益子「いろり茶屋」で味わうイノシシ鍋。益子焼の器に「燦爛」の燗酒を
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こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。
旅先で味わいたいのはやはりその土地ならではの料理です。あとは地酒と地の器などがそろえば、もうこの上なく。産地で晩酌、今夜は益子で一杯。
窯元めぐりでお邪魔した「えのきだ窯」さんにいたら、すっかり日も暮れてきました。近くで晩酌できるお店を紹介しようと思うんです、と目当てのお店の名前を告げると、
「ああ、このすぐ裏手ですよ。実はうちの親戚がやっているんです」
これはご縁!わざわざお店まで道案内してくれました。道途中にも、味のある看板が。
急勾配の階段と坂を登りきると、立派な建物が見えてきます。看板には「いろり茶屋」の文字。
「それじゃあごゆっくり」と榎田さんに見送られて、景色の良い窓側の囲炉裏席に座ります。まず目に飛び込んできたのは、囲炉裏の上に吊られた木彫りのイノシシ。
そう、ここ「いろり茶屋」では年間を通して美味しいイノシシ鍋がいただけるのです。
普段は煮込んだ状態で出されるというお鍋を、2代目の榎田大介さんがわざわざ目の前で調理してくれました。
「イノシシ肉は煮込むとやわらかく、他のお肉にない独特の味わいが出るんですよ」
赤身の鮮やかなお肉は、益子町の北に位置する八溝 (やみぞ) 山系でとれたイノシシ肉。一帯では「八溝ししまる」のブランド名で知られます。
合わせる具材はしいたけ、ニラ、白菜、水菜、長ネギ。全て地元でとれたものです。そこにお豆腐とエノキ。
グツグツといい具合に煮えてきました。生姜とにんにく、すりごまを合わせた味噌仕立てのスープの香りが、湯気とともに体を包みます。
よそう器はもちろん益子焼。器はご親戚であるえのきだ窯のものが、やはり一番多いそうです。
益子焼らしい厚みのある器は手に熱くなく、あつあつのお鍋の具もスープも夢中で口に運べます。お野菜の出汁とお肉の旨味がスープと絡まって、うまい!体がポカポカとしてきます。
合わせるお酒は地元益子町の外池 (とのいけ) 酒造が作る「燦爛 (さんらん) 」。燗酒がおすすめだそうで、これからの季節、鍋のお供にぴったりです。
お鍋は1人前から頼めるのも嬉しいところ。聞けば2人で1人前分を頼んで、最後にお餅やうどんを人数分スープに入れて締める方も多いとか。
今度は人を連れてわいわい鍋をつつくのもいいな、と独り占めするにはもったいない益子の夜でした。
こちらでいただけます
いろり茶屋
栃木県芳賀郡益子町益子3270
0285-72-4230
文・写真:尾島可奈子