【あの人の装い】フォトグラファー・髙田久美子さんが着る「布ぬのテーパードパンツ」

産地でそれぞれ育まれてきた染織技術を用い、生み出された日本の布。その個性豊かな表情を装いのなかで楽しんでいただけたらと生まれたのが、中川政七商店の「日本の布ぬの(ぬのぬの)」シリーズです。

暮らしに自分らしいリズムを持つあの人が「日本の布ぬの」を装うなら、どんなコーディネートになるんだろう。そんな思いから、気になるあの人にシリーズ新作のテーパードパンツを着ていただきました。

今回は群馬県に住まいを構え、フォトグラファーとして活動しながらSNSで暮らしやファッション、育児の発信も行う髙田久美子さんによる装いをご紹介します。

パンツスタイルが日々の服装の定番

フォトグラファーとして家族写真や企業案件の撮影を仕事とする髙田さん。東京での生活を経て夫の実家である群馬県に移り住み、いまは2歳と4歳のお子さんと、夫の4人で暮らされています。

東京時代はハイブランドの洋服も好み、群馬に移ってもしばらくは仕事のある東京で買い物をすることが多かったそうですが、最近は趣向が変わり地元のセレクトショップで購入することも増えたといいます。どんな理由から変化が起きたのでしょう?

「年を重ねるにつれて、長く愛用できたり経年変化が味わいになるようなファッションが好きになって。そういったお洋服をたくさん扱うお気に入りのセレクトショップが群馬県内にあるので、そこで買い物することが多いですね。ネットショッピングも楽しんでいます。

最近買った思い入れのあるものは、そのセレクトショップで迎えたシルバーのバングル。子どもの誕生日の記念にとちょっといいものを買って、裏側に子どもの名前を刻んだんです。子どもが成人したら受け継ぎたいなって思ってます」

当初は見知らぬ土地だった群馬も、いまは帰ってくる土地になったそう。洋服の好みの変化は、暮らし方の意識の変化とも結びついているのかもしれません。

「東京暮らしが長かったのですが、都会に疲れてしまうというか。いつもどこか気を張ってるみたいなところがあり、疲れてたんだなとこっちに来て改めて実感しました。群馬は便利さでいえば東京ほどではありませんが、だからこそ工夫する知恵もうまれます。ちょっといい醤油を買うことが毎日のご褒美になるとか、そんな小さなことがいまは幸せなんです」

育児は夫と“シフト制”。食事や、園へ子どもを送る朝の時間は一緒に過ごし、夕食後は日替わりで担当が決まっているといいます。それに加えて、火曜日は“母業”を終日オフにできるように調整しているそう。夫婦で協力しあいながら、自分の時間や仕事の時間をとられています。

「意識もお洋服も、仕事モードの時と母ちゃんモードの時、女性モードの時を分けていて。例えば仕事もオフで、友達とお茶ができる時なんかは“女性モードで”自分の時間を思いっきり楽しめるおしゃれをしたり。

その瞬間だけは『ママだからこうしちゃいけない』に縛られずに、楽しむことに決めているんです」

「とはいえ母業も仕事もあるので、365日のうち9割くらいはパンツスタイルですね。仕事でも子どもといるときも、スカートだとどうしても意識が自分に向いてしまうので、気を遣わないパンツスタイルが好きなんです。反対に今日みたいに、自分が被写体になるとか、誰かに会いに来ていただいたりする場合はスカートを履くことが多くて、意識的に使い分けているかもしれません。

あと相手への心配りみたいなこともパンツスタイルのほうができる気がしていて。スカートを履いている時は動きが制限されるから、思いっきり何かをすることが難しいんですよね。おもてなしとか、誰かに何かをしてあげたいなって気持ちを存分に発揮できるのもパンツのほうが向いていると思うんです」

「布ぬのテーパードパンツ 絣刺繡」

普段からパンツスタイルばかりと話す髙田さん。9種類ある「布ぬのテーパードパンツ」から、お好きな布を二つ選んでいただきました。

髙田さんが選んだ一つ目の布は「絣刺繡」。中川政七商店に残る大和絣の図案を、富山県の作り手によりエンブロイダリーレースの技法で表現した布です。ベースには光沢のある杢(もく)調の生地を使っており、なつかしさがありつつも繊細な模様が品よく浮かぶ一着に仕上がりました。

「パンツに脚を通した時にまず感じたのは、肌触りの良さと、軽やかさ。デザインの面ではタックがしっかり入っているので、もったりとせず、野暮ったくならないところがお気に入りです。

トップスはシンプルなものを持ってくるとバランスがいいかなと思い、白のざっくり編みニットを合わせました。春秋はシャツやブラウスを合わせることで上品なコーディネートになりそうですね」

「コーディネートのテーマは、友人と家で過ごす時間の気負わないおしゃれ。リラックス感が出すぎないように髪はアップにしてバランスをとり、アクセサリーにシルバーの大きめピアスをつけてみました」

<着用した商品>
・布ぬのテーパードパンツ 絣刺繡 グレー

「布ぬのテーパードパンツ パイルジャカード」

二つ目の布は「パイルジャカード」。もこもことした毛が織り込まれた立体的で複雑なデザインが特徴の生地で、パイル織物の産地・和歌山県高野口で仕立てられました。ランダムな大小の水玉がやわらかに浮かぶ印象的な一枚を、髙田さんはどんなふうにコーディネートするのでしょう。

「イメージしたのは、美術館へお出かけする時のコーディネート。パンツはふんわりやわらかな着心地と見た目ですが、少しハードなロングジレと合わせて、あえてクールにワントーンでまとめました。

こちらの生地はレオパード柄のようなイメージもあり、今回みたいに強めにも着こなせそうです」

「毎日の服装で大事にしているのは『身だしなみは人のために、おしゃれは自分のために』という意識。

コーディネート自体はシンプルで清潔感のあるバランスが好きですが、一つひとつのアイテムはどこか少しクセのあるデザインのものを選ぶことが多いですね」

「この生地は、もこもことした素材感がすごく気持ちよくて、つい触りたくなってしまいました(笑)。一見シンプルですがよく見ると個性があって、モノトーンのトップスが多い方にもワンポイントになるのではないかと思います。

身長153cmの私が履いても裾が長すぎず、程よいゆとりがあるので仕事や育児の場面でも動きをじゃませず着られそう。もちろん、おしゃれをする日のアイテムとしてもぴったりです」

<着用した商品>
・布ぬのテーパードパンツ パイルジャカード 黒

ラクな着心地ながらも個性豊かな布の表情と、すっきりと着られるシルエットに仕上げた布ぬのテーパードパンツ。生地により冬に活躍するもの、春先まで着られるものと様々です。

ぜひ、お気に入りの一着に出会っていただけたら嬉しく思います。

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文:谷尻純子
写真:戸松愛

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