スノーピークに教わる、今さら人に聞けない「キャンプの基本」

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新緑が美しい季節、屋外で過ごすのが快適な気候になってきました。これからは山登りやハイキングなどに絶好なシーズンです。

そんなアウトドアの楽しみ方のなかでも、最近はブームと言ってよいほど人気があるのがキャンプです。バーベキューや焚火を囲んで食事をしたり、テントを張って寝泊まりしたり。そんな自然と溶け込むことができる体験は、心と身体を穏やかにリフレッシュしてくれるはずです。

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初めてキャンプをしてみたいと思い立った時、一体どうしたらいいのでしょうか。初心者は、キャンプには何が必要なのか、どんな楽しみ方があるのか、わからないことがいろいろあります。

そこで、わかりやすいキャンプの基本を、日本を代表するアウトドアブランド「スノーピーク」を訪ねて教えていただきました。

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新潟県三条市に本社があるスノーピークは、機能性の高さとスタイリッシュなデザインの製品で人気。「スノーピーカー」という熱狂的なファンもいるほど、多くの愛好者に支持されています。

その本社には、小高い丘に広がる素敵なキャンプ場が併設されています。ここで、スノーピーク広報の伊豆昭美さんに、まったくのキャンプ初心者に向けて、キャンプの楽しみ方やキャンプ用品の揃え方などについて、入門的なお話をうかがいました。

お話を伺った本社併設のキャンプフィールド
お話を伺った本社併設のキャンプフィールド

テントの次に揃えたいもの

キャンプと言えばまず思い浮かべるのはテント。そのほかには何が必要になってくるのでしょうか。

「そうですね。テントのほかには、眠るためのシュラフ(寝袋)、タープ(日除け)、折り畳み式の椅子やテーブル、調理器具と食器。そして調理に使ったり集いの場の中心となる焚火台といったものがあるといいですね。

また、キャンプ場の中にはトイレや水道、食器などの洗い場があるところもあり、ランドリールームやシャワールームまで併設されているところもあります。本格的なキャンプは初めて、という方は、まずそうした施設が充実したキャンプ場を調べて利用されるのもよいかと思います」

とは言っても、いきなりテントなどの大物を揃えるのは初心者にはちょっとハードルが高いかもしれません。

スノーピークのキャンプフィールドでは、先ほど挙がったような基本のキャンプ用品のレンタルがあり、さまざまなスノーピーク製品を実際に使って試してみることができます。

伊豆さんにご協力いただいて、実際に設置にチャレンジしてみました。

目指すはこの完成形です
目指すはこの完成形です
今回お話を伺った広報の伊豆さん。テントの設営もテキパキと手馴れています
今回お話を伺った広報の伊豆さん。テントの設営もテキパキと手馴れています

まず、伊豆さんとともにフィールドにテントを張ってみます。

今日用意していただいたのは、「ランドロック」という大型のテント。4人が寝泊まりできる大きさです。内部は2部屋に分かれているので、寝室とリビングと用途を分けて使えます。組み立てる前のテントは、大きめのボストンバッグに収まっていて意外にコンパクトです。

「まずは建物の柱や梁に当たる、テントの骨組みとなるフレームを幕体(ばくたい。テントの布地のこと)に差し込みながらテントを設営していきます。その中にインナーテントを吊り下げる形です。

そしてテント全体をペグで固定していきます。固定することでテントが風に煽られても安定しますし、居住性が高くなるんです」

ペグで固定している様子
ペグで固定している様子

ペグは大きめの釘のような形のもの。スノーピークの「ソリッドステーク」というペグは、鍛治の街三条の起源とも言える、和釘を作るのと同じ技術で製造されているそうです。鉄を溶かし、型に入れて、叩いて強度を出す、鍛造の技術で作られています。

この写真のテントを固定するのに、大体30〜40本のペグを使用。ハンマーで地面に打ち込んでいきます。

産地の技術を活かしたペグ
産地の技術を活かしたペグ

「堅い地面でも柔らかい砂地でも打ち込むことができ、テントを固定しやすいのが特長です。ペグというと消耗品というイメージが従来強かったのですが、これは一生もののペグとして、なくしたりしないようにリボンで印をつけたりして大切に使われている方もいらっしゃいます」

