おばあちゃんの着物を今っぽくする小物をプロに聞く
「1年のはじまりの日は、新品のいい服を着なさい」と昔、祖母が言った。
その理由は分からないですが、たしかにパリッと新年を迎えられるのは気持ちがいいものです。もう祖母はいないけれど、今でも新年にはちょっと背伸びして買った服や着物を着るのが我が家の習慣。
だけど、今年は祖母の着物を着てみようかなぁ。
この前実家のタンスを整理していたら、祖母や母の着物がたくさん出てきたのです。
母親は「ちょっと古くさいんじゃない」なんて言いますが、正統派の柄や色づかいはとても素敵に思えました。そしてなにより、祖母が若いときに着てたものと新年を迎えるのはなんだか嬉しいものです。
でも、たしかにそのまま着るとちょっとクラシックさが目立つかもなぁ。
それなら、着物のまわりの小物であそんでみようと、昔の着物でもシックに着れる小物やアクセサリーをプロに教えてもらいました。
教えていただいたのは、きもの やまとのブランド〈 THE YARD 〉の池田さん。着物はもちろんのこと、合わせる小物のセレクトがとても素敵なブランドです。
以前、「お正月に身につけたい、縁起のいい着物の柄6選」の記事でもお世話になりました。
和装にも洋装にも似合う小物を
小物を選んでもらうにあたってもうひとつ。
「和装でも洋装でも使えるもの」をお願いしました。正直、そんなに着物の頻度が高いわけではないので、なかなか「着物だけ」で使えるものを揃えるのはちょっとハードルが高い。だからできれば、洋服でも使えるものを、と。
そのオーダーに、「小物のセレクトの基準は、和洋兼用で使えるものだから大丈夫です」と心強い答えが返ってきました。
それでは早速、教えてもらったものを紹介していきます。アクセサリー、バッグ、布ものと続きます。
SIRISIRI 籐細工のアクセサリー
まずご紹介するのは、意外性を感じさせるマテリアルと伝統的な職人技術との組み合わせにより、コンテンポラリーな作品を発信するジュエリーブランド、SIRI SIRIです。
昔からある技法や素材を使いながらも、その組み合わせやデザインで現代のかたちに落とし込む。そのアウトプットにはいつも、技術は使い方だなぁと考えさせられます。
「洗練されたデザインなので、シルクやシルクウールなどの着物と合わせると、より上品な装いになると思います」と、教えてくださいました。
今回紹介いただいたのは、ガラスと籐(とう)のブレスレット。ヘアタイとしても使えます。
serial number のヘアゴム
真鍮の大きな丸が目を引く〈 serial number(シリアルナンバー)〉のヘアゴム。
ブランド名にある<serial>とは英語で「ひと続きの」という意味。「ひと続きの小説や映画のように、持ち主とアクセサリーがひとつの物語を綴っていく」というコンセプトのもと、アイテム1つ1つにシリアルナンバーが刻印されています。
「経年変化していくと、真鍮の輝きが増していきます」と池田さん。長い間を共にする着物みたいに、一緒に成長を楽しんでいきたいアクセサリーです。
季節を問わず通年で、そして和装にも洋装にも使えそうなシンプルなデザインです。
CHRISTIAN PEAUの革バッグ ショルダーポーチバッグ
日本製ながら流通のほとんどがヨーロッパのため、日本での取扱いは珍しいCHRISTIAN PEAU(クリスチャン ポー)のバッグは、これを目当てに来店されるお客さまも多いのだそう。
持ち手部分は取り外し可能で、付属の長いハンドルを使えばショルダーバッグとしても使えるのが嬉しいところです。
THE YARDで売られてるものは、もともとの型をリサイズして通常より少し小さめサイズ。
着物にはやはり、少し小さめのバッグの方が似合うとのことですが、もちろん洋服に合わせても。お財布とハンカチ、スマホ、ちょっとした化粧道具ぐらいは入りそうなサイズ感がちょうどいいです。
Hender Schemeのレザーバッグ
「もっとシンプルなバッグを」と次に紹介してもらったのが、Hender Scheme(エンダースキーマ)のレザーバッグ。
シンプルなデザインが、どんな服装にも合わせやすそうです。半分に折り畳んで、クラッチバッグのように持てるようになっています。
素材は、シボ加工のカウレザーを使用。素材の上品が、いろいろなスタイリングに持ちやすいバッグです。
THE YARDのオリジナルブランケット
紹介してもらい「なるほど!」と思ったブランケットやストール。
柄の多いクラシカルな着物でも、シックなトーンのテキスタイルがバランスを整えてくれそうです。
AUGUSTE-PRESENTATION (オーギュスト プレゼンテーション) と一緒に作ったオリジナルのブランケット。1枚羽織るだけで、がらりと雰囲気が変わりそうな大判です。
メルトン仕上げの生地がとても温かく、これがあればコートはいらないかもしれません。着物の帯を守るのはもちろんのこと、洋服でも活躍しそうな1枚。
男女兼用なので、家族やカップルで共有してもいいかもしれません。着物をマニッシュに着こなすなんて粋なコーディネートができそうです。
evam evaの別注カシミヤストール
山梨県のニットメーカーevam eva(エヴァム エヴァ)に別注した、カシミヤ100%のストール。従来のストールより大きめで、着物の羽織を着用した時でも覆い被せられるサイズ感になっています。
デザインで特殊なのが、ストールの端についた太めの切り返し。羽織ったときに、羽織の衿型(えりがた)のように見せることができます。着物仕様ですが、洋装に合わせても凛とした印象になりかっこいいです。
小物次第で印象の変わる着物の着こなし。「ちょっとクラッシックで着こなせないかもなぁ」と眠らせている着物もぜひ、引っ張り出してみてください。
< 取材協力 >
THE YARD (株式会社やまと)
http://the-yard.jp
■ THE YARD 渋谷店
東京都渋谷区神南1-21-3 渋谷モディ4F
03-4336-8241
■ THE YARD 仙台店
宮城県仙台市青葉区中央3-7-5 仙台パルコ2 2F
022-714-2581
文:西木戸弓佳