はじめてのお中元
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こんにちは。さんち編集部の西木戸弓佳です。
夏も本番。世間では「お中元」という言葉をあちこちで聞くようになりましたが、若い世代の方は特に、まだお中元を贈ったことがないという方も多いのではないでしょうか。
そもそもお中元は、普段お世話になってる方へ日頃の感謝を伝える贈りもの。伝統的な風習だからと敷居を高く捉えず、友だちに誕生日プレゼントを贈るよう、もっと身近に捉えてみませんか。初めてのお中元を贈るにあたり、いつ?誰に?どんなものを?などの疑問を、ギフトコンシェルジュの真野知子さんへお聞きしました。真野さんおすすめの贈りものと併せてご紹介します。
真野知子さん
ギフトコンシェルジュ、セレクターとして活動。手土産から記念品まで贈りものの多彩なシーンに合わせたギフトのセレクトを軸に女性誌などで連載、商品・売り場・フェアの企画プロデュース、各種選考委員など多方面で活動。
( 以下、真野さん )
この季節になると「お中元」の広告を見かけるようになります。
子どもの頃、実家に届くお中元を楽しみにしていた。なんて記憶ありませんか?
けれど、自分が大人になったいま、誰かにお中元を贈った経験がまだないという方も少なくないと聞きます。
自分が結婚しているか、していないか。子どもがいるか、そうでないか。
そういったことも、“ 贈る or 贈らない ”の選択肢に少くなからず影響はあると思いますが、ちょっとした心遣いの品物を贈ることで、誰かの暮らしに彩りがうまれます。
今年は贈ってみようと思う相手の顔が浮かんだなら、それがタイミング。
「お中元」というと、かしこまり過ぎてなんだか面倒…。そんなふうに感じてしまうのであれば、あまり堅苦しく考えずに季節のご挨拶と考えれば、もっと気軽に贈ることもできますよ。
夏の暑さの中、誰かからお中元が届く。それだけでちょっとココロが浮き立ちますよね。そして、その品物があるからこそのひとときがうまれます。家族で食卓を囲む時間、または一人でホッと一息つける時間、コレがあるなら「そうだ!あの方たちを招こう」。 そんなふうに日々の暮らしに夏の彩りを加え、日常に至福の時間すら贈ることができます。そういうことが“贈って嬉しい、もらって嬉しい”の素敵な連鎖の始まり。
——どんな方へ贈ったらいいのでしょうか
「お中元」といっても、あまりかしこまって考え過ぎず、「夏のご挨拶」として、1年の上半期にお世話になった方への感謝の気持ちを託すもの。
遠方にお住まいの方や、日頃は慌ただしく暮らしていて、なかなか会えないけれど、お元気にされているかどうか気になる方達、たとえば実家のご両親、ご兄弟、ご親類、恩師や友人など、大切なご縁で繋がっている方達に、ぜひ気持ちを形にして贈ってみてはいかがでしょうか。
——どんな物が喜ばれますか
お中元に贈る品物は、夏休みや帰省など子どもも大人も集まるタイミングがあるので、皆でテーブルを囲んで楽しめる食品、お菓子、飲み物が主流です。大人が喜ぶ定番が安心という人もいれば、毎年のことだから、たまにはちょっと冒険してヒネリを効かせた物を贈ってみたい。そんな方もいるはずです。その季節にしか味わえない旬の味や涼感のある物も風流ですし、そういった夏をのりきる暑気払いの物も、この季節ならではの贈りもの。
また、受け取り手にとって、いただきものには自分では買わない物との出会いがあり、そこから「新たな世界を知る」そういう喜びも一緒にいただくということがあります。
相手の家族構成や年齢、健康状態など分かる範囲の情報をうまく推し量って、一人暮らしの方には賞味期限の長いものを選ぶ、お子さんがいるご家庭には子どもも喜ぶ物を選ぶなど、ちょっとした配慮もあるとよりよい贈り方ができますよね。内容のバラエティが豊かだとより楽しんでいただけますし、思わず笑みがこぼれそうな物など夏の記憶に刻まれる一品との出会いを楽しみたいもの。ただし、季節のご挨拶なので相手にも負担にならいない程度の予算と品物を。
・お国自慢の味
・涼感のあるもの
そうめん、アイスクリーム、ゼリーなど見た目にも涼し気なもの
・この時期にしか食べられない旬のくだもの
・暑気払い 鰻などせいのつくものや、ビール、ジュース、アイスコーヒーに紅茶&緑茶など冷たくして楽しめるドリンクなども。
・名店の夏季限定のものなど
