国産ジーンズ発祥の地の、育てる大人のデニム「JAPAN BLUE JEANS CIRCLEのジーンズ・ジャケット」
日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。
語り手:福井 隆史
中川政七商店主催の展示会「大日本市」の実行委員。長く愛用できるスタンダードなものが好きで、日々使用しお手入れして出てくる表情にグッときます。相棒のように愛用品を身につけ、気持ちよく散歩するのが好きです。ブランド:JAPAN BLUE JEANS CIRCLE
推しの逸品:ジーンズ・ジャケット
わたしたちの街をハッピーにしたい
Make our town more pleasant.
国産ジーンズ発祥の地といわれる岡山県倉敷市児島
私たちはここで、ジーンズ作りを通じて、誰もが住んでみたくなる、そんな街にしたい。みんなが幸せになれるモノづくりを目指して、私たちはジーンズを作り続けます。
若者のデニム離れと言われる時代ですが、僕は今でもデニムに憧れを持っています。
なぜかというと、デニムを愛用する人から、「良い感じに育ってきた」「いい具合に色落ちがしてきた」と、経年変化(エージング)の話をよく聞くからです。
色落ちや擦り傷の跡を自分で育てていると実感できるとは、なんて素敵なんだろうと。
そんな感じで、これだ!と思えるデニムをずっと探しているのです。
ところでみなさん、国産ジーンズはどこが発祥かご存知でしょうか。穏やかな瀬戸内海と島々を臨む、紡績業などが盛んな岡山県倉敷市の児島です。
今回出会ったのは、その児島で作られた“Made in Kojima”の、「JAPAN BLUE JEANS」の「CIRCLE」のジーンズとジャケットです。
「JAPAN BLUE JEANS」とは、海外からも高い評価を受ける国産デニムブランド。
日本の職人による丁寧な仕事に加え、欧米でも定評のあるシルエットを取り入れた、美しい形のジーンズをつくりだしています。
そして、さらに進化を遂げるために、2019年から新シリーズとして始まったのが「CIRCLE」。
「CIRCLE」の名の由来は、曲線を描く「カーブベルト」を採用していること。
最近知ったのですが、ジーンズのウエストには2種類の「ストレートベルト」と「カーブベルト」という形状が存在するそうです。
一般的なデニムは「ストレートベルト」。
ウエスト部に1枚の生地を直線で裁断し二つ折りに縫製したパーツを使用します。
それと異なり「CIRCLE」は、2枚の生地を貼り合わせた曲線の「カーブベルト」を採用しています。
微妙な違いですが、実はこのつくりがフィット感に影響を与えるのです。
みなさん、長年使っている革ベルトがありましたら、一度机の上か床に伸ばして置いてみてください。
5年ほど使っている僕の私物の革ベルトはこんな感じです。
最初はまっすぐだったはずのベルトが、こんなにも曲線を描いています。
これは、革ベルトが使っていくうちに身体に馴染んでカーブを描くから。
つまり、人間の身体は曲線。
最初から、身体にフィットするようにカーブ状に裁断された「カーブベルト」を採用し、身体に合わせた立体的な構造にすることで、国内生産で妥協のない“本格的なデニム”をより穿きやすく、“新次元のフィットジーンズ”を実現しているのです!
まだまだ紹介したいことがたくさんあります!もう少しお付き合いください。
まず手に取ってみたとき、すぐに感じたのが丈夫なつくりであること。
少々重たくて生地も硬く感じましたが、思わず「おおお。」と声が漏れてしまうほど。
This is Jeans.といえる王道のアメリカ綿を使用した、14.8ozの生地。
「oz」とはオンスと読み、生地の重さを表す単位です。
一般的なデニムは10~15oz未満といわれ、15ozを超えるとヘビーオンスと呼び、やや重みがある生地になります。
14.8ozの生地は、やや重たさを感じる値ですが、でもこの重みが「これぞ本格的なデニムを身に着けている」と気持ちを高揚させてくれるのです。
深い藍の色合いも絶妙で、オレンジ色のステッチがほどよくワンポイントになっている点も、心惹かれます。
と思いきや、よく見ると脚の内側のステッチは鮮やかな青色。
社内でデニム好きのスタッフに見てもらったところ、これはなかなか珍しいステッチだね、と。
それもそのはず、これは「JAPAN BLUE」にちなんでの青色だそうです。
細部にもこんなこだわりがあるとは…。グッときますね。
そんなこんなで、着る前からグッときてばかりのジーンズなので、前置きが長くなりました。
30サイズのジーンズを実際に着てみると…
か、硬い。
正直、最初はそう思いました。
それもそのはず、先ほどもお伝えしましたが、このジーンズには硬めの生地が採用されています。
では、なぜ硬い生地を選んでいるのかというと、硬い方がしわ跡や色落ちがつきやすくなるからです。つまり育てやすい。
「カーブベルト」の着心地はというと、腰部分が少し高めになるので、しゃがんだりかがんだ時にズボンが下に引っ張られるような、ずり落ちる感覚がなくて、なんだか安心感があります。これは良い…!
形も秀逸です。
普遍的でありながら、すっきりとした綺麗なフォルム。
ひざから裾に向かって一気に絞ったテーパードモデルなので、フィット感ある着心地ですが、足がすっきり長く見えるのもうれしいポイントです(脚伸びた?と、スタッフに褒められました!笑)。
手持ちの服にも合わせやすいので、着こなしの幅が増えそう!
ジャケットもジーンズと同じく硬めの生地なのですが、着てみると意外と気になりません。38のサイズを着用してみましたが、インナーにパーカーも着れるし、この上にコートも着用できるので、寒い冬にも活躍!
胸ポケットの位置が少し下で不思議に思いましたが、手を伸ばすとちょうどいい場所。ストレスなくスマートフォンなどの小物をさっと取り出せます。
また、深い藍色が顔を引き締めてくれて、カジュアルでありながら大人な雰囲気も演出してくれます。
本格的でフィット感があって、さらに自分らしく育てることができる。ずっと憧れていた、これぞ!と思えるデニムにようやく出会えました。
(ジーンズだけを探していましたが、ジャケットにも心が揺らいでいます…。)
これは、僕の定番中の定番になりそうな予感。
デニムの色褪せを楽しみ、児島に思いを馳せながら育てたいなと思います!
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