立ち上がったテントの内部に入ると広々として快適です。インナーテントはメッシュ地になっているので、外側を空けておくと風が通って心地よく、キャンプ場では虫除けの網戸代わりにもなります。

シェラフを敷いたテント内。メッシュ状のインナーテントが網戸代わりになって快適に眠れる
シェラフを敷いたテント内。メッシュ状のインナーテントが網戸代わりになって快適に眠れる

ペグと同様に、三条の金属加工の技術で作られているのが、焚火台です。

団らんの中心となる焚き火台
団らんの中心となる焚き火台

「焚火台という製品を、最初に作ったのがスノーピークなんです。

もともとキャンプの焚火は直火で行われるのがほとんどでしたが、芝生が燃えてしまったりと、環境に対してのダメージが大きかったり、焚火後ゴミをそのまま放置してあるというのも悲しい風景になります。

そこでそれらの問題を解決するために、この焚火台が考えられました。車のマフラーなどと同じステンレスで作られていて丈夫です。重さがあるため安定感もあり、シンプルな構造で壊れにくい。

キャンプの楽しみは非日常感を味わうことですが、そのなかで焚火は、火を囲みながらみんなで食事をしたり話をしたりお酒を飲んだり、人の和の中心にあるものですね。バーベキューなどの料理もできます」

キャンプならではの料理を楽しむ

キャンプというとやはり楽しみなのは食事。アウトドア用の調理セットや食器も、コンパクトで使いやすく、ふだんの台所と同等の料理が作れるものが今は揃っています。また、災害時などいざという時のために揃えておく、という意識も最近は高まっているようです。

ミニマム仕様の調理道具は普段使いにも便利そうです
ミニマム仕様の調理道具は普段使いにも便利そうです

薪、炭が手に入りやすいキャンプ場という環境だからこそ、ふだんの都会生活ではなかなか調理する機会のないバーベキューやスモーク料理なども楽しめます。

そのほかダッチオーブンがあれば肉のロースト、フライパンではパエリヤやピザなどを作っても楽しそうです。調理道具があれば、ホットサンドとコーヒーなど、朝昼晩それぞれのシーンにあった食事が楽しめます。

テントのリビング部分を内側から見た様子。急な雨風や強い日差しも気にせず快適です
テントのリビング部分を内側から見た様子。急な雨風や強い日差しも気にせず快適です
完成!これだけあれば、快適なキャンプが楽しめそうです
完成!これだけあれば、快適なキャンプが楽しめそうです

快適なキャンプデビューのために

最後に服装のお話を。野外では、昼は日差しが強くても朝夕は冷え込んだりと、寒暖差が激しい場合があります。日焼けや虫から身体を守るためにもアンダーウェア、シャツ、上着、さらにボトムスにはレギンスや靴下も用意して、重ね着によって調節できる用意をしていったほうがよさそうです。

伊豆さんによるとキャンプ・デビューの時期は春か秋がおすすめとか。

「キャンプというと夏というイメージがありますが、夏はやはり暑いので、初心者の方はむしろ春や秋に始められるほうがいいと思います。夜はちょっと寒くても、むしろ焚火というもののを魅力をよく味わえますから」

一度こんなふうにキャンプを体験したら、徐々に道具を揃えてアウトドアライフを充実させていくのが楽しみになりそうです。これからの季節、初めてという人も、ぜひキャンプに挑戦してみてください。

<掲載商品>
スノーピーク オンラインストア

<関連商品>
野遊びを知り尽くしたスノーピークと、茶の湯の心を今に伝え続ける茶論(さろん)、そして工芸を活かした暮らしの道具をつくる中川政七商店のトリプルコラボで生まれた「野点セット」。

<取材協力>
株式会社スノーピーク


文:鈴木伸子
写真:神宮巨樹

この記事は、2017年5月6日公開の記事を、再編集して掲載しました。キャンプをする方もしない方も、みなさん素敵な連休をお過ごしください!

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