・食べ物以外ですと、水うちわ、お香、ガラスの茶器や酒器など夏の暮らしに彩りがプラスされるものがおすすめです。
上記のラインナップにあげた分野(これだけに限りませんが)から、どこのメーカーの何を選ぶかということで、自分のオリジナリティや相手の暮らしや好みにあった物を選ぶこともポイント
——どう渡すのがいいでしょうか
遠方にお住まいの方や、近隣の方でも重量のあるものや冷凍物など温度にデリケートな物は配送で。
目上の方には熨斗があった方が失礼にならないことは確かですが、友人などへ夏の贈りものとして気軽に贈りたい場合は必ずつけなければいけないということでもありません。
いずれにしても、より気持ちが伝わるのはメッセージを添えることです。
贈りものにはさまざまな意味が込められています。
なぜ、その品物を選んだのかということも伝えること。
相手の好みだと思ったからなのか、自分が美味しいと感じたから食べて欲しいと思ったからなのか、などなど、はっきりその意味が分かるものもあれば、もっと漠然としたものもあります。
特別な意味を込めて贈ってくれていたのに受取手はその意味に気づかない、
なんていうこともめずらしくありません。そうならない為にメッセージカード、一筆箋などお手紙は添えた方がより気持ちが伝わるので、そういう手間は惜しまないこと。
夏の贈りもので考えるとすれば、夏らしい画が入っていたり(風鈴や、朝顔、花火などなど)季節ならではを感じられる物を選ぶようにすると風流ですよ。
ギフトコンシェルジュ真野さんおすすめの、はじめてのお中元
水うちわ ( 家田紙工株式会社 )
美濃の和紙でできたうちわにニス加工された透明感のあるうちわ。霧吹きでさっと水を吹き付けた後に仰ぐと、ぐっと涼しさが増します。
水引ワインバッグ ( 和工房 包結 )
お酒やジュースなど、こんなバッグで差し上げると、さらに素敵な贈り方ができますよ。
ディフューザー ( 薫玉堂 )
香りの記憶はいつまでも残るもの。蒸し暑い日本の夏も香で優雅に過ごしていただきたい方にどうぞ。
そうめんくらべ ( 中川政七商店 ) ※現在は販売終了しました
夏の定番といえば、素麺もそのひとつ。産地の違う5種類の素麺の食べ比べができるセット。
木箱に入った素敵な装いと、贈る相手によって選べる2タイプの容量があるのも嬉しいです。
サマーセット( PALETAS )
暑い日に届く、ひんやりスイーツは嬉しさ倍増。人気メゾンのものならなおさらです。友人やファミリー層におすすめ。
ラッサム ( スパイスカフェ )
夏はスパイスの効いた物がたべたくなりますよね。複雑なスパイスの香りで深い味わいのレトルトカレー。単価は安いので、いくつかセットにして贈ると一人暮らしでも、ファミリー層にも贈れます
フレッシュゼリー ( サン・フルーツ )
果実そのものが器になっていることで果汁がたっぷりでみずみずしい味わい。子どもから大人まで楽しめます。
贈りものには「答えはひとつではない」というところに、それぞれの想いを託せる許容の広さと、多彩さのある面白みがあります。
自分の気持ちをカジュアルにもフォーマルにも託せるもの。時には言葉以上に気持ちを物語ってくれる場合もあります。ビジネスの場においては潤滑油になってくれますし、プライベートな場では、自分や他の誰かのアンテナを送受信する機会であることも。相手がこうきたから、こちらはこう返そう!そんなふうに一種のゲームのように楽しむことだってできます。多彩なセレクションの中で、自分の気持ちにピタリと合う物を選ぶ楽しさ、相手を想う気持ちを託せる一品との出合い、それも贈る側の醍醐味です。そして贈られる側も、その気持ちに贈って答える。 “贈答”はさまざまなシーンにおいてコミュニケーションの潤滑油としての役目も果たしてくれます。
いまはFacebookやtwitterなどSNSで人と簡単に繋がれる世の中ですがどんなに時代が進んでも、なくなることのない人とのつながりのかたち、そのひとつがGift & giving(贈答)ではないかと考えています。
掲載商品
水うちわ ( 家田紙工株式会社 )
水引ワインバッグ ( 和工房 包結 )
ディフューザー ( 薫玉堂 )
サマーセット( PALETAS )
ラッサム ( スパイスカフェ )
フレッシュゼリー( サン・フルーツ )
文 : 真野知子、西木戸弓佳
写真協力
家田紙工株式会社
和工房 包結
PALETAS
スパイスカフェ
サン・フルーツ