京都・茶筒の開化堂の140年続く茶筒づくりに迫る

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開花堂の茶筒

すべては茶筒を残すために

——なにか、新しい取り組みはありますか?

開化堂の茶筒は使い続けると40年ぐらいで真っ黒に経年変化していい味がでるんですが、買う時点でその状態のものが欲しいという方もいらっしゃって。それを作るために新品の茶筒を短期間でエイジングさせる技術の研究も進めています。

商品化はまだですが、安定供給ができるように最終調整しているので、もう少し待っていてくださいね。

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新品の茶筒に薬剤を塗り、錆びさせてエイジングさせる研究中。
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かなり変化して黒くなった茶筒。いい味が出ています。

——工房では、若い職人さんたちが多くいらっしゃるんですね。

はい、今働いてもらっている職人やスタッフの生活があるので、会社としてもうまくやっていかないと。

僕は、親父の下で幸せに仕事をしてきたけれど、最近はみんながやりたいことはなんだろう?って。今考えているのは、鍛金工房をつくりたいなと思っているんです。鍛金ができるスペースがあって、そこに人が集まって。みんなが楽しくやりながら、そこで得た技術をまた開化堂に入れていく、そして続いていくというイメージです。

——開化堂として外せない軸足は茶筒だと思うんですが、そういう別のことをするにあたって何か線引きはありますか?

茶筒をつくる助けになることでしょうか。その領域であればいいと思っています。

大きな目標としては、これから100年先もつくり続けて、今売ったものを100年後に修理することが目標。だから、職人が毎日同じ仕事の繰り返しが辛くなって辞めるようなことになるのであれば、ちょっと違うことをやって、また戻ってきて、新鮮な気持ちでやれるのが良いなと。

すべてはお茶筒の継続の為にあるということです。

工芸に触れられるカフェ「Kaikado café(開化堂カフェ)」をオープン

——今年5月に河原町七条にオープンされた「Kaikado café(開化堂カフェ)」、これもその一環ですね。

はい、ちょうど仲間たちでどうしたら伝統工芸を日常に感じてもらえるのかを考えていた頃で、カフェなら工芸を意識せずに自然に触れることができるんじゃないかと。実は親父の夢が喫茶店をやることだったことと、良い物件が見つかったことなど色んなタイミングがうまく重なりました。

元々は京都市電の事務所だった歴史的な建物をリノベーションしたものです。

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昭和初期には電車が出入りしたと思われる大きな開口部が目を引く。©Kunihiko Fukumori
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棚にずらり並んだ茶筒はもちろんのこと、ランプシェードも茶筒職人が手掛けたもの。©Kunihiko Fukumori
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ショーケースでは、茶筒のほか京都工芸の職人たちがカフェのために製作したオリジナル商品も。©Kunihiko Fukumori

カフェをするにあたっては、躊躇もありました。でも、茶筒をつくる助けになることだと思って。この場所で、色んな方に茶筒や工芸のことを自然と感じてもらいたいんです。僕が工房で知らず知らずのうちにおじいちゃんや親父から、たくさんのことを得ていたみたいに。

カフェでお出ししているグラスはオリジナルのもので、なんと茶筒形なんです。実は、チーズケーキも茶筒形。店内には茶筒をたくさん並べて毎日スタッフが撫でて育てているので、経年変化の様子も見ていただけますよ。

開化堂は、茶筒をつくらないということはありえない。茶筒をどう売っていくかというところです。他のものをつくって広がっていくのではなくて、売り方に多様性をもたせて、同じものをちゃんと売っていくのがうちのやり方です。

これからも、茶筒をつくり続けていきます。

——お話、ありがとうございました。

カフェのオープン、新しい技術の研究、職人たちに思いや技を伝えていくこと。

すべては茶筒の継続のためということが明確で、常に進化しようとされている姿がとても印象的でした。初代が茶筒を始めたときもその時代の最先端であり、隆裕さんが担う今も最先端です。

取材終わりに、隆裕さんのお父さまである5代目の八木聖二さんからお聞きしたひとこと。

「息子の今の感覚でどんどんやっていったらいいと思ってます。文明開化の『開化堂』ですからね」

代々のつながりは、信頼関係があってこそ。これからの「開化堂」がとても楽しみです。

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左から5代目八木聖司さん、6代目隆裕さん。

株式会社 開化堂
京都市下京区河原町六条東入
TEL 075-351-5788
http://www.kaikado.jp

Kaikado café
京都市下京区河原町七条上ル住吉町352
TEL 075-353-5668
http://www.kaikado-cafe.jp

文:杉浦葉子
写真:眞崎智恵