたことは、この町がとても豊かな産地であること。そして何より、ものづくりに携わる方々の思いや誇りです。丁寧にものづくりをされている様子や、作り手の顔を見ると、ものへの愛着が何倍にも膨らみました。ものづくりに触れるには、作られた「もの」だけでなく、その土地の空気を存分に感じる「こと」も、とても大切。心が満たされ、お腹も満たされ、とにかく五感が満足したイベントでした。
次回の「燕三条 工場の祭典」はどんなことが楽しめるのか、今からとても待ち遠しいです。
文・写真:杉浦葉子
(トップ写真:©「燕三条 工場の祭典」実行委員会