【あの人の贈りかた】手間のかかる、贅沢な時間を届ける(スタッフ野村)

贈りもの。どんな風に、何を選んでいますか?

誕生日や何かの記念に、またふとした時に気持ちを込めて。何かを贈りたいけれど、どんな視点で何を選ぶかは意外と迷うものです。

そんな悩みの助けになればと、中川政七商店ではたらくスタッフたちに、おすすめの贈りものを聞いてみました。

今回は企画・コンサルティング担当の野村がお届けします。

無駄で、面倒で、ささやかな贅沢を。
吉野ヒノキの芳香チップ」と「日本の精油シリーズ」

贈りものを選ぶときは、少しだけ贈る相手の輪郭を広げるようなものを選んでいる気がします。

毎日の生活や仕事に必要なわけではないけど、あるとちょっとだけ肩の力が抜けたり、いつもと違うことを考えたりできるもの。贈る・贈られること自体が、ある意味で不要不急で、日常のなかの余白だからこそ、せっかくなので日々の小休止になるようなものを選びたいのかもしれません。

お世話になった上司へ、御礼の品を選んだときのこと。常に仕事に追われているその人は、忙しさのあまり体調を崩して大変だった時期がありました。そのとき、常に香りを携帯して、自分のペースを保っていたとか。

そんなエピソードを思い出しながら、家でもゆっくり香りを楽しんでくださいと、芳香チップと精油をセットにして贈りました。芳香チップは、付属の巾着に入れてそのまま吊り下げてもよし、お皿などに盛りつけて精油を振っても楽しめます。

消臭効果もあるヒノキのチップなので、匂い取りとして使ってもらってももちろん良いのですが、せっかくなので木の肌触りを味わったり、精油を2、3滴垂らして一息ついたり、あえてちょっと手間のかかる時間の使い方をしてほしいという気持ちで選びました。

産地ごとの個性を楽しめるのも精油の魅力。旅先で、お土産としてその地の植物から採れた精油を買って帰ることもよくあります。このときは奈良に住む自分からの贈りものとして、吉野ヒノキの香りを選びました。自分はよく、休みの日の朝に湯舟にお湯を張り、浴室の隅にヒノキの精油を少し垂らして、ちょっとした温泉気分を楽しんだりもします。贅沢ですね。

そういえば贅沢の贅とは、役に立たないよけいなもの、という意味。日々の仕事や生活で充実している人にこそ、無駄で面倒なささやかな贅沢を贈ってみるのも面白いかもしれません。

<贈りもの>

・中川政七商店「吉野ヒノキの芳香チップ 巾着つき」
・中川政七商店「日本の精油シリーズ」

毎日のハンカチに香りをしのばせて。
「motta」「motta Handkerchief Perfume」

新しく仕事をはじめる親戚に贈ったのが、リネンハンカチと香水のセットです。ハンカチは何枚あっても困らないけど、自分ではあまり買い足さない。でもお気に入りの一枚があって、そこに好きな香りを吹きかけたりすると、結構気分が変わるものでもあります。普段はあまり意識されないけれど、意外と気持ちに寄りそったり、気分を変えてくれたりする存在です。

なかでもmottaは、麻のハンカチを使ったことがない方にもぜひ一度、試してみてほしい品。思ったより水を吸ってくれるし、たたんでもかさばらない。頼りになるハンカチで、いろんな色柄から選べる楽しみもあります。このときは、シンプルな緑の一枚に、深い森林の香りをイメージした香水を合わせました。

香りもののなかでも、身に着ける香水を贈るのはハードルが高いかもしれませんが、ハンカチとセットなら試してもらいやすいと思います。常に匂いのするのが苦手な方や、仕事の都合で香水がNGな方は、ハンカチにひと吹きしておいて休憩のときに一息つく、という使い方もできます。

その親戚は今まであまり香水をつけなかったようですが、今では毎日つけるようになって新しく買い足したとか。意外と?狙い通り?気に入ってくれた!というのも、贈りものの楽しみの一つですね。

<贈りもの>

・中川政七商店「motta 051」
・中川政七商店「motta Handkerchief Perfume」

ゆっくり頁をめくる贅沢な時間と、応援の気持ちを贈る「本」

何かあげたいものがあるわけではない、でも応援する気持ちを伝えたい。そんなときによく本を選びます。自分が好きな本から一冊をあげてもいいし、本屋さんに行ってその人のことを考えながら、これがいいかな?と考えるのも楽しい時間です。

本を読むのが苦手な人だったら、絵本や写真集もおすすめです。詩集や歌集もいいかもしれません。別に読み切らなくても、勉強やためになることがなくても、絵や写真を眺めているだけで心が安らぐこともあると思います。

忙しい毎日のなかでちょっと手をとめて、本の表紙を開く。読書がいいのは「ながら」ができないことです。音楽くらいは聞けますが、テレビやスマホは見れません。その意味では銭湯とか温泉に入るのに似ているかもしれません。他に何もできない時間というのも今、結構贅沢なことだと思います。

ひと工夫したいときは、本と一緒に、それに合ったものをセットで贈ることもあります。どこかの国のエッセイと、その国発祥のお菓子とか。前に「石をさがそう」というテーマの絵本と、石をさがすためのルーペを一緒に贈ったこともあります。本は無限にあるので、何を選んでもその人らしい贈りものができあがります。

この本は、ここ1年で一番いろんな人に紹介した一冊です。ちょっと疲れちゃったな、でも何に疲れているんだろう?そんな漠然とした、でも意外と複雑な悩みを、臨床心理士の著者が一つひとつ解きほぐしてくれます。絵本のように驚くほど読みやすくて、とても自分のことを語ってくれている。今を一生懸命生きている、すべての人におすすめです。

<贈りもの>

『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社 / 東畑開人 著)

贈りかたを紹介した人:

中川政七商店 企画・コンサルティング担当 野村隆文

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