わたしの一皿 グルグル飛び鉋に納豆グルグル

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今日はいつもより気合い入れていくぞ、という一日がある。たまに。

そんな日は決まって納豆を食べる。納豆ご飯か納豆うどんか納豆トーストだ。ねばねばねば。はい、みんげい おくむらの奥村です。

一月は見事に旅と旅の合間に体調をくずし、この連載もついに穴が空いてしまった。関係各位ごめんなさい。ということで気合一発復活ののろしを上げなければならない。

そんなわけで納豆なのだ。今日はトーストにしましょう。こういうのは簡単だからこそ人それぞれこだわりがあるでしょう。

個人的には気分でカレー粉使うかどうかと(今日は使っていない)、納豆にオリーブオイルを混ぜることぐらいかな。

納豆にオリーブオイル、合いますよね。あれ?ご存知ない?

海苔は先のせ。それもちぎらずに。あれ、後から後から自分流が出てくるな。

ちなみにたくあんなど漬物を刻んだものを納豆に混ぜると食感がとてもいい。後乗せで香草もいいし。

で、納豆トーストの時はなぜだかスープではなくだいたい味噌汁飲んでます。あれあれ、さらに話が止まらない。

今日は小石原焼(こいしわらやき)、太田哲三窯の飛び鉋(とびかんな)のうつわにしよう。平たくて、パンのうつわにちょうど良い。

小石原焼は以前に紹介した小鹿田焼(おんたやき)と兄弟窯と呼ばれている古い産地。山をはさんで小石原が福岡、小鹿田が大分、みたいな距離感で実に近い産地。

小石原の陶工が小鹿田に技術を伝えにいったんだそう。こっちが兄貴分ですね。

兄貴のところも弟のところも、あまり知られていないが九州随一の豪雪地帯。12月、1月、2月の訪問は天気予報とにらめっこ。何度も直前で訪問を断念したってことがあるぐらい。

食器棚を見たら同じようなサイズの飛び鉋のうつわが3つあった。こりゃいいや、と並べました。

小石原焼(こいしわらやき)、太田哲三窯の飛び鉋(とびかんな)のうつわ

案外と違いがあるんだ、というのを見てみよう。左は沖縄、真ん中下が小石原、右が小鹿田だ。産地による違いではなく、同じ技法でもいろんな個性が出せるんだ、とそんな風に見てみてもらいたい。

実際、小石原の中だっていろんな飛び鉋が見られます。鉋という道具自体の違い、刃の当て方、土の違い、ろくろの回転速度などなどなど。一つの技法でも表現は無限とも言える。

実は正直に告白をしますと、小石原焼・小鹿田焼と言えば、な大定番の飛び鉋の柄ですが昔は得意じゃなかった。

なんだろう、この連続的なパターン。目が回るような、うるさいような。

それでも手にして使っていたらなんだか目がなれて、馴染んで、気づけば欠かせなくなった。不思議なもんだな。

皿も決まったし、まずは海苔を焼くところからスタート。

海苔を自分で焼いている人ってあまり多くはないでしょう。我が千葉は海苔の産地なので海苔をもらうことも多い。焼きたての海苔の方がやっぱりおいしい。焼かなきゃいけない海苔、乾海苔。

IHだと焼けないし、困るなぁなんて人もいるかもしれない。しかしだ、オーブントースターで焼けば良いのだ。これ、ものすごく簡単だし、焼きムラが少ないのでいいんですよ。どうぞ覚えておいてください。

今日なら、オーブントースターにパンを入れる前にまず海苔を焼く。焼きすぎてはいけない。さささっと。この辺は何度かやればすぐにわかるはず。

海苔納豆トースト

海苔がパリっとして香りが立ったら、バターやマヨネーズを塗ったパンに乗せ、納豆をぐるぐる、ドカッと。チーズをバサバサ。

はい、海苔焼いて温まっているトースターにパンを入れて焼こう。あとはチーズが溶けて、好みの焼き加減に。焦がしてはならぬ。

海苔納豆トースト

焼きあがったらあとは一心不乱に食べるべし。納豆を一粒も皿に落とさず食べきれると妙な達成感がありますよね。

 

奥村 忍 おくむら しのぶ
世界中の民藝や手仕事の器やガラス、生活道具などのwebショップ
「みんげい おくむら」店主。月の2/3は産地へ出向き、作り手と向き合い、
選んだものを取り扱う。どこにでも行き、なんでも食べる。
お酒と音楽と本が大好物。

みんげい おくむら
http://www.mingei-okumura.com

文・写真:奥村 忍

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