ホテル「KUMU 金沢」で、上質ローカルな滞在を
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みなさんは、旅先でどんなところに泊まりますか?
老舗旅館からオシャレなゲストハウスまで、さまざまな選択肢がありますが、そのまちの歴史や文化、人のあたたかさが感じられる宿は、旅をより思い出深いものにします。
やってきたのは、石川県金沢市。
JR金沢駅前の大きな鼓門を出て近江町市場方面へ。そこから香林坊に向かうオフィス街の大通りを歩いていると、今回ご紹介する「KUMU 金沢」が見えてきました。
「KUMU 金沢」は2017年にオープンしたリノベーションホテル。1972年に建てられた建物で、もともとは繊維関係の企業が入るオフィスビルでした。
「KUMU」という名前には、昔から根づいてきた金沢の伝統を“汲む”場所、地域の人たちとチームを“組む”場所、茶の湯を“酌む”場所など、さまざまな意味が込められています。
建物に入って目を引く大きな木“組み”の天井も、「KUMU」のコンセプトを表現したもの。
元の建物の表情を生かしつつ、細部に取り入れられている金沢の工芸技術を見つけるのも、このホテルの楽しみ方の一つです。
目的に合わせて選ぶ宿泊スタイル
早速宿泊フロアへ行ってみましょう。
客室はすべて、最大4人まで泊まれる個室。茶会もできるような炉がある畳敷きの部屋から、2段ベッドのあるリーズナブルな部屋まで、目的に合わせて部屋を選ぶことができます。
どの部屋も天井が高いので、2段ベッドが並んでも圧迫感はありません。
カップルや家族、グループでも楽しめそうです。
3階と5階にある共有スペースには、大きなティーテーブルがあります。宿泊客同士が今日の旅の出来事を話したり、明日行く場所の情報交換をしてみたりと、新たなコミュニケーションが生まれそうです。
屋上のルーフトップでは、定期的にヨガのクラスを開催。天気の良い日は白山が見えることも。
館内には気軽に使えるシェアスペースも兼ね備えています。
各フロアをめぐりながら金沢アートを堪能
「KUMU金沢」では、1階から6階の各フロアに金沢ゆかりのアート作品が展示。階が変わるごとに趣が異なり、訪れる人を驚かせます。
こちらの塔は、よく見ると、一つひとつのパーツが洗濯バサミで組み立てられているという驚きの作品。金沢美術工芸大学出身のアーティスト高本敦基氏によるもので、洗濯バサミはランドリースペースの目隠しにも使われています。
一輪のスイセンの花。こちらは何でできているかわかりますか?
正解は、鹿の骨と角。細かい部分まで、まるで本物のように表現されています。こちらは彫刻家・橋本雅也氏が手がけました。
書家の華雪氏による「牛」という書は、「十牛図」という禅の思想をモチーフにしたもの。
どの作品も空間に馴染むように展示されているのが、「KUMU 金沢」の特徴。アートホテルのように作品が主役ではなく、見る人の心にそっと語りかけてくるようなさりげなさが心地よいです。作品は全部で13点展示。館内を巡りながら鑑賞するのもおすすめですよ。
まちとの接点が生まれるTEA SALON
「KUMU 金沢」でぜひ利用したいのが、1階のTEA SALON「KISSA&Co.(キッサ アンド コー)」。「どうぞお茶でも召し上がれ」という意味を持つ、禅の言葉“喫茶去(きっさこ)”が由来です。
こちらは宿泊者以外のお客さんも利用できるカフェで、抹茶や加賀棒茶はもちろん、抹茶ビールなどのお酒やおつまみなど、金沢を感じられるメニューが揃っています。和菓子は地元金沢の和菓子店「茶菓工房たろう」のもの。茶の文化に和菓子は欠かせないですよね。
初めてここを訪れた宿泊客と地元の人たちとの出会いの場にもなるTEA SALON。地元の人しか知らないおすすめのお店や普段の行きつけの場所など、観光ガイドブックにはないような情報を知ることができるかもしれません。
滞在することで、自然に金沢のまちとつながっていくような心地よさを感じる「KUMU 金沢」。いつもの旅をより味わい深いものにしたい方に、ぜひおすすめしたい場所です。
<取材協力>
KUMU 金沢 -THE SHARE HOTELS-
石川県金沢市上堤町2-40
076-282-9600
https://www.thesharehotels.com/kumu/
取材・文:石原藍
写真提供:KUMU 金沢
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