【デザイナーが話したくなる】耐熱硝子の多用急須

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佇まいが美しい硝子の急須。
中のお茶の色が楽しめたり、茶葉の開く様子を見ながらゆっくりと過ごす時間だったり、硝子だからこその楽しめる良さがありますよね。

しかし、硝子だからこそ扱いが難しくないかな、洗いにくいかなと思うこともあるのではと、デザイナーの岩井さんの気付きからこの急須ができました。
目指したのは、日本茶も紅茶も、熱いものも冷たいものも、多用に使えて扱いやすい硝子の急須です。

岩井さんが考えた最初のポイントは、茶葉も取り出しやすく手が入ってしっかり洗える「扱いやすい」形。

口径が広いため、すっぽりと手が入ります

硝子って繊細そうに思えてしまうので、洗うときに持ちにくかったり、洗剤で滑ってしまわないかなど、ちょっとした緊張感がありませんか。そういう気持ちを払拭してくれる、本体のストレートなデザインは引っ掛かりがなくておおらかな佇まいです。

この本体のデザインを譲れないポイントとしてスタートしたことで、出来上がるまでに難しい問題に何度もチャレンジすることになったそうです。

「こだわりの口径広い問題」

扱いやすさと、多用な茶葉に調和する幅の広いおおらかなサイズをめざして、ストレートなデザインの本体と決めたけれど、このデザインを作るには、型吹きではなく、バーナーワークを得意とする職人さんにお願いしなければならない。
そこで新潟県の硝子工房クラフト・ユーの徳間さんにお願いしたのですが、岩井さんも初めての挑戦の部分もあり、やりたいことと出来ないことの理解が難しかったそうです。

遠く離れていても、何度も丁寧にFAXで説明してくださった徳間さん

新潟の工房を訪れると、バーナーワークのこと、耐熱硝子を扱うこと、「これは出来ないのか、これならどうですか」という無理な質問にも目の前で硝子を扱いながら丁寧に教えてくれた徳間さんには「本当にありがたいしかない」と何度も岩井さんの口からこぼれていました。

炎の大きさ、温度、職人の感覚でバーナーを扱います
口の取り付け位置、角度、長さ、注ぎやすさのバランスなど、微調整を繰り返しました

出来ること出来ないことを学びデザインを試行錯誤して、譲れないポイント「口径の広い急須」の本体が作れることになりました。

取材させていただく機会があり、目の前で硝子の筒が急須になっていく工程を拝見しました。
カットする、曲げる、全ての工程にバーナーが使われます。火の太さ、温度を調整していくのは職人ならではの感覚で合わせていきます。太い本体をバーナーで溶かす際の暑さと時間との戦い、手作業で作られる注ぎ口の繊細な形も感覚だけで同じサイズに出来上がります。どこの部分も全てに簡単な所などありません。もちろん職人さんは、当然のように仕上げていかれますが、ずっと見ていたくなる美しい手仕事でした。

「蓋は別問題」

本体のデザインが「よし、これでいける!」となったのですが、今度は蓋がバーナーワークでは作れない問題が出てきました。
もちろんバーナーワークで作れる蓋はあるのですが、こだわった「口径の広い」に合わせると蓋を作ることができないということだったのです。

そこで次は蓋を作ってもらえる所を探すことに。そもそも蓋だけ作ってくださいというお願いを引き受けてくれるだろうか。そんな思いも持ちながら、型吹きを得意とする小泉硝子製作所にお願いしたところ「やってみましょう」という嬉しいお返事をいただけたのです。

型に合わせて吹き込んで作る「型吹き」。ここでも出来ること出来ないことを学びながらデザインを試行錯誤していかなければなりませんでした。

型吹きは、吹く息づかいや温度、時間に左右されるため小さく繊細な形を出すのは至難の業です

デザインの要になる蓋の持ち手部分。本体とバランスを合わせたデザイン、型吹きで作れる形、これらを何回も職人さんと調整しながら作り上げていきました。

たくさんの試作から調整しながら出来上がりました

「茶漉し別注問題」

試行錯誤して本体と蓋が出来たら一安心。というわけではありません。
この硝子の美しさをなるべく邪魔しない佇まいで、かつ茶漉しの役目は十分にというものを作らなければなりません。そこでコイル状に渦巻になった茶漉しにたどり着いたのですが、太さや巻きの大きさなど、茶葉は通りにくいか、急須へセットしやすいか、いろんな条件に合うように試作を繰り返しました。

出来上がった茶漉しですが、絶妙な丁度いい力加減でセットできるので、ぜひ少し気にして実感していただきたいです!

「最後までこだわります問題」

急須のつるは、規格品の寸法で合わせることが多いのですが、この急須の持ち手のサイズは8.5寸。
この寸法は別注で作ってもらったものです。急須の仕上がりに合わせて、どうしても0.5寸の差をこだわったそうですが、「あまり変わらないようにも思いますが」と聞いたら、
「これだけ試行錯誤してここまで仕上がった急須なのだから、最後の最後までよりよく調整したいんです。」と、たくさんの問題にぶつかってきた岩井さんから出てきた言葉には、感謝の思いがいっぱい詰まっていました。

実際、付け比べると9寸のものを付けてみたら、なんだか頭でっかちな雰囲気に。8.5寸のものがぴったりデザインと合うんです。

全てのパーツが違う場所で作られているのに、一つになったときに美しい佇まいを作り出す姿は、職人さんたちの思いも一つになったように思えて嬉しくなりました。

せっかくの扱いやすい硝子の急須なので、ぜひ毎日のお茶の時間をお楽しみくださいね。

企画担当:岩井

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