9月 葉の美しさを競う「ソング オブ サイアム」

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こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。
日本の歳時記には植物が欠かせません。新年の門松、春のお花見、梅雨のアジサイ、秋の紅葉狩り。見るだけでなく、もっとそばで、自分で気に入った植物を上手に育てられたら。

そんな思いから、世界を舞台に活躍する目利きのプラントハンター、西畠清順 (にしはた・せいじゅん) さんを訪ねました。インタビューは、清順さん監修の植物ブランド「花園樹斎」の、月替わりの「季節鉢」をはなしのタネに。

植物と暮らすための具体的なアドバイスから、古今東西の植物のはなし、プラントハンターとしての日々の舞台裏まで、清順さんならではの植物トークを月替わりでお届けします。

9月はソング オブ サイアム。どこかエキゾチックな名前ですが、秋の入り口、ブライダルシーズンも始まるこの時期にぴったりの植物なのだそうです。今回も清順さんが代表を務める「そら植物園」のインフォメーションセンターがある、代々木VILLAGEにてお話を伺いました。

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◇9月 葉の美しさを競う「ソング オブ サイアム」

ソング オブ サイアムはドラセナという植物の一種で、世界でもそら植物園でしか扱いのないオリジナルの植物です。

4月に紹介したオリーブが平和の象徴であるのは有名ですが、ドラセナ類も古くからいろいろな民族にとって幸福の象徴とされていて、例えばポリネシアの人たちは庭の玄関の前に植えたりします。

縁起が良くて育てやすいので、ドラセナは観葉植物として世界的に人気です。中でも知名度が高いのが、ソング オブ インディアとソング オブ ジャマイカ。サイアムは、ここ10年で発見された新種なんです。実は俺が命名しました。

ソング オブ サイアムを手元に寄せる清順さん

どこで見つかったかというと、タイの王族が管理する植物園の中。突然変異から生まれたんですね。俺がその王族の方から譲り受けることになって、ソング オブ サイアムと名付けました。サイアムは、タイの古い呼び名なんです。

インディアは黄色、ジャマイカは緑色なのに対して、サイアムはちょうどその中間。斑入りの葉色がなんとも美しいです。ちょっと置いておくだけでもかっこいいんですよ。

ベランダに置いてある様子

日本では江戸時代後期に、こうした葉に特徴のある植物が愛好家の間で爆発的な人気になって、葉の形や模様を愛でる「葉芸 (はげい) 」が流行したと言われています。

キリッとしたソングオブサイアムの葉っぱ

ヨーロッパで植物を愛でる時には、だいたい花や香りを楽しむんですね。葉の表情を鑑賞するというのは、日本独特の価値観です。

そんな葉芸の風情を楽しんで欲しくて、今月の植物に選びました。育てやすくて何より幸福の象徴なので、ブライダルの時期に向けて、結婚のお祝いに贈ってもいいですね。

それじゃあ、また来月に。

<掲載商品>

花園樹斎
植木鉢・鉢皿

・9月の季節鉢 ソング オブ サイアム(鉢とのセット。店頭販売限定)

季節鉢は以下のお店でお手に取っていただけます。
中川政七商店全店
(東京ミッドタウン店・ジェイアール名古屋タカシマヤ店・阪神梅田本店は除く)
遊 中川 本店
遊 中川 横浜タカシマヤ店
*商品の在庫は各店舗へお問い合わせください

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西畠 清順
プラントハンター/そら植物園 代表
花園樹斎 植物監修
http://from-sora.com/

幕末より150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の五代目。
日本全国、世界数十カ国を旅し、収集している植物は数千種類。

2012 年、ひとの心に植物を植える活動「そら植物園」をスタートさせ、国内外含め、多数の企業、団体、行政機関、プロの植物業者等からの依頼に答え、さまざまなプロジェクトを各地で展開、反響を呼んでいる。
著書に「教えてくれたのは、植物でした 人生を花やかにするヒント」(徳間書店)、 「そらみみ植物園」(東京書籍)、「はつみみ植物園」(東京書籍)など。


花園樹斎
http://kaenjusai.jp/

「“お持ち帰り”したい、日本の園芸」がコンセプトの植物ブランド。目利きのプラントハンター西畠清順が見出す極上の植物と創業三百年の老舗 中川政七商店のプロデュースする工芸が出会い、日本の園芸文化の楽しさの再構築を目指す。日本の四季や日本を感じさせる植物。植物を丁寧に育てるための道具、美しく飾るための道具。持ち帰りや贈り物に適したパッケージ。忘れられていた日本の園芸文化を新しいかたちで発信する。

文・写真:尾島可奈子

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