1月 新しい年のゲン担ぎ。豆盆栽「金豆」
こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。
日本の歳時記には植物が欠かせません。新年の門松、春のお花見、梅雨のアジサイ、秋の紅葉狩り。見るだけでなく、もっとそばで、自分で気に入った植物を上手に育てられたら。
そんな思いから、世界を舞台に活躍する目利きのプラントハンター、西畠清順さんを訪ねました。インタビューは、清順さん監修の植物ブランド「花園樹斎」の、月替わりの「季節鉢」をはなしのタネに。
植物と暮らすための具体的なアドバイスから、古今東西の植物のはなし、プラントハンターとしての日々の舞台裏まで、清順さんならではの植物トークを月替わりでお届けします。
紅白の梅、思いのまま
12月の松に続き、今月もおめでたい植物が続きます。「思いのまま」とは、実は梅の品種名なんです。
「一本の木に紅白の花を、好きな場所に、好きなだけ咲かせます。まさに思いのまま。非常にユニークで、面白い木ですよね」
「古い植木屋さんから聞いた話では、高貴な身分の方が、その立場ゆえに不自由な暮らしの中で、もっと思いのままになればいいのに、と好んで育てていたとも言われています」
もともと自然界にある品種ではなく、人の手で交配を重ねて生み出した園芸品種だそうです。咲き方は鉢によっても異なり、咲いてみるまでわからないとのこと。
まさに名が体をぴったりと言い当てています。
今月のもうひとつの季節鉢「金豆」も、名前に物語のある植物。キンズ、と読むそうです。
縁起を呼び込む豆盆栽、金豆
金、の字は金柑の仲間であることもあるようですが、もうひとつ、縁起を担いだいわれがあります。
「黄色く熟した果実がまるで『金の豆』に見えることから、縁起のよいものとして重宝されてきた植物です」
「また、豆という名前はだいたい小さいサイズの植物につきます。柿でも、豆柿とか言いますね。
小ぶりで可愛らしいので、豆盆栽の素材として園芸好きにも好まれています」
豆盆栽。なんとも愛らしい響きです。
黄色い実を金色の縁起ものに見立てたり、小ささを「豆」に例えたり、植物の生き様を名前に込めてみたり。
見る、育てるに加えて、植物の名前に親しむのも、ひとつの楽しみになりそうです。
「それじゃあ、また」
<掲載商品>
花園樹斎
・植木鉢・鉢皿
・1月の季節鉢「梅 思いのまま」「金豆」(それぞれ鉢とのセット。店頭販売限定)
季節鉢は以下のお店でお手に取っていただけます。
中川政七商店全店
(東京ミッドタウン店・ジェイアール名古屋タカシマヤ店・阪神梅田本店は除く)
遊 中川 本店
遊 中川 横浜タカシマヤ店
*商品の在庫は各店舗へお問い合わせください
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西畠 清順
プラントハンター/そら植物園 代表
花園樹斎 植物監修
http://from-sora.com/
幕末より150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の五代目。
そら植物園(株)代表取締役社長。21歳より日本各地・世界各国を旅してさまざまな植物を収集するプラントハンターとしてキャリアをスタートさせ、今では年間250トンもの植物を輸出入し、日本はもとより海外の貴族や王族、植物園、政府機関、企業などに届けている。
2012年、ひとの心に植物を植える活動・そら植物園を設立し、名前を公表して活動を開始。初プロジェクトとなる「共存」をテーマにした、世界各国の植物が森を形成している代々木ヴィレッジの庭を手掛け、その後の都会の緑化事業に大きな影響を与えた。
2017年12月には、開港150年を迎える神戸にて、人類史上最大の生命輸送プロジェクトである「めざせ!世界一のクリスマスツリープロジェクト」を開催した。
花園樹斎
http://kaenjusai.jp/
「“お持ち帰り”したい、日本の園芸」がコンセプトの植物ブランド。目利きのプラントハンター西畠清順が見出す極上の植物と創業三百年の老舗 中川政七商店のプロデュースする工芸が出会い、日本の園芸文化の楽しさの再構築を目指す。日本の四季や日本を感じさせる植物。植物を丁寧に育てるための道具、美しく飾るための道具。持ち帰りや贈り物に適したパッケージ。忘れられていた日本の園芸文化を新しいかたちで発信する。
文・写真:尾島可奈子