【平戸のお土産】牛蒡餅本舗 熊屋本店の「牛蒡餅」

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こんにちは、さんち編集部の庄司賢吾です。
わたしたちが全国各地で出会った “ちょっといいもの” を読者の皆さんへご紹介する “さんちのお土産”。第5回目はかつて南蛮貿易の先駆けとなった、長崎は平戸のお土産です。江戸時代から伝わる、一風変わった名前の郷土菓子をご紹介します。

寛永18年にオランダ商館が長崎出島に移転されるまでの100年間は、平戸が異国との窓口でした。その後鎖国とともに表舞台からは姿を消しますが、異国から受けた影響を元に、食をはじめとした独自の文化を育て続けてきました。その中の一つに「牛蒡餅(ごぼうもち)」があります。中国から製法が伝えられたと言われていて、平戸藩4代目藩主の松浦鎮信公が起こした茶道「鎮信流」の茶菓子として普及します。また町屋の人たちにとっても、慶事・法事の際のお配り菓子として親しまれていた、平戸を代表する銘菓です。

その変わった名前の由来は、黒砂糖だけでつくられた細長い餅の形と色合いが、牛蒡に似ていたというとってもストレートなもの。そのネーミングと同じように、気取らず飾らずまっすぐな、素朴で飽きのこない郷土菓子です。

今回伺ったのは「牛蒡餅本舗 熊屋」。創業240年余りの歴史の中で、当時のままの牛蒡餅の味わいを守り続けている老舗です。厳選したうるち米を挽いて粉にし、蒸してつき、砂糖を加え、仕上げにケシの実を散らします。それを細長い棒状に伸ばして5センチくらいの長さに切ったら、昔ながらの牛蒡餅の出来上がり。淡白で素朴な味付けなのでお米の味をそのまま感じられ、むちっとした食感がクセになります。くどさの無い上品な甘さで、思わず2つ3つと口に運んでしまいそう。最近では桜や抹茶、塩胡麻と、味のバリエーションも楽しめるので、全部の味を試したくなってしまいます。

お茶菓子からお配り菓子まで、平戸の人々の生活に寄り添ってきた牛蒡餅。お店では相性抜群のお抹茶もいただけますので、ぜひ「鎮信流」のお茶席にお呼ばれしたつもりで、平戸の歴史が育てた味わいをお楽しみください。

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ここで買いました

牛蒡餅本舗 熊屋本店
長崎県平戸市魚ノ棚町324
0950-22-2046
http://www.hirado-kumaya.jp

文:庄司賢吾
写真:菅井俊之

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