【旬のひと皿】お餅といちごのきなこクリーム

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で創作料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



朝4時起床。冷え切ったハンドルを握り、夜明け前の道を運転した。

車はほとんど通ってなくて信号も点滅している。人もまだ歩いてないなーと思っていたら、ランニングをしている方を見つけてびっくり。「急いでいるわけではないよね?」「そんな訳ないよね」「早朝から凄いねぇ」と同乗する母と話しながら目的地へ向かう。

大きな道に入ると急に車が増えてきた。大型トラックがたくさん。新鮮な食材もこうやって仕事をしている方のお陰で、受け取ることができるのだなーと思いながら慎重に運転する。

20分ほどで到着。目的地は、奈良中央卸市場。空はまだ真っ暗。星を見ながらキラキラ輝く(ように見えた)建物の中へ入ると、活気のある元気な掛け声。所々シャッターの閉まっている場所もあるけれど、忙しそうにエンジン全開で働く店の人を見ながら、仕事の邪魔にならないように避けながら、市場散策。いろいろ食材を見つけて、帰る頃には世が明けていた。

世の中はいろんな循環で成り立っているなと思うことが多い。食材も、作ってくださる方がいて、八百屋さんがいて、お店があって、食べる人がいて。飲食店や家庭の食卓は食材のゴール地点。アンカー役をできることに感謝して、今年も心を込めて料理を作っていきたいと思います。

さて、そんなふうに料理に向き合う気持ちを引き締めたところで、2024年一つ目の「旬のひと皿」をご紹介します。

今回はお餅を使ったレシピ。多くの家庭でお正月のお雑煮に登場するお餅ですが、「お餅やお雑煮のこうでなくちゃ!」基準は、全国さまざま。育った地域によるものが大きいのではないかなと思っています。いずれにしても、記憶の味に優(まさ)る美味しい味はなかなか追い越せません。

奈良のお雑煮は具がたくさん入った、白味噌仕立てのお雑煮。お餅は取り出し、別皿に用意したきなこをつけて食べるそうです。そんな奈良のお雑煮からインスピレーションを受け、今回のひと皿はお餅にきなこを合わせました。

もう一つ“奈良らしさ”から合わせたのは、この時期、産直市場やスーパーに多く並ぶいちご。あまり知られていないのですが、奈良はいちごの産地なのです。

そんな3つの材料を中心に使って、おやつに食べられるお餅レシピをご紹介します。まだまだ寒い季節。お茶やコーヒーと一緒に、ほっと一息つきましょう。

<お餅といちごのきなこクリーム>

材料(お餅4個分)

・お餅…4個
・いちご…お好みの量

◆きなこクリーム
・きなこ…大さじ2
・生クリーム…200ml
・砂糖…大さじ2

今回は奈良のブランドいちご「古都華(ことか)」を使用しました。いちごがない場合は、酸味のあるフルーツを合わせていただいても美味しいです。

作り方

お餅は上部がこんがりする程度に焼く。焼いている間にきなこクリームを作る。材料をすべてボウルに入れ、氷水で冷やしながらツノが立つまで泡立てる。いちごを食べやすい大きさに切り、お餅ときなこクリームと一緒にうつわに盛る。きなこ(分量外)をふるい、完成。

アレンジ編:<余ったきなこクリームの使い方>

きなこクリームが余ったら、トーストに載せたり季節のフルーツに合わせたり、コーヒーに加えたりしてお召し上がりいただくのもおすすめです。今回はどら焼きと合わせてみました。あんこときなこクリームで、とっても幸せな味に。

うつわ紹介

・基本のひと皿:美濃焼のどんぐり皿

・アレンジのひと皿:HASAMI プレート イエロー

写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和末生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。

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