【心地好い暮らし】第1話 青いレモン酒をつくる

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何かを漬けるという行為をしている人はどれぐらいいるのだろうか。
炒めるでも和えるでもなく、切ってあるいは剥いて、調味料をまぶして瓶などに詰める。
すぐには食べられない。見守る育てる系の家事。

ピクルスや浅漬け辺りが初心者。梅干し、ぬか漬けは準備の時間と日々の手間を想像すると中級者な感じがする。家でアンチョビつく ってますとかになるともはや上級者過ぎて、いったいどういう経緯で?と聞きたくなってくるレベル。
私には絶対無理だ。

それでも奈良に越してからずいぶんと家で料理をする機会が増えた。そもそもご飯を食べに行く店が少ない(ここ数年、本当に美味しいお店が増えました。嬉しくてしょうがない!)前職に比べて家に早く帰れるようになった。会社のキッチンに「庭になった梅の実お裾分け」が積まれてあって創作意欲が湧いた。などなど、それまでは記憶の片隅に祖母や母がしてた事として保存されていた風景が思い出され、少しずつ自分でもつくり始めた。

だからといって、毎年決まって梅を漬けているか、毎日糠床をかき回しているかというと、全くそんなことはない。地方都市奈良とはいえ毎日そこそこ忙しいし、ある程度の気持ちの余裕がないと、すぐそこのコンビニで買えるものを、人はつくったりしないのだ。



だからこそ、この漬けるという行為は癒しなんだなと思う。
美味しいものを自分でつくりたいという欲求より、この時間この作業に身をゆだねることを贅沢だと感じている気がするし、なんでこんなに穏やかに愉しいのだろうと不思議な気持ちにさえなってくる。

人間はやっぱり便利を優先して、自らつくること、そこから得られる喜びを失ってしまったのかもしれないなぁ…と考え始めるぐらいの時間でレモン酒ができあがった。
なんと清々しく目に美しい食べもの(飲みもの?)なんだろう。それにあのつくっている時に台所を包むレモンの香り。
みなさん、やるべきですよ。最後は瓶を眺めながら声にだして言ってしまうくらい心地好い時間だった。



ここまで読んでいただいて、最後に商品へ誘うボタンがあるってどうなんだろうなと、経営者とは思えない気持ちになりつつも、青いレモンは手に入れるのが結構難しいのです。
どちらかというと材料は揃えておきましたので。という気持ちです。

この商品でなくとも、ぜひ次の休みに時間があれば何かを漬けてみることをおススメします。漬けるための静かな時間、見守る愉しみ、出来上がりの喜び。
全編通して想像以上の癒し効果に驚かれるのではないかと思います。



文:千石あや




この連載は、暮らしの中のさまざまな家しごとに向き合いながら「心地好い暮らし」について考えていくエッセイです。
次回もお楽しみに。

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