【四季折々の麻】4月:風通しよく爽やかに着られる「綿麻のちりめん織」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。
麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。
麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。
風通しよく爽やかに着られる「綿麻のちりめん織」

4月は「清明」。うららかな春の陽が心地よい、明るく清らかな月となりました。植物の息吹もそこかしこに見られ、いよいよ春本番を感じますね。
今月は、春のあたたかな陽気から、少し汗ばむ夏まで長く着ていただきやすい、さらりと着られる風通しのよい麻の服を作りました。
生地に用いたのは経(たて)糸にリネン、緯(よこ)糸に綿麻の素材を採用し、ちりめん織にした織物。麻だけでもちりめん織にはできるのですが、シャリ感をやわらげ春にも着やすい生地感にするため、綿と合わせる方法をとりました。やさしい肌あたりで、春のやわらかな気候にもぴったりの生地に仕上げています。
ラインアップは「開襟シャツ」と「開襟ワンピース」、「ロングキュロット」の3種類。きちんとしたおでかけにも着やすい開襟シャツやワンピースを作りたくて、相性のよい生地を検討するなか今回のシリーズに至りました。
実は、3年前に登場してから長くご愛用の声をいただいている本シリーズ。今年は春らしい緑色を加えて展開します。
【4月】綿麻のちりめん織シリーズ
・綿麻のちりめん織 開襟シャツ
・綿麻のちりめん織 開襟ワンピース
・綿麻のちりめん織 ロングキュロット
今月の麻生地

「ちりめん」というと、きものや和小物の「ちりめん」を想像する方も多いかもしれません。
ちりめん織とは強く撚りをかけた糸を織り込んだ織物のことで、生地の表面にシボ感が出るのが特徴。一般的には絹素材のものをちりめんと呼ぶことが多いのですが、今回は綿と麻の糸を使ってちりめんの風合いに仕上げました。
新潟県・見附にある機場で、何度も試織を重ねて丁寧に織っていただいた中川政七商店オリジナルの生地です。
強撚(きょうねん)糸の伸び縮みによる天然のほどよいストレッチ感があり、独特のやわらかさがあって快適な着心地。凹凸があることで肌にあたる面積が少なく、通気性が抜群のため、春から夏まで涼しく着られます。
また麻をとりいれたことでさらりとした心地よさがあり、シワになりにくく乾きやすいことも嬉しい特徴です。
生地を織る前に糸の状態で染める「先染め」を採用することで、奥行きのある色合いに仕上げたのも工夫した点のひとつ。経糸にはリネンのトップ糸(=リネンをワタの状態で染めたもので、メランジ感のある糸)、緯糸には綿麻の染糸を使い、小さな格子柄に仕上げました。

お手入れのポイント
ネットに入れれば、ご自宅の洗濯機で洗っていただけます。目立った皺を伸ばしてから干すとノンアイロンでも着られますし、気になる皺ができた場合はあて布を使用すればアイロンもかけていただけます。
なお、アイロンをかけるときれいな表面感にはなりますが、つるつるになることはなく、ちりめん織の風合いはちゃんと残るのでご安心くださいね。
リラックス感のある生地を、きちんとしたお出かけ服に
ご用意したのは「開襟シャツ」と「開襟シャツワンピース」、「ロングキュロット」の3アイテム。カジュアルな素材感なので、家着っぽくならないようにとシルエットを工夫して仕立てました。
毎年人気の本シリーズに今年は新緑を思わせる「緑色」が新色で登場。昨年もご提案したベーシックで根強い人気の「黒色」と、涼し気な「空色」と合わせた3色展開にしています。

シャツのデザインでは、若い方も年を重ねた方もきれいに着られる形を意識しました。襟は小さめで首回りがあきすぎないように調整し、身巾はゆとりがありつつももたつかず、ストンと着られるサイズ感に仕上げています。

ワンピースもゆったりしたシルエットではありますが、ウエストに切り替えを入れて少し絞ることで、きちんと感を出しました。少し懐かしい感じもある開襟アイテムを、爽やかに着こなせるようデザインしています。
前のボタンを閉じて着用するほか、ボタンを開ければ羽織りのようにも着ていただけます。

ロングキュロットは、ロングスカートのようなシルエットで着られます。とにかく気負わず履きやすいアイテムなので、春夏のボトムとしてたくさん着ていただけると嬉しいです。シャツとロングキュロットをセットアップで合わせていただくのもおすすめです。

「お出かけにも着られるきちんと感と、着心地のよさを兼ね備えた服を作りたい」と考えて企画した本シリーズ。普段着はもちろん、靴やカバンなど小物で印象を変えて幅広いシーンでお楽しみください。
素材自体が呼吸をしているような、気持ちのよさがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。
「中川政七商店の麻」シリーズ:
江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。
ご紹介した人:
中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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