【職人さんに聞きました】春を運ぶ「花雲」八王子で生まれた、優しい感触

タグ
春の訪れを知らせてくれるミモザ。小さな花がたわわに咲き誇る様子を目にすると、心もぽうと暖かくなる気がします。
 
待ち遠しい春に向けて、新しいテキスタイル「花雲」が生まれました。おぼろ雲のように満開に咲く、ミモザの花をイメージしています。

▲花をかたどったドット部分が立体的になっていて、ふんわりとした優しい肌触りからも花の風合いを感じられます。

▲手編みの持ち手がアクセントに
 
「日本の布ぬの」をコンセプトとするテキスタイルブランド「遊 中川」。
 
「産地のテキスタイル」として、各地の布の産地とともに日本の伝統的な素材や意匠、長い年月をかけて培われてきた高い染織技術を用い、現代の感覚でデザインした独自の生地を提案し続けてきました。
今回は、絹織物の産地として知られる東京の八王子で「ジャガード織り」を使った風合い豊かなテキスタイルをつくりました。
 

「ジャガード織り」とは


「ジャガード」とは、穴をあけた紋紙 (もんがみ) を用いて複雑な模様を織り出せる織機の名前。この織機で織られた立体的な生地が「ジャガード織り」です。

 
一般的なジャカード織りは、デザインに沿って紋紙を作成し、記載された情報に従って織っていきます。紋紙には穴のあいている部分とあいていない部分があり、その情報を機械が読み取って布を織っていくという仕組みです。
 

日々新しい生地を生み出す大原織物


今回の生地を織ってくださったのは、八王子で織物業を続ける大原織物の大原進介さん。大原織物では服地をはじめ、バッグ、マフラー、ストール、傘、時計バンドなど多種多様な生地を作ってきました。

▲大原織物の代表取締役 大原進介さん。糸の組み合わせや織りの実験・研究を日々されていて、そのアイデアは無限大。大原さんの技術には、著名なブランドから個人作家さんまで生地作りに携わる多くの方々から絶大な信頼が寄せられています。「遊 中川」も、いつもお世話になっている方です

▲約120年続く大原織物を創業したのは大原さんの祖父、大原平吉さん。八王子ネクタイの源流を作った方として、書籍「八王子織物ネクタイ史」でも紹介されています

 
デザインの可能性広がる「コンピュータージャガード」


大原さんが使うのは、「コンピュータージャガード」と呼ばれる紋紙(型)の代わりにデータを用いる織機。

これまでは試作をする度に紋紙を一から作る必要がありましたが、コンピュータージャガードではデータでの調整が可能です。試行錯誤を繰り返しやすく、よりイメージに近い仕上がりを模索することが可能になりました。

 ▲ 糸や織り方のちょっとした違いでも仕上がりが異なってくる
 
同等の太さの経糸 (たていと) と緯糸 (よこいと)を使い不規則な織りにも対応できるため、複雑な柄も再現できます。また、先に糸を染めているため色落ちしにくく、長く使い続けられるのも魅力です。
 

▲ミモザの複雑な柄もこの技術で実現しました

 
共にものづくりする醍醐味を教えてくれる大原さん


仕上がりイメージと織りの技法が密接に関わるジャガード織り。コンピュータージャガードによって試行錯誤を繰り返せることが大きな魅力ですが、目指すデザインの実現には、デザイナーと職人の対話が重要です。
 
大原さんは、目指すデザインの意図を汲み取りながら、技術的な可能性をたくさん提案して一緒にものづくりをしてくださる方。
 
▲「無理難題を相談されると、かえってやる気が出て楽しくなるんです」と大原さん。相談されたデザインに対してNOとは絶対に言わないのだそう
 
「もっとこうしたらいいんじゃないかとか、こんなのもやってみましたとか、いつもお願いした以上のものを見せてくださって、そこからまたイメージが広がったり、迷いが晴れたりすることがあります。だから毎回一緒にお仕事をするのが楽しいんです」とはデザイナー山口の言葉。
 
多くの方から絶大な信頼を寄せられるのは、大原さんの持つ技術とものづくりへの姿勢、そしてそのお人柄によるところが大きいようです。

▲「ミモザの花が満開に咲いている様子をふんわりと立体的に表現したい」というデザイナーの思いに、柔らかくフワフワとした素材感が特徴のブークレ糸を提案してくださった大原さん。フランス語で巻き毛・輪を意味するブークレー。布地の表面に、もこもことした糸の輪が織り出されることで葉と花の奥行が表現でき、優しい触り心地も生まれました

▲糸や組織のバリエーションを実際に織ったサンプル生地と一緒に提案してくれます
 
いつも楽しそうに生地作りに立ち向かう大原さん。現在は、そんな父の姿を見て育ったお子さん2人も加わり、親子で工房に立っています。八王子で受け継がれた技術が大原さんの研究やアイデアで膨らみ、日々新しい生地が生みだされています。

 
ミモザ感じる春のテキスタイル「花雲」


大原さんと作ったふんわり柔らかいミモザのテキスタイル「花雲」。ぜひ手で触れてその感触を味わってみてください。


<取材協力>
大原織物
東京都八王子市小門町8-19

<オンラインショップ特集ページ>
「遊 中川 テキスタイル 花雲」の特集ページはこちら

関連の特集