【旬のひと皿】トマトのはちみつマリネ

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で創作料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



もうすぐ夏。たっぷり太陽の光を浴びた夏野菜が美味しい季節です。毎年、桜の咲く頃に「今年こそは畑をやりたい」と張りきるのですが、いざシーズンに突入すると夏の暑さに手入れをめげてしまうこと、数回‥‥。今年は、収穫は期待せず成長観察と思って見てみようと、春に数種類の野菜の種を買ってきて、我が家の小さな畑に撒きました。

なんとか育ってくれたのがミニトマト。他の野菜は発芽しなかったり、発芽はしたものの大きくなる前に元気がなくなったり。こうして小さな家庭菜園をしていると、さまざまな天候のなかでもコツコツ育ててくださる方のおかげで、毎日新鮮なお野菜を食べることができているのだなと改めて感じます。本当にありがたいことです。今あるものを大事に工夫して、美味しく食事できたらなと思います。

家庭菜園より

さて、ここ奈良でもだんだん暑くなってきて、スーパーや産直市場の売り場には夏野菜がたくさん並ぶようになりました。少し前まで筍だ!いちごだ!と喜んでいたのに、季節が変わるのは一瞬ですね。過ぎ去っていく季節のスピードに負けないよう、彩り豊かな夏野菜を楽しみながら食卓も賑やかにしたいものです。

この「旬のひと皿」の連載、初めてのひと皿で扱う食材は「トマト」にしました。そのままでも食べられるし、焼いても煮ても万能!優秀〜!なトマト。記憶に残るトマト料理は、ご近所にある美味しいスペイン料理のお店で食べたひと皿です。パエリアに魚介と半分に割ったトマトがどーんと入っていて、熱々のトマトがじゅわっと口の中で溢れだす夏の味は忘れられません。トマトを見るたびに楽しい時間を思い出します。

今回ご紹介するひと皿は、気負わず作れてほぼ火も使わない、あっという間にできる「トマトのはちみつマリネ」です。レシピでは大玉トマトを使っていますが、ミニトマトもおすすめです。さっぱりしているので、食欲のない日でもパクパク食べられそうです。

トマトのマリネ液は、はちみつと赤ワインビネガー(もしくは、りんご酢)、オリーブオイルを「1:1:2」程度の割合で作っていますが、お好みやトマトの量によって調整してください。ほんのりとした酸味が夏にぴったりなので、ぜひお気に入りのお酢で作ってみてほしいです。

最近、保育園に通う小さな友達ができました。まだ緑色のトマトを一緒に見て、真っ赤になったら食べにきてねと話していたら、保育園でも作っているから交換しようという話になりました。

この夏は暑さに負けず、かわいい友達との約束を守りたいなと思っています。

<トマトのはちみつマリネ>

材料(2人分):

トマト…2個(お好きなトマトと、お好きな量で)

◆基本のはちみつマリネ液
はちみつ…大さじ1杯
塩…2つまみ
赤ワインビネガー(または、りんご酢でも)…大さじ1杯
オリーブオイル…大さじ2杯

つくり方:

大きな鍋にたっぷりの湯をわかす。トマトのおしりに十字に切り目を入れる。鍋のお湯がぐつぐつと沸騰したらトマトを10秒ほど鍋に入れる。皮が剥がれてきたらおたまですくい冷水に落とし、冷めたら皮をむく。大玉トマトを使う場合は、ここでくし切りにする。

小さめのボウルに、はちみつと塩、赤ワインビネガーを加え、よく混ぜ合わせる。オリーブオイルを入れたら再度混ぜ合わせ、トマトを漬け込む。冷蔵庫で数時間置いたら、できあがり。

【ひとこと】
・時間がない場合はトマトを湯むきせず、包丁でむいても大丈夫。
・ミニトマトを使用するとひと口でマリネされたトマトを味わえて、これもまたおすすめ。

アレンジ編:<夏野菜のきまぐれサラダ


お好みの野菜(今回はきゅうりと蒸したトウモロコシ)を食べやすい大きさに切る。パセリ(または青じそなどのお好みのハーブ)を粗みじん切りにする。フライパンに卵を割り入れ、クミン(なくてもOK)と塩をぱらぱらと振り、半熟の目玉焼きを作る。トマトのマリネ、きゅうり、トウモロコシをお皿に盛り付け、目玉焼きをのせる。上からパルメザンチーズをふりかけ、パセリを散らしたら完成。


【ひとこと】

たくさん作ったトマトのマリネ。一日目はそのまま食べて、2日目はたっぷりの野菜と一緒にサラダにしました。目玉焼きをのせてチーズを振れば、ボリュームとコクが出て満足のひと皿に。夏野菜の鮮やかな色合いが、食卓を夏の装いにしてくれます。

さらにこの他にも、食欲のない暑い日は、お肉やお魚をさっと焼いて付け合わせにしたり、小さく切ったトマトマリネをぎゅぎゅっと絞ったレモンと和えてソースにしたりと、いろんなアレンジでさっぱり食事をいただけます。

うつわ紹介

・基本のひと皿:RIN&CO. 越前硬漆 平椀(INDIGO 02)

・アレンジのひと皿:小鹿田焼の平皿(白刷毛目 浩二窯)

写真:奥山晴日



料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けれるようになりたいと大和末生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。

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