【四季折々の麻】2月:長い季節で着られる肉厚の生地「厚手麻」
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「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。
麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。
麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。
長い季節で着られる肉厚の生地「厚手麻」
2月は「如月」。和風月名であるこの言葉は、寒さに備えて重ね着をする意を込めた「衣更着(きさらぎ)」が由来のひとつとされています。まだ寒さが残る季節、麻の衣を更に重ね、芽吹きの時期に備える服をご提案できたらと思い仕立てたシリーズです。
麻生地は夏のイメージが強い素材ですが、今回ご用意した「厚手麻」は肉厚の生地にすることで、夏以外の季節でも着られるようにしたもの。中川政七商店で毎年人気のシリーズに、今年は新色として春らしい赤を思わせる「紅梅」が登場します。
ラインアップは「ボタンワンピース」と「羽織コート」、「ワイドパンツ」の3種類。重ね着することで長い季節でお楽しみいただけるようにと、ゆったりめのシルエットにしています。
【2月】厚手麻シリーズ:
・厚手麻のボタンワンピース
・厚手麻の羽織コート
・厚手麻のワイドパンツ
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今月の「麻」生地
まだ寒さが残る季節に着たい、肉厚の生地である「厚手麻」。防寒と春気分の両方をかなえられるよう、重ね着することで冬から春まで活躍する素材感に仕上げました。一年を通して心地よく着られるため、シリーズが登場してから数年が経った今でもたくさんのご愛用の声を頂いています。
使用しているのは太番手のリネン糸。こちらを贅沢に使って織った厚手の生地に、テンションをできるだけ加えないよう、ゆっくりとやさしくもみ込むような乾燥を施します。さらには染め加工のすべての工程においてできるだけ高熱を加えず加工し、麻素材独特のシボ感のある自然な風合いを生み出しました。
生地にストレスをかけず、時間をかけてゆっくり加工することで、生地がリラックスしてやさしい表情と風合いに。無理をさせず、自然の姿、魅力を引き出した生地をぜひお楽しみください。
なお、織り・染めの加工はともに遠州・浜松でお願いしました。大きな川があり水が豊富なこの地域は、織物加工が得意な産地。太番手ならではのしっかりしたハリ感・コシがありつつも、肌あたりはとてもやさしいので着心地がよく、頼れる生地感に仕上げていただきました。
お手入れのポイント
ご自宅でお洗濯可能ですが、洗う際は手洗いか、裏返して洗濯ネットに入れたうえで洗濯機をご利用ください。
シボ感が特徴的な生地なので、ピシッとアイロンで伸ばすというよりは、自然なシワ感を楽しんでもらえたら嬉しく思います。
たたみシワなどが気になる際は、生地を湿らせた状態であて布を使用し、アイロンがけしてください。麻は乾燥した状態で高温を加えると傷んでしまうので、アイロンを使用する際は必ず湿らせた状態にするようご注意くださいね。
重ね着しやすい3アイテム
麻は、寒い日は暖かく着られて蒸れにくく、暖かい日はさらりと心地よく着られる素材。
寒さをしのぐため重ね着をする「衣更着」に由来を持つ時期に、ぴったりのアイテムを揃えました。
重ね着したり一枚で着たりと着回しのきく3つのアイテムは、いずれもリラックスウェアにならないよう細かなサイズ感にはこだわりつつも、ゆったりと着られて重ね着しやすいシルエットに。
色は昨年から人気の墨と青緑に加え、梅の季節をイメージして「紅梅」も新しくご用意しました。鮮やかながらもこっくりとした赤が、まだ寒く彩度の低い空の下でも春の訪れを感じさせてくれます。
また、あえて真っ白にさらした生地ではなく、麻本来の生成色の生地から染め上げることで、天然の麻の色あいを活かしました。のっぺりとせず、麻の繊維の色合いがうっすら感じられるような奥行きのある表情に仕上げています。
ワンピースはほどよく詰まったVネックとずらりと並んだ前ボタンで、きちんと感のある印象に。寒い時期にはタートルネックを重ねたり、暖かくなればもちろん一枚で着たりと様々な印象でご着用いただけます。
万能な羽織コートは襟が少し立つのがポイント。カーディガンのように気軽に羽織れます。ワンピースの上に重ねたり、タートルネックやブラウスに重ねたりと、あらゆるシーンで着まわしていただける一着です。
ワイドパンツはゆったりと履けながらも、麻のハリ感による立体的なシルエットで、お出かけ着感もきちんとあるデザインに。寒い時期は下に一枚着こんでいただいても、違和感なく履いていただけます。年間を通して履ける息の長いアイテムです。
素材自体が呼吸をしているような、気持ちの良さがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。
「中川政七商店の麻」シリーズ:
江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。
ご紹介した人:
中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子
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