縁起の良い“願掛け”の文字が記された、色とりどりの「だるまのミャクミャク」【大阪・関西万博 特別企画】

日本全国、そして世界各国から多くの人々が集う、2025年大阪・関西万博。

日本のものづくりの魅力を楽しく感じてもらいたいという思いを込めて、2025大阪・関西万博公式ライセンス商品として、工芸の技で豪華に表現したミャクミャクのオブジェ5種を制作しました。

今回はその中から、「だるまのミャクミャク」に焦点を当て、その魅力を支えるものづくりの現場をご紹介します。

丸くて愛らしい縁起物「高崎だるま」のミャクミャク

丸くて愛らしい形状と、転んでも起き上がるイメージで古くから縁起物として親しまれてきた「だるま」。

だるまの一大産地である群馬県高崎市でつくられるものは特に「高崎だるま」として知られ、鶴と亀を表現した眉毛と口髭の意匠や、さまざまな願掛けを込めた文字入れなどが特徴です。

高崎だるま。吉祥や長寿を意味する鶴と亀が眉毛と口ひげに表現されている

今回、高崎で手仕事のだるまづくりを続ける「三代目だるま屋 ましも」さんにお願いし、日本国際博覧会(通称:大阪・関西万博)の公式キャラクターであるミャクミャクのだるまをつくっていただきました。

ミャクミャクの立体感をだるまの中で表現する

「だるまには基本の形状があるので、その中にどうやってミャクミャクの豊かな表情や立体感を落とし込めるか。そこが一番苦労したポイントです」

三代目だるま屋 ましもの代表、真下輝永さんがそう話すように、だるまと言えば誰もが思い浮かべる特有の丸い形をしています。そこに複雑な立体であるミャクミャクのイメージを当てはめるために、デザインを試行錯誤したとのこと。

「三代目だるま屋 ましも」真下輝永さん

「使用しているだるまの型は、鼻の部分が平らになっているタイプのものです。

その型の上できちんと立体感が出せるように何度も検討を重ねて、ミャクミャクのだるまをつくるならこの形・デザインしかない、というところにたどり着けたと思っています」

だるまにもさまざまなサイズや型が存在する

デザインの落とし込みはできたものの、普段のだるまの絵付けとはまったく勝手が違うため、技術の高い絵付師さんにしか再現できないのだとか。

熟練の技によって高い精度で出来上がっていくミャクミャクのだるま。でもそこに手仕事ならではの少しのゆらぎもあって、一層愛着が湧いてきます。お気に入りのものを選ぶ楽しさもありそうです。

手仕事による絵付けの様子
基準となる見本を参照しながら作業を進めていく
左右非対称のデザインで、丸い部分もそれぞれ正円では無いため、さまざまな角度から眺めてバランスが崩れないように絵付けしていく
使い込まれた絵の具入れ。調合にレシピはなく、職人の感覚で色をつくる

高崎だるまの大切な要素「願掛け」を色別に

ミャクミャクだるまのもう一つの特徴は、それぞれの色ごとに異なる「願掛け」の文字が入っていること。青色には“福”、赤色には“勝”など、色のイメージと合わせた縁起の良い一字が記されており、「高崎だるま」らしい、願いの込められた商品に仕上がりました。

それぞれ異なる文字が入った「ミャクミャクだるま」。願いが込められていることが、だるまならでの特徴

「高崎だるまではこの言葉も大切な要素。勢いのある字体で、縁起の良い言葉を入れて願いを込める。やっぱり縁起物ですから、“願掛け”をしているということが重要です」

「2025大阪・関西万博  会場内オフィシャルストア  西ゲート店  KINTETSU」展示用の特大だるまに文字を描く真下さん
特大だるまには「万博」の文字が

「今回のように、だるまをベースにした新しいものを生み出す機会をいただけるとすごく勉強にもなるし、とてもありがたいと思っています。

こういったことをきっかけにだるまのことをもっと知ってもらいたいし、だるまの形状だったり、願いを込めるということだったりは海外でも通用する気がしていて、これからは海外も含めて広げていけると嬉しいですね」

真下さんは最後に、自身の願いをそんな風に話してくれました。

伝統的な「だるま」の中にふしぎな生き物「ミャクミャク」が入り込んだミャクミャクだるま。手仕事の技が光る工芸品として、願いの込められた縁起物として、皆さまのお手元で愛されるものになれば嬉しく思います。

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文:白石雄太
写真:阿部高之

2025大阪・関西万博公式ライセンス商品
©Expo 2025

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