渋みが苦手な私が常飲する「大和園の一番煎茶」

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日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

塩足 月和子

語り手:塩足 月和子

直営店店長を経て、日本全国の工芸品をお届けする展示会「大日本市」の担当に。 工芸だけでなくアートも好きで、休日は美術館やギャラリー巡りを楽しんでいます。 旅好きでもあり、冬には必ず雪国に行って温泉と日本酒を楽しんでます。

ブランド:大和園
推しの逸品:一番煎茶

大和園は自然豊かな奈良県大和高原にて、茶の生産から製茶を職人が一貫して担う大和茶製茶農園です。 旨いお茶は、強い土、美しい水、澄んだ空気、そして良い手仕事から生まれます。 数々の品評会での受賞歴が裏付けする技と心で仕上げた、大和園のお茶をお届けします。

つい最近まで、日常的に飲むお茶には、煎茶を選びませんでした。
丁寧に煎れられた煎茶をいただいた時の、旨みや甘み。あの美味しさは知っているものの、日々の生活の中で飲むお茶は、すっきりごくごく飲みたい。渋みや苦みはない方がいいなと感じていたからです。

そんな私ですが、大和園さんの煎茶に出会い、煎茶のイメージが一新されました。
煎茶好きの方はもちろん、煎茶に苦手意識がある方や、子ども、海外の方まで。自信をもって推せる!という煎茶を見つけました。

旨み甘みがぎゅっと凝縮されたお茶

ひと言で特徴を挙げるなら、渋みが少なく、凝縮された旨み甘みがぎゅっと詰まっています。
渋みや苦みの是非については好みにもよると思います。ただ、私にとっては、煎茶のいいところを詰め込んだようなお茶でした。

中でも、特におすすめしたいのが「一番煎茶」です。

おすすめは水出し。500mlの水にティーバッグをいれて、一晩(5~8時間程度)置けばそれで抽出完了です。

グラスに注ぐと、ふわっと爽やかな香りが立ち、そのまま一口含めば、その甘さに驚くこと間違いなし!です。
初めて飲んだ時、ひとりで「んー?!なにこれ美味しい~~~…!」と叫んでしまいました。

甘いと言ってもスイートな甘みではありません。まろみのあるふくよかな旨み、と表現するのが正しいのだと思います。

煎茶としてだけでなく、純粋に飲料として120点の美味しさ!日常で飲みたいと思い、仕事中にも、水とともに常飲するようになりました。

水出しの水色は、黄緑に透き通って美しい。お茶本来の色味

ただ、これからの季節は、温かいものを飲みたいですよね。
その点もご安心ください。おすすめは水出しですが、お湯でももちろん美味しくいれられます。

適温は、60~70度くらいの低めの温度です。水出しの衝撃的な甘みとはまた違う味わいですが、お湯でいれても渋みは少なく、旨み甘みが凝縮された奥深い味わいを楽しめます。

そういえば、煎茶を常飲しなかった理由に、お湯の温度を調整するの面倒だと思っていたこともあります。でも、その面倒さを超えるくらい美味しいのです。
ちょっとしたことでこんなに変わるのだと思うと、丁寧にいれようと思えるものです。

それに、お湯の温度は、一度うつわに移し入れれば10度下がると言われているので、3~4回カップを交互に移し替えれば最適な温度になります。やってみるとそんなに手間でもありません。

葉っぱがしっかり残っており、粉っぽさがない

また、私は煎茶をいれた時に出る粉っぽさが苦手なのですが、それがないのも嬉しいポイントです。
昔ながらの浅蒸しでつくられているので、葉っぱがしっかり残っており、粉が出ません。また、浅く蒸すことが、お茶本来の旨みや甘みを残し、まろやかで奥行きのある味わいを生んでいるそうです。

お客さまへのおもてなしにも、間違いなしのお茶

このお茶、お客様へのおもてなしにもおすすめです。
苦手な方がごく少ない万人受けする味だと思いますし、飲めば「美味しいお茶をいれてくれたんだな」と分かる味をしています。それくらい、しっかりとした旨みと甘みがあります。

ちなみに、中川政七商店でも1~2を争う味にうるさい同僚に出してみたのですが、「美味しい!」と評判でした。

畑の状態の品評会で受賞歴のある、大和園さんの茶畑

それもそのはず、受賞歴も豊富です。
味だけでなく、畑の状態の品評会など、多種多様の受賞歴を持っています。

奈良県の会社なので、茶畑にもお邪魔させていただいたのですが、驚いたのは、茶葉の品質管理。収穫後の茶葉が重みでつぶれないよう、下から風を当てながら工場に運んでいるのです。実際に見せていただいて、相当気を使い、品質管理されているのが分かりました。

収穫してトラックに移されたお茶。下部の茶葉がつぶれないよう、下から風をあてている

生産背景も含め、まだまだ伝えたいことも尽きないのですが、どんどん長くなりますのでこの辺で。とにかく一度、騙されたと思って飲んでみていただきたいです。

美味しいものを味わう喜びは、日常の幸福度を確実に上げてくれます。大和園さんの一番煎茶に出会って、口にする頻度の高い飲料が美味しいことは、何よりも日々の幸せに繋がるのかもしれない、と感じました。

ちなみに、大和園さんの1番のおすすめは氷出しなのだそうです。
私も今度挑戦してみたいと思っています。

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ちなみに、今回販売している大和園さんの煎茶には、「二番煎茶」もあります。
二番煎茶は、一番煎茶と比べると、すっきりとした味わい。熱湯でいれても渋くなりにくいので、湯の温度を気にせずいれたい、という方にはおすすめです。
旨みと甘みを求めるなら、やっぱり一番煎茶です。

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