わたしの一皿 シュッとした琉球ガラスのうつわ

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ここ二週間ほどは沖縄や台湾で梅雨明けのカンカン照りをくらいました。真夏の暑さを一気に思い出して、少々ひるんでおります。

年々暑さに弱くなってきている気がする、みんげい おくむらの奥村です。

先々月、香味野菜のことを書いたんだけど、実はここ2年ほどさらにハマってる野菜がありまして今日はその話を。

ここ数年日本の陶芸に大きな影響を与えた朝鮮の焼き物を学びに彼の地に出かけています。そこで、それまでに食べたことがなかったわけじゃないけど、いまいち印象がうすかったそれに見事にハマりました。

シソに似てるけどちょっと違う、エゴマです。エゴマの葉。

えごまの葉

日本でもそれまでに食べたことはあったのだけど、そこまでスイッチが入らなかった。パクチーと同じでしょうか。ある一定量食べたらスイッチ入っちゃう、みたいな。やってきたんですよ。それは突然に。

あの独特の香り、ずっと嗅いでいたい。枕元にも置いておきたい。風呂にも浮かべたい。

あのパンチの強さったらなんでしょうね。シソの爽やかさに対してこちらは野性味が強い、というか。

韓国、朝鮮料理では焼肉の時に肉を巻いてよく食べるのだけど、現地では日本では考えられないぐらいたっぷり出てくるので嬉しい。それすら足りなくておかわりしちゃうけど。

そんなエゴマの葉。この香りを楽しむならタコやイカ、白身の魚なんかと合わせたら面白いだろうなぁと思い立ってやってみたのが今日の食べ方。

琉球ガラスのうつわ

うつわは、沖縄のガラス工房清天の一皿

うつわもこれかな、と思ったものがやっぱりよかった。沖縄のガラス工房清天のもの。気泡が入った面白い表情のもの。ちょっとくずきりみたいでしょう。

ここのガラスの面白いところは再生ガラスではあるのだけど、ちょっとシュッとしているところ。わかりにくい表現ですね。良い意味で沖縄のうつわに見えないところ、とでも言いましょうか。そんなところが気に入っています。

沖縄だけでなく、イランやメキシコ、再生ガラスのうつわはぽってり感が魅力的でもあるのだけれど、分厚かったり、ずんぐりしてたりするだけが魅力じゃない。

琉球ガラスのうつわ

このうつわは色も明るすぎることもないし、雰囲気も涼やかではあるけれど夏っぽすぎることもないし、年中何も考えずに使える。それが好き。

それでも、手に持った感じの心地よい厚みは沖縄の再生ガラスのうつわのよいところをきちんと押さえている。薄いガラスのうつわだとちょっと緊張感があるので怖いけど、これくらいの厚みだと、取り皿にして多少雑に扱っても平気なぐらいだから、この時期特に使い勝手がよい。

エゴマの葉を刻む

さてとエゴマは5ミリちょい幅くらいに切って。もっと細い糸づくりみたいな刺身だったら3ミリくらいでもいいですね。

まあ、この辺は好みです。料理のプロでもありませんから。切ったそばから香ってくるんだな、エゴマ。

エゴマの葉とタコを和える

タコは軽くボイルしたもの。これを切ったエゴマと合えるだけ。ちなみに、この皿自体はどんな刺身にも合います。赤身も、ピンクっぽいものも、白身も。魚のみならず、例えばスライスしただけのトマトでも良いし。使いやすい。

醤油とごま油を合わせたタレをシンプルにかけます。ここに足すなら辛味の刻み唐辛子か、コチュジャンみたいなところでしょうか。とにかく香りが主役なのであまり多くは足しません。

本来ならエゴマ自体も少々で良いんでしょうが、とにかくエゴマをムシャムシャしたいので、エゴマは多め。

エゴマの葉とタコの和え物。琉球ガラスのうつわに盛り付け

さてと食べますか。エゴマの葉の香りとタコの食感、たまらんですよ。エゴマ、なんとなくパワーがあるから夏バテなんかに良さそう、と勝手に思ってます。たぶんそうでしょう。

実は夏バテなんかしていられないんですよ、今年は。本を出しますので、この夏はその原稿をひたすら書かにゃならんのです。

本は旅の本。詳細はまた追って。エゴマをむしゃむしゃ、書きまくります。どうぞご期待ください。

奥村 忍 おくむら しのぶ
世界中の民藝や手仕事の器やガラス、生活道具などのwebショップ
「みんげい おくむら」店主。月の2/3は産地へ出向き、作り手と向き合い、
選んだものを取り扱う。どこにでも行き、なんでも食べる。
お酒と音楽と本が大好物。

みんげい おくむら
http://www.mingei-okumura.com

文・写真:奥村 忍

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