たった3枚の布からできた「たっつけパンツ」、普段着にちょうどいい理由
ちょっとした家仕事に動きやすく、
ちょっとそこまで、にもきれいなシルエット。
普段着にちょうどいいかたちを目指して、あたらしい定番パンツが中川政七商店に加わりました。「たっつけパンツ」というちょっと変わった名前は、日本の労働着がルーツになっています。
「たっつけって、元々は武士が狩りに行くときに履いていた立付(たちつけ/たっつけ)という履き物で、だんだん畑仕事をする人たちの間に広まっていったようです」
デザイナーの河田めぐみさんは、今の暮らしにあう新たなパンツづくりのヒントを、日本の労働着の歴史の中に探って行きました。
「中川政七商店には『もんぺパンツ』という日本の労働着をベースにしたパンツがあって、発売以来ずっと人気のロングセラーです」
「もともと労働着は家仕事や畑仕事での動きを考えて作られているので、足捌きがよかったり、とても機能的なんですね。その使い勝手の良さが支持されているのだと思います。
今回も、単に着心地のいいパンツをつくるだけなら簡単ですが、中川政七商店として手掛けるなら、そういう日本の生活の歴史とつながるようなアイテムにしたいと思っていました」
日本の労働着は大きく4つに分類でき、ひとつが「もんぺ」型、そしてもう一つに今回モチーフにした「たっつけ」型があるそうです。
ロングセラーのもんぺパンツは裾がすぼまってふっくらとしたシルエットですが、たっつけパンツは足先が細くすっきり。
自転車に乗る時などにも動きやすいデザインには、元々の「たっつけ」の歴史が詰まっています。
「たっつけは元々山に狩りに行く時に履かれていたものなので、腰周りはゆったり、足先はすっきりとしたかたちです。これは少しデザインを整えれば、今の暮らしの中でも快適なパンツになるだろうと考えました」
「服のパーツをとる時のパターンもよく出来ていて、一枚の布をできるだけ使い切って無駄にしないよう、直線をうまく生かしながら型がつくられているんです。
昔の型紙を見ると、すごく考えられたかたちだなと感じます。こうした資源を無駄にしない考え方も受け継ぎたいと思いました」
たっつけパンツはたった3枚のパーツから作られています。元々のたっつけの直線的ならしさを受け継ぐだけでなく、その資源を大事にする考え方も生かした仕様です。
シルエットは、機能性だけでなく「ちょっとそこまで」履いていける見た目のきれいさも意識。素材には一年を通して履きやすい綿麻の生地を採用して、日本の労働着のエッセンスを今の暮らしのなかに生かした「たっつけパンツ」が完成しました。
「今も植木職人、大工さんと職業によって違う履き物のかたちがあるように、歴史の中には日本の風習や文化から生まれた形や素材がたくさん埋もれています。
このたっつけパンツも、そうした暮らしの知恵につながりながら、今の暮らしのなかで心地よく活躍する『定番着』になれたら嬉しいです」
<掲載商品>
たっつけパンツ
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