隠れた名店「美人亭」、雑居ビルの奥に。
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こんにちは。さんち編集部の西木戸弓佳です。
旅先での晩ご飯、みなさんはどこに行きますか?グルメサイトやガイドブックで人気の有名店もいいですが、せっかくなら私は地元の人たちが普段使いするお店で、その土地の空気を味わいたい。そしてそこに、地元のお酒と美味しい魚があれば最高です。
そんなリクエストを地元の人にしてみたところ、一番に教えてくれたのがここ。香川県高松市の瓦町の繁華街から少し外れたところにある「美人亭」さんです。
教えてもらった場所へいくと、そこはちょっと薄暗い雑居ビル。教えてもらわなかったら、見つけられなかったろうなぁ。こんなところにこそ、地元の名店は隠れているものです。
ドアを開けると「いらっしゃーい」と優しそうなおかあさん。カウンターにお邪魔します。
お店ができたのは昭和61年。「わー、私と同い年だ!」と伝えると、「え!ママと同い年なの!」と隣のお客さん。「そんなわけないじゃないのー」と、笑うおかあさん。そうそう、この距離感が好きなのです。
見渡してみると、メニューは無さそう。カウンターに並ぶ美味しそうなおばんざいに目を向けると、「今日のおばんざいは‥‥」と説明してくれます。「鯵の三杯酢、ほうれん草のおひたし、いかなごのくぎ煮、かぼちゃ炊いたの、きゅうりとタコの酢の物」。どれも美味しそうで迷います。
漁師さんの奥さんで、昔は一緒に漁にも出かけてたというおかあさん。瀬戸内海のお魚との付き合いはもう数十年なのだとか。カウンターの冷蔵ケースには、このあたりで捕れた新鮮なお魚が並びます。
香川の名産イカナゴと、お刺身盛り合わせ、鯵の南蛮を注文。あれ、お魚ばっかり。追加でかぼちゃもいただきます。香川の地酒“金陵(きんりょう)”も忘れずに。
さすが、瀬戸内海の魚を深く知ってるおかあさんの魚料理は、味付けもちょうどよく、お刺身はコリコリ。もう、たまりません。
ご機嫌に料理をいただいているうちに、カウンターは常連さんでいっぱいに。いいお店にはいいお客さんが集まるのでしょうか。「この店はな‥‥」「高松はな‥‥」と、みなさんいろんなことを教えてくださいます。はじめて来た感じのしない居心地の良さ‥‥。近所にこんなお店があったら間違いなく通うだろうなぁと旅先であることが悔やまれます。
「香川、良いところだなぁ」とは、ほろ酔いでお店を後にした時の感想。利便性の良さ、観光地としての見どころの多さ、宿泊先の快適さなど旅の評価はいろいろですが、最後に印象として強く残るのは、その土地で出会った人々なのかもしれません。
美味しい料理とあたたかい時間を、ありがとうございました。
こちらでいただけます
美人亭
香川県高松市瓦町2-2-10
087-861-0275
17:00~22:00
日祝定休
文・写真 : 西木戸弓佳