天理 倉の耕流祭 企画「中川政七商店 倉庫博覧会」開催【イベントレポート】
澄んだ空のもと心地よい秋風が吹く11月。奈良県天理市で初となるオープンドア・イベント「天理 倉の耕流祭」が3日間にわたり開催されました。
工場やものづくりの現場だけでなく、あらゆる場・物・知をひらくことで地域に光を差す試みとなる本イベント。
中川政七商店も、工芸の物流拠点として天理市に設ける自社倉庫「NKG倉庫」をひらき、この機会ならではの企画をご用意して参加しました。その名も「倉庫博覧会」。
倉庫をひらいたイベントは当社としても初のこころみ。来年以降にご参加を検討いただく皆さまに届けばと、この場をお借りして当日の内容をご紹介します。

倉庫らしさをダイナミックに表現!トラック演出と、倉庫資材を使った空間づくり

企画の舞台となったのは、2024年6月に稼働をスタートしたNKG(えぬけーじー)倉庫。一風変わった名前は、社名(NAKAGAWA)および、当社のビジョン「(N)日本の(K)工芸を(G)元気にする!」より名付けました。
ここは、中川政七商店のオリジナル商品の物流機能を担うだけでなく、全国各地の作り手の物流まで請け負うハイブリット倉庫。敷地3400坪・延べ床2700坪の3階建てという大規模な空間で、日本の工芸を支えています。
そんな倉庫や物流の妙を体験いただけたらと取り入れたのが「倉庫に関係するものだけを使った空間づくり」です。
例えば入口サインとして飾った巨大のれんは、佐川急便さんに協力いただき、10tトラックに掲示。受付と出口の階段横にはそれぞれ、佐川急便さん、ヤマト運輸さんのトラックを配置し、日々倉庫に行きかうトラックを間近で見ていただける機会を設けました。



会場では空間を3つのゾーンにゆるやかに区切り、展示・ワークショップ・物販のコーナーを展開。それぞれで使用する什器はすべて倉庫にある資材でつくりあげています。


さらに各コーナーは余り布を用いたのれんで装飾。「ワークショップは紺色ののれんの下で開催します」など、目印の役割もかねてお客さまにご案内していました。

中川政七商店のビジョンや取り組みに出会う「展示スペース」

パレットでつくった階段を上がり、受付で天理 倉の耕流祭のパンフレットを受けとると、まずお客さまをお迎えするのは展示コーナー。
ここでは「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに、工芸をベースにした暮らしの道具を企画し届けている私たちの取り組みと、そこから生まれた数々の品をご挨拶に代えてご紹介しました。
全国約800の作り手とつくる工芸の道具たちのほか、当社のコンサルティング支援を通じて誕生したブランドも。
写真を撮ったりじっくり読み込んだり、思い思いの時間をお過ごしいただいている様子が伺えました。

応募殺到!即満席となった「倉庫ツアー」

今回、私たちの予想以上に反響をいただいたのが「倉庫ツアー」。イベント発表後は20名×9回の枠が早々に満席となりました。
ツアーでは中川政七商店のビジョンや取り組みについて簡単にご紹介した後、倉庫内でビジョンがどのように意識・体現されているのかをご紹介。1階から3階まで倉庫を巡りながら、各工程の意味や各所での中川政七商店らしい仕掛けをご説明しました。

約45分のツアーの最後は、当社のオンラインショップを支える撮影スタジオにも入場いただき、EC課スタッフたちによる撮影を体験。よりよく商品を紹介するための撮影のコツなどをご案内し、参加者の皆さまにお楽しみいただきました。

お子さんも大はしゃぎ。大人も子どもも楽しめる「ワークショップ」

続いてはワークショップへ。今回は中川政七商店によるワークショップを2種類、外部の企業さまによるワークショップを2種類の、計4種類をご用意しました。
中川政七商店のワークショップは楽しんでいただきながら日頃の倉庫業務についてご紹介したいと、代表商品である「ふきん」を用いたものに。ふきんを包みあげる工程を習い、タイムアタックで競い合うものや、倉庫オリジナルスタンプを使いながら自分だけのふきんを仕上げるもの。
どちらも毎回満席となり、大盛り上がりでした!

また当社の段ボールをお作りいただいている高木包装さんによるワークショップは、段ボールを作る工場や、奈良県内のものづくり工場から出る端材を使って、子どもたちが自由に工作。

さらに奈良県内でアートスクールを営むアトリエe.f.t.さんにご用意いただいたのは、工芸を運ぶときに使う箱や紙などの端材を用いたワークショップです。子どもたちが一面にひかれた町フィールドに立体作品を作り、世界でひとつの“ぼくらの天理おもろシティ”を築きあげるワークショップを実施くださいました。

その他にもお子さんが遊べるキッズエリアが登場。奈良県の作り手・A4さんが手がける木製ブロック「tumi-isi(ツミイシ)」を、大きく・やわらかくした「BIG tumi-isi」で遊べるコーナーが誕生しました。

普段は出会えない商品もお目見えの「お買い物コーナー」

中川政七商店といえば、工芸をベースにした生活道具の販売。ということで、今回は“NKG倉庫店”が特別に開店!通常の店舗で扱っている定番品はもちろん、この機会ならではの商品も登場しました。
発売前から期待の声を多数頂いた中川政七商店オリジナルデザインの倉庫アイテムは、当社の倉庫スタッフが普段より使用するもの。いつものお店では出会えない、まさに倉庫イベントを体現する商品です。

また倉庫に眠っていた道具や服を、お得な価格でご提供するアウトレットコーナーも展開。今はもう出会えない、懐かしいアイテムに目を細めるお客さまもいらっしゃいました。

さらには倉庫ではたらく鹿の刺繍を本企画限定でご用意。当社オリジナルのハンカチや靴下に刺繍した品は、ご用意したそばから次々に手にとっていただく人気アイテムの一つとなりました。

加えて、同じく特別企画として開催した「NKGマルシェ」は、奈良県内の作り手と一挙に出会える機会に。作り手さんからお話をじっくりと聞いた皆さまが、真剣なまなざしでものを選び、嬉しそうに迎えている様子が印象的でした。




ランチやお茶の時間に。奈良県内の飲食店による充実した「フードエリア」

こんな風に、盛りだくさんのコンテンツでお届けしていた倉庫博覧会。少し疲れた際にはゆっくり休憩いただけたらと、奈良の飲食店さんのご協力のもと、トラックバースにはさまざまな種類のフードが楽しめるコーナーも登場しました。
お昼ごはんになる食事系から、


ホッと一息のおやつまで。

軒下に用意した巨大テーブルでは、ご友人やご家族でワイワイと、またお一人でのんびりと。それぞれの時間を過ごされている方が多数いらっしゃいました。

3日間にわたる開催で、のべ2500人以上のお客さまにご来場いただいた本企画。
初めての開催で至らない点も多数あったかと思いますが、ご参加いただいた皆さまからあたたかいお言葉を頂き、晴れやかな閉幕となりました。
天理市をはじめ、天理市内の事業者の協力のもとひらかれる「天理 倉の耕流祭」は、来年も実施予定とのこと。中川政七商店の企画もさらにお楽しみいただけるよう磨きをかけて、実施できればと思います。
各事業者の「倉」がさまざまにひらかれるこの機会。ぜひ来年のお越しも、心よりお待ちしております。
文:谷尻純子