大人も使える、地下足袋から進化したキッズ用レインブーツ

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こんにちは。細萱久美です。

連載「日本の暮らしの豆知識」、旧暦で水無月のお話です。水無月の「無」は、「の」にあたる連体助詞なので、「水の月」という意味になります。

新暦だと6月は梅雨時期なのでまさに水の月ですが、旧暦だと梅雨は明けた時期なのでそこに語源は無さそうな。諸説ありますが、田植えが済んで、田に水を張る必要がある月なので「水の月」となったと考えられます。

旧暦は月と太陽の運行を両方取り入れており、自然の営みを緻密に予測できる暦なので、現在でも自然のリズムと密接な農業や漁業などに関わる方々には活用されているそうです。

新暦と旧暦に時期のずれがあるので歳時記も若干異なってきますが、新暦6月のイメージはやはり一番には梅雨でしょうか。情景も雨、傘、てるてるぼうず、あじさいあたりが浮かびます。大人になった今では、じめじめ蒸し暑いのは得意ではないですが、小さな頃はもっと季節の移り変わりを楽しむ余裕がありました。

視線の高さが低かったこともあり、草花の変化や昆虫類にも興味津々だった記憶が。梅雨の頃によく出没するカタツムリを触ったり観察したりしていました。今ではカタツムリもだいぶ減った気がしますが、大人になって気にしなくなっただけなのかもしれません。

梅雨を楽しむレインアイテム。キッズ用のレインブーツ

大人の梅雨の楽しみ方、過ごし方としてはレインアイテムにこだわるのも一つ。私はなるべく軽やかに過ごしたいのでレインコートは着ませんが、お気に入りの傘と長靴を持っています。傘に以前はさほどこだわりもなく、しょっちゅう無くしていましたが、少し良い傘を使い始めたら大事に使うようになり、今のところ無くさずにすんでいます。

長靴は脱ぎ着が楽なショート丈を愛用しています。台風でもなければこの丈で十分。この長靴は、実はキッズ用なのです。ネットで見つけて、コロンと丸みのある形とシンプルなデザイン、ネイビーというシックな色に惹かれました。

サイズも揃っており、価格も3000円代とリーズブルなので衝動買いをしてしまいました。作っているのは、地下足袋の生産に始まり、140年に渡って靴を作り続けるムーンスターです。国産スニーカーが好きな方であれば、「made in 久留米」のブランドとしてもご存知かもしれません。

タイヤメーカーのブリヂストンの創業地としても知られる久留米の基幹産業はゴム産業で、ムーンスターでは底にゴムをひいた「地下足袋」が発展してスニーカーとなり、ゴム長靴や学校の上履きなども作られるようになりました。今でも上履きは主力商品の一つで、年間500万足もが販売されているそうです。育ち盛りで、消耗も激しい盛りなのでそんな数量になるんですね。

この長靴は、日本で商品企画されて製造は海外ですが、品質はもちろんしっかりしています。改めてよく調べたら抗菌・消臭効果もあり、軽量設計という機能付き。夜間の歩行に役立つリフレクター(反射素材)がヒール部分に付いているのが唯一のアクセントで、それ以外はいたってシンプル。キッズ長靴で検索すると、カラフルか柄モノが多い中で、マットな質感でとびきりのストイックさがかえって目立ちます。

大人用の長靴にもなかなか無い雰囲気で、社内にも愛用者がちらほら。ベストセラーではないかもしれませんが、ムーンスターの以前の商号である「つきほし」ブランドなので、きっと定番的ロングセラーだと思います。このような、実直な定番アイテムが息長く残ると良いなと思わせる、水無月の暮しの道具です。

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<掲載商品>
キッズレインシューズ(ツキホシ)

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

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文・写真:細萱久美

※こちらは、2017年5月28日の記事を再編集して公開しました。

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