【デザイナーが話したくなる】親子のための器

タグ

「親子のための食器シリーズ」ができた時、真っ先に気になったことをデザイナーの岩井さんに聞きました。

「これ割れますよね?」
「はい、もちろん落としたら割れますね。」

この、あえて焼き物で子供の食器を作ろうという挑戦は、お母さんでもある岩井さんの思いがありました。

子供の食器を考えた時、私にも子供がいるので、どういうものに触れながら大きくなってほしいかなって
考えたんです。
もちろん親としては、割れなかったり、扱いやすいものが助かるというところがありました。
でも、小さい子ってなんでも触りたがるじゃないですか。そういう好奇心を大事にしたいなって。




このシリーズは、子供が手に持ったときに焼き物ならではの肌触りを感じてもらいたくて、
素焼きの部分と釉薬のかかった部分に分けて作ることにこだわりました。
素焼きの部分は「ざらざら」、釉薬の部分は「つるつる」。その違いだけでも子供って楽しそうに触るんですよね。




この手触りを大切にしながら、窯元さんに試作してもらったそうです。




今回、美濃焼の窯元さんにお願いしたのですが、美濃焼は昔ながらの分業制が根付いている地域なので、
釉掛け・焼成を行う窯元さんから成形する型屋さんへ詳細な形を伝えてもらう必要がありました。
そのために、窯元さんから型屋さんに説明いただく際に図面だけよりも伝わりやすいと思い、
まず社内の3Dプリンターで何度も調整しながら試作し、詳細な数値をつめていきました。






焼き物なので割れる前提ではありますが、それでもなるべく強い素材で、かつ焼き物の風合いを
残したいというところから、今回の素材は「せっ器(半磁器)」を使用しています。
せっ器とは、陶器と磁器の中間の性質をもち、陶器のように土の風合いを楽しめて、陶器より硬質で、磁器のように吸水性がほとんどないのです。硬質といっても、落としたりぶつけたりすると割れますし、
強化磁器のような強度はありませんが、少しでも使いやすいようにと検討を重ねました。




「親子のための食器シリーズ」は、平皿、飯碗、汁椀、マグカップの4アイテム。



このラインナップは、離乳食から自分でお片付けできる年齢まで使いやすいように考えられています。
離乳食の時は平皿に少しずつ野菜や魚を入れて、汁椀におかゆを入れたものを、親から子供へ。




平皿は重心も低く、自分で食べるようになっても置いて食べることを想定しているので、 洗いやすさを優先して、糸底以外はつるつるのみで仕上げました。




汁椀は木製なので、1歳前後の落としたりすることが心配な間は安心ですね。

2歳前後になって食べる量が増えてきたら、飯碗を追加。
だんだん食器の扱いにも慣れてくる年齢ではないでしょうか。




マグカップはコップ飲みが出来るよになったら記念に買い足してあげてもいいですね。
持ち手があるので一番割れやすいため、3,4歳の落ち着いて食事をするころがちょうどいいかもしれません。




「自分で自分で!」とお手伝い欲がでてくるのも、成長の証。
実はそれも踏まえて、岩井さんはデザインしています!

お片付けする際に、平皿は子ども用の小さなスプーンやフォークが、がちゃがちゃ動きすぎないような サイズを考えました。すくいやすいように立ち上がっている縁も、飛び出し防止になります。



汁椀が木製なのは、飯碗と重ねたときに安心して持てるようにというのも1つの理由。



汁椀も子供が持ちやすいように考えられています。
熱さに敏感な子供のために、底になるほど厚みをもたせて作られています。



小さなお椀ですが、山中漆器の木地屋さんがろくろで1点ずつ削っているものです。
本格的に漆を塗った試作品も作ってくださったのですが、今回は美濃焼の雰囲気に合う木の風合いを感じられるデザインになりました。




ところでなぜ「子供のための」ではなく「親子のための」なのか。。。
落ち着いた釉薬と汎用性のある形状にすることで、子供用と限定せずに小鉢や取り皿として大人も普段使いできるデザインに。
汁椀もあえて高台を低くして、フルーツやサラダが似合う小鉢のようなものを目指したということです。
(岩井さんも平皿は、自分の朝食の卵焼きとおにぎりを入れるのに重宝しているそうです。)



そしてマグカップは、8分目くらいで約100mlの容量になっています。
子供が飲んだ量も把握できますし、料理の際にちょっとした計量カップ代わりになるのが便利です。




小さかった我が子が成長して、学生時代は朝食プレートになったり、大人なって巣立っていく時は持っていってくれたら嬉しいなと、子供を思う気持ちがたっぷり詰まっています。

今は、もうすぐ4歳の娘さん。
時々割ってしまうことがあるけれど、そういう時は顔をくしゃくしゃにして泣きそうになるのを我慢しながら謝ってくるそうです。そして、次からは気をつけてお片付けするように。
経験を通じて学ぶことを、焼き物の器はたくさん教えてくれるのかもしれません。
おおらかに向き合うのはなかなか難しいんですが…(笑)と、岩井さんの顔は嬉しそうでした。


特集「親子のための器」はこちらから
 

関連商品

関連の特集