大掃除に使いたい、日本の掃除道具3選

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壁に掛けられたほうき

こんにちは。さんち編集部です。

大人になると、1年経つのがあっという間です。ここ数年はいつも「もう今年も残り1ヶ月かぁ」と12月を迎えている気がします。

お雑煮とお年玉を楽しみにしていた子どもの頃とは違い、大人の年末年始は大忙し。年賀状を書き、1年間お世話になった家や会社を掃除して、年末のご挨拶。台所ではせっせとおせちを作り、年越し蕎麦の準備を始めます。

ああ忙しい忙しいと言いながらもワクワクしてしまう、より良い年を迎えるための、年末年始の家しごと。1年を振り返り、これからを考えるこの時節に、日本の暮らしの工芸品を取り入れてみたいと思います。

本日は日本独自の習慣、大掃除に使いたい日本の掃除道具をご紹介します。

1. 和歌山の棕櫚箒 (しゅろほうき)

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自宅で箒を使ったことがありますか?小学生の時に教室の掃除で使ったきり‥‥という方も多いのではないでしょうか。ほうきの中でも美しい道具といえばこの棕櫚箒 (しゅろほうき)。

棕櫚とはヤシ科シュロ属の常緑高木のこと。南九州や四国、和歌山などで栽培され、1877年 (明治10年) 頃より和歌山県野上谷地域でたわしやほうきなどを製造する「棕櫚産業」へと発展しました。

自然素材でありながら丈夫で長持ちな棕櫚を使用した棕櫚箒は「一生に3本あれば足りる」と言われ、大切に使えば15年から20年使えるそうです。

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「たわしにも使う素材」と言うとなんだか硬そうで、床を傷つけてしまいそうですが、私たちが一般的に想像する硬いたわしはパーム素材でできています。棕櫚は当たりがやわらかく、棕櫚でできた箒はフローリングや畳に適していて掃除機よりも床にやさしいそう。

また、棕櫚素材は繊維表面が特殊なため埃や髪の毛を絡め取り、長年かけて磨くことによって畳やフローリングにツヤが出てくるのだとか。毎日床を育てる感覚で使うのも良いですね。

1930年頃より棕櫚製品の加工を始めたという高田耕造商店の棕櫚箒。実用品として使い続けたくなる本物の生活道具を作り続けていきたいと、現在でも一本一本和歌山の自社工房にて作られています。産地に生まれた職人の気概を感じる美しい生活工芸品です。

和紙でできたちりとり「はりみ」。黒塗りは高田耕造商店の別注カラーです
和紙でできたちりとり「はりみ」。黒塗りは高田耕造商店の別注カラーです

大掃除はもちろんのこと、夜遅くでもお隣を気にせずササっとお掃除できるので、普段のお掃除にも便利そうですね。

2. 大阪のトタンバケツ

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日本のお掃除の基本はやはりバケツと雑巾。自分の手を使ってするお掃除は大変だけれど、年に一度の大掃除。1年間お世話になった家への感謝を込めて、自分の手で、普段は手が届かない隅々まできれいにしたいものです。

木の把手が冷えた手にもやさしくかわいい
木の把手が冷えた手にもやさしくかわいい

何の変哲もない絵に描いたようなバケツですが、トタンはサビにも強く、とっても丈夫な素材。それほど広く知られてはいませんが、大阪は大阪金物団地があるなど金属加工の盛んな街。

かつて「天下の台所」と呼ばれ、文化・技術がここに集まっていた背景から、高度な加工技術を持ち、現在でも美術工芸的なものではなく、日常的で身近な製品が多くつくられています。

トタンを使ったタライやバケツもそのひとつ。一見すると大量生産の工業製品のようだけれど、大正12年創業の大阪の町工場で職人の手しごとによって生まれています。無駄のない美しい形と丈夫さは質実剛健そのものです。

3. 奈良の蚊帳生地ふきん

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新年を迎えるにあたって、古くなったものを新調するご家庭は少なくないのではないでしょうか。タオルに歯ブラシ、スポンジや下着などの消耗品を新しく買い換えると、なんだか気持ち良く新しい年をスタートできる気がします。

台所で使うふきんもその中のひとつです。毎日使って少しくたびれてきたふきんはこのタイミングで新調したいもの。でも、このふきん、まだ役目は終えていません。大掃除の道具としてもうひと仕事してもらいましょう。

蚊帳生地ふきんはやわらかいので女性でもしぼりやすく、水切りが良い。繊維も出ないので雑巾としても優秀です。もちろん雑巾用に縫っていただいても構いませんし、丈夫なのでそのままでも。

昔ながらの製法で織り上げられた蚊帳生地は奈良の特産品です。中川政七商店の「花ふきん」は、その蚊帳生地を2枚重ねて縫い合わせた大判で薄手のふきん。

大きく広げたり小さく折ったりと、そのときどきで形を変えながら、料理用から台所用、お掃除用へと長く使える働きものです。使い続けてふわふわのクタクタになった姿はお疲れさまと声をかけたくなる愛おしさ。

仕事を終えたふきんはふわふわで気持ち良い
仕事を終えたふきんはふわふわで気持ち良い

中川政七商店の「花ふきん」は、毎年8月7日に行われる奈良東大寺の大仏さまの「お身拭い (おみぬぐい) 」でも使われ、なんと大仏さまの身体を拭いているのは「花ふきん」だそう。蚊帳生地の品質の高さが伝わってくるエピソードです。大仏さまとお揃いだなんて、お家もよろこんでくれるかも。

工芸と迎える新年、次回は食卓道具へと続きます。

<掲載商品>
しゅろのやさしいほうき 五玉 焼檜柄 短 (高田耕造商店)
はりみちりとり 大 (高田耕造商店)
トタン製バケツ 10型 (土井金属化成株式会社)
花ふきん (中川政七商店)

文・写真:さんち編集部


*この記事は2016年12月5日公開の記事を、再編集して掲載しました。

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